ドラッグストア推奨品販売の功罪④【推奨品販売の罪過】
こんにちは、今回は上げてから落とすケイタです。
推奨品販売に関するnoteも4回目、今回は推奨品販売がもたらした『罪』についてです。
ドラッグストア業界だけでなく様々な業界に通ずる話題かと思いますが、一緒に考えてみましょう。
前回は『功績』を下記のようにまとめました。
【推奨品販売の功績】
①商品育成
②顧客教育
③従業員教育
④利益確保
⑤顧客固定化
これに対して僕の考える『罪過(ざいか)』は以下の通りです。
罪過
①商品知識の偏り
まずは商品知識。
…とは言っても推奨品の知識ではなく、『NB商品』の知識です。
「知ってるよ、アリナミンEXもベンザブロックも成分把握してるし」
と言われる方も多いと思いますが、それは『推奨品の対抗品』だからではないですか?
お客様から聞かれ、推奨品との対抗馬として、噛ませ犬としてNB品の知識を持っていませんか?
ポポンSの成分は? どんな方に勧める?
タナベウルソは?
サクロンQは?
抗ヒスタミン剤が入っていない風邪薬は?
防風通聖散が使えるのはどんな人?
この「推奨品とその対抗品NBの知識だけ豊富にある」状態は大変危険です。
僕らはセールスマンではなく、末端とは言え医療機関との架け橋役です。
来店されるお客様のQOL(生活の質)を向上させる事が目的であり、それが店舗の信頼を高める要素でもあります。
「売れ」と言われた商品だけを売るのは営業職の仕事であり、我々小売業のスタイルではありません。
もし推奨品のみで仕事をしていて実績も出しているなら、営業職への転職をお勧めします。もっと活躍できるはずです。
②顧客からの信頼
以前Twitterでこんな質問をしました。
6割程度の方が「ドラッグストアで声掛けをされると悪いイメージがある」と感じています。
これは由々しき事態です。
確かに声掛けを行い「大丈夫です」と避けられ、お客様はそのまま売場で悩み続けたりスマホで調べていたり…という場面は1日にかなりの回数に及ぶと思います。
推奨品販売が全てこの結果に繋がっている訳ではないでしょうが、一因にはなっているでしょう。
「あの店は相談すると○○しか勧めてこない」
等と思われたらどうなるか?
これはもはや店舗や会社への悪評でしかありません。
前回で推奨品販売の功績を書きましたが、ともするとその功績が全て無に帰した挙句マイナスになる可能性すらあります。
それなら25%は利益取れるんだからNB品でも良くね?となります。
③副作用リスク
これが法律的、倫理的には最も大きい問題です。
実績を上げた一心で、効能効果以上の事をアピールしてしまう従業員が一定数います。
ここは僕を含め皆さんが自戒しつつ反省しなければいけないところです。
本当にお客様はその推奨品を納得して購入されたか?
売りたい気持ちだけで持病等含め副作用リスクを説明、確認はしたか?
お客様が購入しようとした商品から無理に推奨品へスイッチしていないか?
疑いながら使用すればノセボ効果(プラセボの逆)で期待した効能が出ないかもしれません。
もしかしたら持病があるかもしれません。
無理にスイッチしたら、実は家族からの頼まれものだったのでご自宅でトラブルになっているかもしれません。
接客時に充分なヒアリングをせずに販売する事はリスク以外の何物でもありません。
ここは本当に大切なところ。
困って来店されたお客様に、会社や従業員の成績を上げるがために不必要なものを販売する事は、「悪」以外の何物でもありません。
④高すぎる目標値
それもこれも、コレが原因でしょう。
毎月課される「目標値」「予算」。
会社員なら当然課されて当然です。
しかし、我々が販売しているのは「副作用リスクがある医薬品」です。
人を不幸にする可能性があります。
薬はリスクが上回れば「毒」です。
それに対して「販売目標」があるのは全くもってナンセンスな話です。
目標をクリアしたら更に高い目標を設定される事もザラでしょう。
店舗全体的の昨対売上がマイナスなのに推奨品は110%…などと言われても無理な話。
途方に暮れた挙句、効能効果以外の効能をアピールしたり、持病確認しなかったり…
売れればOK、その時良ければOKなのは成績の上だけの話。
サラリーマンである以上、成績を追うのは必要ですが、越えてはいけないラインはあります。
だからこそ無理な目標値は設定すべきではないですし、異常値を叩き出した従業員や店舗を褒め称えるのも間違っています。
我々の仕事は、お客様に合った商品を提案する事であり、目標をクリアする事ではありません。
⑤顧客離脱
①〜④を行うとどうなるか。
そう、お客様が離れます。
最終的には会社の損害となります。
以上の事から、個人的には推奨品販売制度には強く反対します。
とは言え、僕らはサラリーマンでもあります。
資格者としての責務を果たしながら、会社の指示を守り目標を達成するというベクトルが異なった結果を残さねばなりません。
次回は『推奨品販売にどう対応すべきか』。
難しい問題ですが、考えてみます。
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