暗くない日記

暗くない日記もあります。

11月13日
「微笑みながら消えていく」という銀色夏生さんの本を、高校生の時に買って持っていた。読んでいて、ふとページをめくる手を止めてしまうようなフレーズがいくつもある素敵な本だったのだけれど、いつかの断捨離の時に売ってしまった。
今日久しぶりに本屋さんに行って、銀色夏生さんの本を見つけて、「微笑みながら消えていく」の好きだった部分がいくつか思い浮かんで、猛烈に読みたくなって、けど売ったので手元になくて、と、いつもそういうのを繰り返してしまう。謎の自意識が暴走して売ってしまったのだ。置いておいてもよかったのに。そんな分厚い本じゃなかったのに。
1番最初に出てくる(確か)詩が一番好きで、なのに全然覚えていなくて、ネットで調べたけど分からなかった。「〜〜〜でも、涙は熱い」のようなフレーズで締められる詩。「紙の上の恋のようなロマンスでも、涙は熱い」みたいな感じだったと思うんですけど、全く定かではないです。
人生で好きになった全てのものを持ったまま生きていきたいと思うのに、どんなに好きだと思っても、過ぎていく時間のなかで順々にぼろぼろとこぼれていってしまう。それでもかろうじて引っかかっているものもあって、こういう時にふとその欠片を思い出して、すごくがんばって全部を思い出そうとするけれども、だいたい上手くいかない。さみしい。でもそのさみしさも実は良かったりする。

11月14日
その後色々探して、昨日思い出せなくて悩んでいた詩は「紙の上の雲」という詩だったということが分かった。おしかった。詩集の、帯にその詩が丸々載っていて、高校生の頃の私は帯に書かれたその詩を読んで、心を握りつぶされて、なけなしのお金でハードカバーのその本を買ったのだということを思い出した。
思い出せて良かった。良い詩だった。著作権等全然分からないですが、載せてくれた方ありがとうございます。どんなに時間が経っても、良いものは良い。私がおばあちゃんになった時に読んだとしても、きっと。
「紙の上の雲のような
ロマンスでも
涙は熱い」

11月15日
今日行った病院の受付の人が、「でもその人連絡取れない系男子なんですよ〜」と別の受付の人に話していて、そのあとすぐ私の名前を読んで「1,500円になります」と領収書と処方箋と保険証と診察券をポイっと出してぶっきらぼうに言ったので、「やめちまえそんな奴!」と言いそうになったのを我慢して2,000円渡しておつりをもらって帰ってきた。
この世の中には確かに「連絡取れない系男子」というものが存在しているのを私も知っている。そしてそうか、今はそういう名前がついてそういう括りになっているのだな、と思って少し面白かった。連絡取れない系男子に行ってしまう女子は、追いかけたい系女子なのだろうか、優しくされると逆に引いてしまって、自分に優しくない人を追いかけてしまうような。私は女子力が低いしそういう分析も全く分からないけれど、年を取って分かったことは、連絡は、取れた方がいい。

#日記

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