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Illustratorのアートボードについて見落としがちなこと

Illustratorを使う上で無視できないアートボード。CS4(2008年リリース)で導入されましたが、その後、地道に機能が強化されています。

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書き出してみたところ、アートボード関連だけでかなりのトピックがあるのですが、特に下記の点を見落としやすいなどを取り上げます。

  • アートボードの上限は100 → 1,000に

  • コピーしたオブジェクトを、すべてのアートボードの同じ座標に一括でペーストできる

  • アートボードをコピーし、ほかのドキュメントにペーストできる

アートボード数の上限、一辺の最大値

Illustrator CS4で導入されたときのアートボードの上限は100。一辺の最大値はおよそ6メートルでした。

CC 2018(2017年)にアートボード数の上限が1,000に変更、Illustrator 2020(2020年)にアートボードの1辺の最大値が10倍のおよそ60メートル(57795.5833mm=2270インチ)になりました。

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「拡大縮小しても劣化しない」のがIllustratorなのに必要なの?って疑問が若います。

出力時に拡大すると、パスの[平滑度]あたりの設定によって“カクカク”してしまうといったトラブルのため、「原寸で作成したい」というニーズがあるようなのです。

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野立看板、壁面広告、バスの外などの大判アートワークにて使われます。

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アドビのサイトから

アートボードとカンバスの関係

アートボード、カンバス、ドキュメントは次のような関係です。

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アートボードの数(および大きさ)はカンバス内で可能な限りという制限がついています。
たとえば、アートボードがひとつの場合には60平方メートルの大きさで作成できますが、その大きさで作成すると、その隣にはアートボードは作成できません。

現在、Photoshopにもアートボードがありますので、同じ関係になったといえます。

アートボードのエッジがぼやける-01

アートボード内のみを表示する

[表示]メニューの[トリミング表示]を実行すると、アートボード外にはみ出ているオブジェクトが非表示になります。

イラレ知恵袋003

アートボードのエッジがぼやける

Illustratorでアートボードサイズで書き出したときにエッジがボケるなどの問題は、アートボードのXY座標に端数があることに起因します。

アートボードを選択し、[オブジェクト]メニューの[ピクセルグリッドに最適化]を実行しましょう。

注意点として、次の場合に見かけの数字に端数が出ることがあります。

  • 基準点(9個のマス)のデフォルトの「中心」になっているとき

  • 単位が「ピクセル」以外のとき

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noteにもまとめています。


すべてのアートボードの同じ座標にオブジェクトを複製

複数のアートボードを使ってIllustratorで制作しているとき、「残りすべてのアートボードの同じ場所に複製したい」ことがあります。

その場合には次の手順で行います。

1. [編集]メニューの[カット]
2. [編集]メニューの[すべてのアートボードにペースト]

カットでなくコピーだと、ダブってしまうので注意。

特定のアートボードのみに複製

特定のアートボードのみに複製したい場合には[編集]メニューの[同じ位置にペースト]を実行します。

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前面にペースト/背面にペーストでもOKですが、ペースト先のアートボードが選択されることを確認の上で。

どのアートボードで作業しているかを知る

ビデオ定規を表示しておくと、「どのアートボードで作業しているか」を視覚的に確認できます。

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アートボード名の変更

デフォルトでは、次のように行います。

  1. [アートボード]パネルで変更したいアートボードを選択

  2. [アートボード]パネルメニューから[アートボードオプション]をクリック

  3. [名前]を入力してOK

スクリプトを使うことで自由度が増します。

アートボードの全体表示

Illustratorの制作では「左手はキーボード、右手はマウス」が基本。

ツールの切り換え、メニューコマンドのキーボードショートカットを左手のみで完結できるようにカスタマイズすると、右手の「マウス←→キーボード」の移動が減り、はかどります。

左手だけで実行できるように、キーボードショートカットを変更するとよいでしょう。

  • 100%表示:⌘ + 1

  • アートボードを全体表示:⌘ + 0

  • すべてのアートボードを全体表示:⌘ + option + 0

 ↓ ↓ ↓

  • アートボードを全体表示:⌘ + 1

  • すべてのアートボードを全体表示:⌘ + option + 1

アートボードサイズの変更

「選択している図形に対してアートボードサイズを変更する」3つのアプローチがあります。

  • アートボードに変換

  • オブジェクト全体に合わせる

  • 選択オブジェクトに合わせる

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アートボード(そのもの)のコピー&ペースト

2020年3月以降、同じドキュメント内、および、ほかのドキュメントにアートボード単位でコピー&ペーストできるようになりました。

  1. [アートボードツール]でアートボードを選択し、コピー

  2. ドキュメントを切り替えてペースト

アートワークだけでなく、アートボードのサイズ、アートボードとの位置も一緒にペーストされます。複数のアートボードを同時にコピー&ペーストできます。

その際、次の設定をチェックしましょう。

[レイヤー]パネルオプションの[コピー元のレイヤーにペースト]

ペースト先のドキュメントにコピーしたアートワークのレイヤーがないとき、自動的に生成され、そのレイヤー情報にペーストされます。

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デフォルトはOFFです。


環境設定で[ロックまたは非表示オブジェクトをアートボードと一緒に移動]

次のオブジェクトが一緒に複製されます。

  • ロックされたオブジェクト

  • 隠されたオブジェクト

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デフォルトはOFFです。常にオンにするのが望ましいです。

アートボードへの整列

[整列]パネルメニューの右下で[アートボードに整列]を選択しなくても、選択しているのがオブジェクトひとつなら、自動的に[アートボードに整列]に切り替わります(グループ化していてもOK)。

整列の進化-03


複数のアートボードの出力

複数のアートボードを使っている場合、[複製を保存]ダイアログボックス下部の[アートボードごとと作成]オプションにチェックが付き、[すべて]が選択されます。これによって、それぞれのアートボードが、PDFのページとして書き出されます。

特定のアートボードのみを抜き出したい場合には、[範囲]オプションを選択し、次のように指定します。

連続したアートボード:「2-4」のように「-」でつなぐ

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連絡しないアートボード:「1, 3」のように「,」でつなぐ

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たとえば、A3二つ折り(A4仕上がり)をIllustratorで制作する場合、印刷用には「表4+表1」の見開きと、「2ページ目+3ページ目」の見開きを使いますが、確認用やホームページなどでの配布用には、1、2、3、4のようにページ順のPDFが必要です。

このような場合、「表4」、「表1」をそれぞれのアートボードで作成し、それを横に並べて、A3サイズのアートボードを下に重ね、ダイアログボックス内にて書き出しページを指定することで出し分けが可能になります。

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