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悩みが捨てられない人間であろうか

 別に優しい人になりたいわけじゃない。
 私たちの生き方を肯定する人がいないから、そんな人たちと同じようにはならないようにしようと思っているだけ。でないと、認めてしまうことになるから。


 夜が好きな人たちが好き。みんなが寝ている時間の美しさを知る人たちが好き。単純に夜に出会える暗中の光も好きだし、視覚情報の一切を消し去る闇そのものも好き。

 夜は目に映らないものが多いけれど、心象風景に広がっていって、私の全てをありのままに保ったままで覆い隠してくれる。
 そしてその閉じた自分の心の世界で、思惑という雑音を消して、信念という熱を遮断する。
 傷を撫で、痛みで顔がゆがむ。静けさの中で涙の落ちる音を聞く。
 一滴の音が足元を小さく揺らして空に消える。
 じっと座り込んで、心の末端から芯までを凍らせて痛みを消す。

 夜は優しい。
 その手に掴まれても痛みがない。

生きているだけでいいや。