正拳突き
あれは22歳の冬だったかな?
noteで何度か書いている、山口県の精肉で働いていた頃の話。
ネルソンズの同級生のゆかちゃん(運命か偶然か)とお別れをし、僕は出会いを求めバイト君と頻繁にコンパしていた。
何回目かに、同じショッピングモールの美容部員の女の子3人とコンパすることになった。
若い男子は美容部員って響きだけで興奮しちゃうよね。
その日も僕とバイト君でくだりを連発して女の子達を盛り上げ、同じ職場なので変な事はせずに、みんなでメアドを交換して帰った。
いや、メアドの交換て!なつい!
数日後、1人の子に連絡して飲みに行く事に。
山本梓さんに雰囲気似ている美人さんでした。
2人で飲んでる時も、どこか古風な雰囲気ある育ちのいい子だなぁって印象だった。
駄目もとで、飲み終わりに「家来る?」と誘うと意外にもあっさりOK。
当時自慢の部屋に連れていく。
(ビレッジバンガードが最強だと思っていた男)
その子は部屋のダサさに何の反応も見せない。男を立てる非常に出来た子だ。
いい感じの雰囲気になりそのままベッドイン。
朝になり、僕は仕事が朝早かったので鍵はポストに入れといて!と言い残し出勤。
ここまでだと、
「なんだよ、拓のただのいい女の子抱いた自慢かよ!!」っとお思いの方がほとんどだろう。
でも僕は仕事しながらずっと思っていた。
「あの子、なんか違う」
かわいいし、気も効くし、品あるし、ノリも悪くない、
「でも、なんか違う」
皆さんも少なからず経験はあるだろう、この
「なんか、違う」
って恋愛や男女関係に置いて凄く大事じゃないですか?
僕はその「なんか違う」感が仕事中ずっと頭から離れなかった。
家に帰りドアを開けると、部屋がピカピカに掃除されていて、手料理が置いてあり、手紙が置いてあった。
これをされて喜ぶ人もいるだろうが、
僕は「なんか違う」感が爆発した。
すぐメールして、家に来て貰った。
僕は率直に、君と付き合ったりする気はない。
と伝えた。
理由は?と聞かれたので、
君は「なんか、違うんだよ」
と、言える訳ないので、
来年の春東京に行くつもりだから!
と、ちょうどダイとお笑いやるか?みたいな話をしていたので、それを理由にした。
その子は泣きながら、「分かった」と言ってくれた。
そして、「最後に1つだけいい」と言ってきた。
僕は
「最後に強く抱きしめて」
「最後にあついキスをして」
みたいなやつだと思い、かっこつけながら
「なに?」と言ったら、その子は
「最後にお腹を一発殴らせて」
と言ってきた。
僕は「冗談はやめてよー」って言葉をその子の目を見た瞬間に飲み込んだ。
本気の目をしていた。
僕は覚悟を決め、「いいよ」と言った。
でも正直女の子のパンチだし、お腹だし、余裕っしょ!って思っていた。
その子は、拳を握り、すーっと構えた。
その瞬間僕は全身の鳥肌がスタンドアップした。
明らかに何かをしていた人の構えだし、オーラがさっきまでと全然違う。殺意まで感じた。
僕には愚地独歩にしか見えなかった。
「えぇーい」という声と共に正拳突きが、僕のお腹に突き刺さった。
僕は目がチカチカして、頭に星がくるくるして漫画のように倒れこんだ。
そして、
今度一生言われること事のない、
女性からの別れ際のセリフを言われた。
「押忍!!」
後々別の人から聞いた情報では、家が代々空手の師範らしい。
どこか古風で品があるのも納得だった。
いつかその子に会ったら言いたいな
「なんか違うけど、いいパンチだった」と。
終。
今日で毎日更新が丸3ヶ月になりました。
最近は不真面目な自分への戒めの為に毎日更新しているので、雑な内容になってもあしからず。
今月もありがとうございました‼️
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