Illustrator 2023(27.1.1)アップデート
Illustrator 2023のアップデート27.1.1がリリースされました。アップデートのポイントを深掘りします。
前提として、2022年10月リリースのポイントを押さえておきましょう。
「クロスと重なり」のビットマップ化問題の解決
「おー!これは!!!」と狂喜する人が多い反面、「クロスと重なり」には次のような問題があり、ガッカリした方が多い機能です。
拡張機能がない。[分割・拡張] → パスファインダーの[合流]を実行するしかない(さらに、多くの不要なパスが残りがち)
InDesignに配置したり、PDFに書き出したりするとビットマップ化される
Illustrator 2023(27.1.1)では次のように進展しています。
拡張 → 機能としてはないが、[透明部分を分割・統合]してもゴミのようなパスが生まれない
InDesignへの配置(PDF書き出し)時にビットマップ化される → 解決
カラー変更のリアルタイム反映
マウスのドラッグに応じてリアルタイムにオブジェクトのカラーに反映されるようになりました。
カラーピッカー
[カラー]パネル
不透明度のスライダー
従来はマウスボタンを離さないと反映されませんでした。地味ながらとてもナイスな改善です。
なお、アドビのサイトに掲載されているこの図、間違っています…
マウスポインターはカラーピッカー上にないと意味が通りません。
しかし、問題が…
カラー変更のリアルタイム反映を使うには環境設定の[リアルタイムの描画と編集]オプションをONにしておく必要があります。
「ONのままでいいんじゃない?」と思いますが、エッジが白いオブジェクトや「塗り:白、線:なし」のオブジェクトを移動しているとき、パスが見えなくなってしまいます…
ライブカラー?
USでは、この機能を「Live Color」と呼んでいます。確かにライブなカラーリングですが、ライブカラーといえば「オブジェクトの再配色」…
ややこしいですね🥲
箇条書き(記号、自動番号)のテキスト化
2022年8月リリースのIllustrator 2022(26.4.1)から箇条書き(記号、自動番号)が可能になりました。
箇条書き(記号、自動番号)にはのような問題がありました。
下位バージョンで開くと、テキストが強制的にアウトライン化される
箇条書き(記号、自動番号)をテキスト化できない
デフォルトで「・」が離れすぎ
UIが複雑で、もぐらないと設定できない
テキストに変換
「テキスト化できない」問題のみ、27.1で解消されました。
コンテキストメニューからも実行できます。
なお、[テキストに変換]を実行すると、変換前と同じ体裁になるように次の値が調整されます。
左インデント
1行目左インデント
タブ
3D(ねじりとテーパー)
3D効果に「ねじり」と「テーパー」が加わりました。
テーパー(taper)は、値を小さくするほど、すぼんだ感じになります。
カワココさんが、ねじりとテーパーを組み合わせた作例を公開されていました。さすが!!!
修正された問題
次の問題が修正されたと「修正された問題」ページに掲載されています。
27.1
環境設定/テキストで「入力中に箇条書きリストのレベルを自動変更」オプションの選択を解除すると、特殊文字に対して自動的に箇条書きが作成される
孤立したグループで「すべて選択」オプションを使用すると、レイヤー内のロックされた非表示のオブジェクトも選択され、移動できてしまう
Illustrator スクリプトで、定規の単位がフィートまたはフィートとインチの場合、RulerUnits.Unknown が表示される
安定性に関する修正
27.0.1
[macOS] カラーピッカーツールで、右クリックして「16 進数値」フィールドに値を貼り付けると、フィールドと Illustrator が機能しない
編集モードでカラーブレンドが不正確に表示される
安定性に関する修正
まとめ
「クロスと重なり」にせよ、「箇条書き(記号、自動番号)」にせよ、ようやく使える機能になりつつあります。
ものかのさんの言われるように「新機能」として打ち出すのではなく、テクノロジープレビュー扱いがよいと思うんですよね〜
まとめ(2)
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