テクニカルサポートを受ける方への処方箋
次のような相談を受けました。
よい機会なので「テクニカルサポートの受け方」について、まとめてみます。私だけでなく、ユーザーコミュニティ、Twitter、アドビのサポートなど、どんな対象であれ同様です。
また、きちんと伝える過程で問題を整理していくと、その過程で自己解決できることもありますので、一度、読んでみてください。
テクニカルサポート=原因の特定
テクニカルサポートとは「原因を特定」すること。
原因を特定するためには「比較テスト」を行い、どこに問題があるのかを特定します。
比較テストのためには詳細な情報(と、できれば実データ)が必要です。
言い換えると、“その”PCのトラブルなのか、ソフトウェアの“バージョン”の問題なのか、“その”ドキュメントの問題なのか、などを切り分けて(=特定して)いきます。
「再現性」という言い方をしますが、サポート側にて同じ状況を再現できない限り、基本的にはサポートは難しいです。
「あ、これはよく発生しているエラーなので、こうしてください!」と、「皆まで言うな…」的に単純こともありますが、基本的なスタンスとして覚えておくとよいと思います。
環境を正確に伝える
どんな名医といえ、患者さんの情報がわからないければ判断できません。そこで、テクニカルサポートでは最低限の情報として次を伝えます。
〈ソフトウェア〉
• OS
• ソフトウェアのバージョン
〈ハードウェア〉
• 種類:機種名
• 搭載メモリ
• ハードディスクの空き容量
《例》
• macOS Mojave(10.14.16)
• Illustrator 25.3.1
• Mac mini (2018) Intel
• メモリ:64GB
• ハードディスク:2TB(空き容量:327GB)
「え!面倒い!!」という方は、一度だけ調べて、この情報をいつでも取り出せるようにメモとして保存しておきましょう。
なお、
といった場合でも、調達している方が同じ場合、(貧弱な)メモリ環境に起因することもあります。
環境の調べ方
「そんな細かいスペックなんて、わからない…」という方は次の手順で調べて、スクリーンショットを添付しましょう。
1. アップルメニューから[このMacについて]をクリック
2. 表示されるウインドウの[概要]タブにて、OS、機種名、メモリを調べる
3. [ストレージ]タブに切り替え、ハーディスクの容量、空き容量を調べる
“症状”を詳細に知らせる
今回の場合「ドロップシャドウをかけたオブジェクトや写真を拡大縮小する時にエラーが出て」とのことですが、次のように多くの原因が考えられるため、特定するのは困難です。
• オブジェクト:単純な図形でも発生するのか?
• 写真はリンク?埋め込み? 解像度はどのくらい?
• 拡大・縮小は、実際、どの程度の比率で行っているのか?
• 具体的に発生するエラー(の文言)は?
• ソフトウェアをバージョンダウンしても起こるか?
エラー/アラートなどは文字ベースでなく、スクリーンショットを撮って伝えるのがベストです(文字の場合、正確な文言が必要です)。
スクリーンショットでなく、一連の動作をムービーに撮るのもオススメです。
「ワークアラウンド」という考え方
ここ数年のA社のIというソフトウェアには、マイナーアップデートごとに現場で困るトラブルが発生しています… これはこれで困りものですし、「品質管理」という面からどうしたものか…と絶望的な気持ちになりますが、完璧なソフトウェアなど存在しません。
今回の場合、次のようにお知らせいただきました。
「だったら、それでいいんじゃないか」が、今回のシンプルなお答えです。もちろん、線幅や角丸の大きさの調整は必須です。
「ワークアラウンド」、日本語にすると「回避策」ということですが、とりあえず、問題を回避するための方策を取って仕事を進める、というのもアリです。
言い換えると「きちんと原因を究明して解決する」だけでなく、目先の仕事を進めるために、そのバグを迂回するような手順に切り替えるという考えです。バグだけでなく、「うーん、なんかうまくいかない…」ことは多々ありますので、同じ結果に至るために複数のアプローチを持つことを、意識的に行っていくとよいでしょう。
まとめ
今回の場合、私(鷹野)の環境では発生していませんし、ほかでも聞かないため、発生している環境に原因があると思われます。
まずは、次のことを試してみてください。
• 異なるPCでも発生するのか?
• ソフトウェアをバージョンダウンしても発生する?
• 問題が発生するオブジェクト(画像)のみでも発生する?
それでも解決しない場合には、次を添えてご相談ください!
• 基本となる環境に関しての情報
• 再現する実データ
• スクリーンショット(または動画)
オマケ:アドビの異なるバージョンのインストール
次の手順で「アンインストール」することなく、過去バージョンに切り替えられます。
1. アプリの一覧から[他のバージョン]をクリック
2. インストールしたいバージョンの[インストール]ボタンをクリック
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