美濃加茂市長汚職事件の真実 10




「身の危険」と一言で書いたが、読んでいる方は、どんな事を想像されるだろうか?


ここまで記してきた「(事件をでっち上げ)逮捕するぞ!」という脅し、恋人やその家族友人に至るまで巻き込むぞという脅し、その他色々な身の危険を感じた。

私の存在がバレ、メディア対応をやむなくするも、行儀の悪い記者は話している所を隠し撮りしたやつもいた。

不審な車につけられたり、車のタイヤにライターを使った発火装置が仕掛けられた事もあった。

常にそれらを意識するストレスも相当体調を蝕んでいった。
そしてこの日、私はこの事件最大の身の危険を感じることになった。


28日 南警察

流石に前日
「体調本当にやばいので」
と伝えたからか、警察から13時からでいいと連絡があり、13時に南署に行く。

多分あの2人も相当疲れているのだろう。

昨日の帰りの車での発言はその現れだ。

実際もう聞く事もなく、目的は私を潰すだけなのであの2人も相当焦っているのはひしひしと感じていた。


この日も前回と同じ暴力団担当の四課で行われた。

強面な警察官の睨み付けるような目、その日は連行された暴力団らしき人物の姿もあったが、私は特に気にも止めることはなかった。

前回と同じ一番奥の部屋に入ったが、ひとつ前回と違うことに気がついた。

ドアロックが施錠されたのだ。

通常容疑者の取り調べであれば、違法捜査を防ぐため、ドアロックどころか、ドアを閉め密室にすることも許されず、ドアロックをするなどということはあり得ない事だった。

しかし私は「容疑者」ではなく「参考人」だった。

(おいおい、そこまでやるのか。マジで命まで取られるんじゃないか?)

ドアロック、外には暴力団担当の刑事達、何が起きても証拠など表には出ない状況だ。


「本当に体調やばいんで今日はほどほどにしてください」

と頭痛と発熱もあり、身体が限界である事を訴えるが、オカダは

「まぁ頑張って」と特に配慮はなかった。


その日のクイズは少しアレンジが加えられていた。

基本は同じファミリーレストランの座り位置。

「どこに座った?」

「ここです」

「絶対?」

「記憶がある」

「記憶違いって事ない?」

「そう言われると自信なくなりますけど90%くらいは自信あります」

「こっちだっていうことは絶対にない?」

「絶対って言われると・・」

「さっき記憶があるって言ったでしょ?」

「そこまで否定されると自信なくなります。違うんですか?」

「違うともそうとも言ってない。聞いてるだけ」

資料を隠し見るようにしながら、1時間単位で同じことが繰り返される。

当時の記録を見ると3時間これが続いた。

体調不良と精神的にも完全に崩壊し始めた。

もう何度見たかわからない見取り図を見せられ

「で、どこに座ったの?」

完全に思考能力はなくなり
「何も浮かびません。何を言っても否定され自分の意見がわかりません」

と訴えると

「自分のことでしょ?」

ここで限界になり

「もうわからん」
と吐き捨てるように言った。

この時を待ち構えていたように2人同時に
「なんだ!その態度は!」
と恫喝を始めた。

大人になり温厚になった私だったが10代の頃のような怒りが込み上げ、2人に顔を付け合わすように立ち上がり
「はぁ?」
と凄んでしまった。

2人は明らかに待ってましたという表情を浮かべ、私が手を出すのを待っていた。

寸前でそれを察知し、天を仰いで深呼吸。

「すいません、追い詰められてパニックになりました」

と抑えた感情が切れないように静かに言葉を発すると

「いつ追い詰めた!!」
とフジシロが大声を上げた。

怒りと苛立ちと体調不良、自律神経の乱れを
(こんな茶番に、乗せられてはダメだ)
という冷静な心で制する。

そうはさせまいと2人は私の怒りを誘うため怒号を浴びせ続ける。

身体は武者振るいのように小刻みに震え、それを解放しようとする右の拳を押さえると身体の震えが呼吸器を痙攣させる。

浴びせ続けられる怒号が一瞬途切れたと思ったが、それは意識が遠のき椅子から転落しただけだった。

転落の衝撃で意識が戻り地べたになんとか座ると激しい過呼吸。

過去の経験から
(これはやばいな・・)
と思うも既に自力でコントロールする術はなかった。

魔の前にある窓にかかる鉄格子を見て
「これがなかったら飛び降りてただろうな」
と思った次の瞬間は何故か床に横たわっていた。

(あ、気を失ってたのか・・)

