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オランダからの学び Delft工科大学, World Horti Center,...

2024-03-12 オランダ(Netherlands)は九州と同じくらいの面積の国ですが、国土の1/4が海抜0m以下にあります。決して農業に適した土地ではないながらも、サイエンスの力を使い工夫を凝らすことで今や有数の農業大国となっただけでなく世界で最もSocial Capitalが充実した国としても知られています。今回、このようなオランダの農業を肌で感じ、それに取り組む方々から学びました。 


2024年3月10日

成田を12:10に出発しチューリッヒに18:30に到着。時差が8時間ありますので、14時間半のフライトでした。その後、20:45のアムステルダム行きに乗り、22:25頃にスキポール空港に到着、ホテルにチェクインしたのは深夜12時近くでした。

NRTからZRH
AMS到着後747があるホテルへ

2024年3月11日

Delft University of Technology

Intercityでフェルメールの街デルフトへ

午前中に、スキポール空港からロッテルダム行きの列車に乗り、目的地のデルフトに到着しました。一旦、荷物を預けるためにホテルへ向かう途中、水の街オランダらしく、Institute of Water Educationの建物を見つけました。午後はデルフト工科大学(Delft University of Technology, TU Delft)を訪問しました。デルフト工科大学は1842年に創立されたオランダで最古の国立工科大学で、学生数は約25,000人、工科系大学では世界トップクラスの名門校です。

Inst. Water Educationからデルフト工科大学へ

正門から入り、レストランやカフェが入る建物を通り抜けたところに緑の丘がありました。麓の入り口から中に入ってみてびっくり、図書館でした。壁全体が本棚で、さまざまなタイプの自習机が設置されていました。議論する人々と集中して勉強する学生達が共存できる、音響なども含め非常に良い構造(机や椅子の配置)となっており、カフェも含め快適な空間でした。

入口と緑の丘のしたにある図書館
壁面全面書庫に囲まれた自習スペース

カフェにはMini Mojo(小さなお守り)が置かれ、自由に持ち帰ることができます。このMini Mojo、自分で保持していても良いし、返却しても良い、人にあげても良いものです。これを持つことで、この図書館を介したつながりを感じることができます。我々が信頼の証として、白糠町や伊達市に導入するAsirtieの一つの形かもしれません。このMini Mojoを前にして、Asirtieについて、そのあり方や構成など有意義な議論ができました。

カフェで配布されたMojo(お守り)

2024年3月12日

World Horti Center

朝イチでWorld Horti Centerへ向かいました。このセンターはResearch(研究), Education(教育), Entrepreneur(アントレプレナー), Government(政府)の4つの機能を持ち、これらが密接に連携して活動しているセンターです。入構後、植物に囲まれた休憩所の奥に日本国旗が表示されていました。施設の説明をしていただいた場所にも日本国旗とオランダ国旗が掲揚されており、彼らの素晴らしいホスピタリティを感じました。

日の丸での歓迎と驚異的な収穫量の説明

オランダで施設園芸が成立する最大の理由は、単位面積あたりの収量の大きさです。路地栽培の場合6 kg/m2の収量が、現在のガラス温室栽培では80 kg/m2以上、未来のIndoor栽培では100 kg/m2以上が可能とのこと。これを可能とするのが、徹底的な最適化です。Temperature(温度)、Water(水)、Light(光)、Humidity(湿度)、CO2、Soil(土壌)、Grower(栽培者)の7つの条件に加え、品種改良や接木などの栽培技術、地熱(温水)の活用など、科学と技術に基づく徹底的な最適化により現在の高収量を達成したとのことです。農地としての条件が悪いオランダという国だからこそ、一生懸命、細部にこだわってこの収量を達成したのでしょう。トマトにいたっては、現在、生産量の8割を輸出しているとのことでした。

植物が必要とする波長のLEDを用いた栽培
栽培研究ゾーン

その後、LEDライトによる植物に合わせた光の照射技術について説明がありました。私は、基礎生物学で光合成について教えているのですが、その中で、植物の葉緑体に含まれるクロロフィルは基本的には青色と赤色の光を吸収する(なので、残った緑色が反射され、多くの植物は緑に見える)と解説しています。今回の解説では、植物によって吸収する波長が異なるので、それに合わせてLED光を調節するとのことでした。また、6 cm四方のドローンによる昆虫の駆除や、デンソー社の収穫ロボットなどの説明もありました。
 
最後に、誰でもレンタル可能な区画を見学しました。こちらの区画では、それぞれ栽培条件を独立してコントロールでき、さまざまな企業が様々な試験を行っていました。また、学生の実習にも使われてました。
 
農業を突き詰めるためには様々な分野の技術や経験が必要です。施設内の学校では、1200人の学生がロボットの制作などを学習し、栽培の試験もしています。また様々なセンサーが設置され、そのデータ解析がなされていました。World Horti Centerでは、学生を含む幅広い年齢層、多種多様な企業が手を取り合い、Commonを合言葉に農業に取り組んでいました。

Tomato World

World Horti Centerから数キロ先にTomato Worldがあります。まずは、スタッフによる説明です。説明するのは今回が2回目ということでしたが、非常に分かりやすい説明でした。Tomato Worldには90のセンサーが設置されており、5G通信でそれらのデータを刻一刻と収集、分析しているとのことでした。

Tomato Worldと最初の説明
金とほぼ等価の貴重な種子と設備の模型

高度な施設園芸では、それに最適化された種子も重要です。写真の種子1 kgで2 haの栽培が可能とのこと。品種は栽培収量に直結しますので、種子は非常に高価なようです。その他、地熱も有効に利用していました。地下4 kmから140 ℃の温水を汲み上げこれを熱源としています。温水の採掘は政府が行なっており、この地域で4〜5本の井戸があるとのこと。この温水は、温室の熱源に利用する他、家庭用の熱源としても使用されているとのことでした。確かに、1農家が採掘できるものでは無く、政府が音頭をとることで、地域全体の熱源として利用することが可能になるのでしょう。
 
この後、実際にトマトの栽培現場を見学しました。栽培エリアに入室するためには、入念な手の洗浄の他、靴カバー、用意された上着やヘアハットを着用するなど、温室内に昆虫や微生物、ウイルスなどを持ち込まない対策が取られました。スマホも預ける必要があったため、写真は撮影できませんでした。

人間の声などに反応する植物と味覚の説明

温室内では、様々な企業が試験をしていました。受粉のために蜂が飛び回っていましたが、多すぎてもだめで、適切な数が必要とのことでした。その他、トマトの画像から、収量予測などもしているようでした。このような実証試験を繰り返し、現在の高収量が実現できるようになったのでしょう。
 
最後に、人に反応する植物や、5種類の味覚の説明などを受け、充実した学びになりました。

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