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たまの旅日記 島根への旅 その2 奥出雲の仁王像、その数奇な運命を想う

こんにちは、猫のたまです。

島根への旅、プロローグはアムステルダムから始まりましたが、今回はやっと島根県に入ります。東京駅から福山駅まで新幹線で約3時間半、ここからレンタカーを借りて一路、出雲横田を目指します。松江道高野ICを降りて30分程走るとカーナビが、「島根県に入りました」と教えてくれました。猫のたまにとっては、「初島根県」です。山の中をさらに1時間ほど走り、漸く目的地の出雲横田に到着です。

大きなしめ縄のあるJ R出雲横田駅
昭和、もしかしたら戦前?から時が止まってしまっているような横田のメインストリート

さて、岩屋寺が廃寺になり、遥か彼方のアムステルダムの国立美術館に売られてしまった仁王像ですが、多くの人の運命をも変えてしまったようです。その一人が、オランダ人のビジュアルアーティストのイッケさん。彼女が初来日したのは2015年で、その際、たまたま岩屋寺を訪れ、空っぽになった仁王門を見て心を痛めたそうです。そして、一念発起したイッケさんは、本物の仁王像の代わりに、オランダのデルフトタイルに描いた仁王像を飾ろうと思い立ったのです。540枚のタイルにイッケさんが描いた下絵を元に、オランダと島根の人々約500人に仁王像を描いてもらうというプロジェクトを開始したのが2018年。それ以来、島根とオランダを何度も往復しながら、仁王像2体の正面と裏面、合計4対のタイル作品を完成させ、2023年11月に漸く町の人々にお披露目となったのです。

仁王像タイルのお披露目があった本町会館

しかし、当の岩屋寺の仁王門は、著しく傷んでいて今や崩落寸前。当面は本町会館で展示するということで、仁王門の修復が今後の課題となりそうです。

イッケさんに案内してもらい、岩屋寺にも行ってみました。岩屋寺は山寺で、本堂へは20分程の道のりを歩いて登ります。本堂はさらに朽ちていて、屋根は破れ、土台はいつ土砂くずれが起きてもおかしくない状況でした。本堂をもう少し上に登ると、大きな割れた石があって、その上から横田の町を一望することができます。日本語も分からないまま、仁王像のために奔走するイッケさんのこれまでの苦労を思いながら、今後のこの町の行く末をきっと仁王像が遠いアムステルダムの地で見守っていることだろうと、勝手に解釈して横田の地を後にした猫のたまとカエルのぴょん子だったのでした。

崩れそうな仁王門の前に佇むイッケさんを撮影するカエルのぴょん子
岩屋寺に向かう参道には88体のお地蔵さんがあったそうです。
岩屋寺の本堂の上にある「切開」。幾多の困難に立ち向かうも、イッケさんは常にポジティブ。

たまのプロフィール
千葉県船橋市にあるトラベルサロンの飼い猫で、親切な社長に拾ってもらいました。前職はヨーロッパのとある国の観光プロモーションの仕事を30年以上続けていた旅好き、鉄道好き、手芸好き猫。ブログで旅日記を掲載中。

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