身体を起こし、床に座り込むとオカダが
「落ち着いた?」

と声をかけるが、その声に反応するように体が痙攣し、また意識が遠のく。

脳みそが大波のように大きく揺れるのを頭を掻きむしることで落ち着かせるが、目を開けても焦点は合わずまぶた以外は自らの意思で動かすことができない状態に。

「今日は終わりにするから」
とオカダの声らしき音が聞こえるがまだ身体は私の脳からの命令に応じることはなかった。

まぶたから少しづつ首まで動くよになり顔を上げると少し距離を取ったオカダがいた。


脳と身体の連携が少しづつ回復、床に落ちたポケットの中身を拾い上げ立ち上がろうとしたが転倒。

オカダ、フジシロの2人は手を貸すそぶりも見せずなんとか自力で立ち上がるとドアの鍵をあけ部屋の外に出た。
暴力団顔負けの凄みのある刑事たちが一斉にこちらを見る。

そのまま出口へ向かうも、足がもつれ転倒。

「大丈夫?」と強面の刑事が手を差し出す。

その手を掴まず自力で立ち上がりながら少し頷き、刑事の心配に答える。

机や壁を支えにしながら、やっとエレベーターに乗り込む。

オカダ、フジシロの2人が乗り込もうとすると、自分の意識とは全く関係なくとてつもない恐怖に襲われる。

「乗らないでください」
と2人に意思表示するも2人は無理矢理乗り込んできた。

何故か2人に怯え、身体はエレベーターの隅に張り付き震えるが、頭の中は(なんでこんなに怯えてるんだ?)
と自分の身体の反応と頭の中が完全に乖離し、その異様な感覚に吐き気をもよおした。

エレベータを降りると2人は何かを言っていたが、振り向く事もなく肉体は勝手に警察署の外へ逃げ出していた。


車に戻り、肉体と脳の連携を待ち、今起きた事を冷静に振り返った。

(確実に2度意識飛んでるけど、あいつら救急車すら呼ばなかったな。マジで殺す気かよ。俺の身体はまだしも何かあったら俺の証言はでっち上げられてしまう。なんとかしないと)
とこの状況下でどうやって
「藤井を守るか」
を模索していた。


しばらく考え私は次のような申入書を弁護士を通じ検察、警察に提出することにした。


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申  入  書


名古屋地方検察庁検事正 長谷川充弘殿

愛知県警察本部長 木岡保雅殿

平成26年7月1日
〇〇法律事務所       
高峰洋史代理人        弁護士  ・・・・


当職らは、名古屋市・・・・・高峰洋史(以下、「高峰」という。)より依頼を受け、本年6月24日より同月28日まで愛知県警察本部及び南警察署において行われた、被疑者中林正善及び藤井浩人の贈収賄事件に関する参考人としての高峰の事情聴取につき、以下のとおり申し入れます。


高峰の事情聴取を担当しているのは愛知県警察本部の岡田警部補及び藤代巡査部長であるところ、両名はその事情聴取において、高峰が質問に答えても「本当にそうか。」「証明できるのか。」「絶対に間違いないか。」等としつこく申し向けて高峰を混乱させ、同じ質問を繰り返しました。高峰は、このような事情聴取を連日、朝から夕方まで続けられたため、徐々に精神的に追い詰められて体調不良となり、6月27日の事情聴取の昼休み後には、両名に対し「体調が悪いので休ませて欲しい。」「帰らせて欲しい。」と申告するも、両名は聞き入れず、17時まで事情聴取を続けました。

さらに、翌6月28日は13時から事情聴取が始まり、高峰は両名に対し、「昨日からの体調不良もあるので1時間ぐらいでお願いしたい。」と述べるも、「まぁ頑張って。」と言って聞き入れられませんでした。そして、両名は、やはり同じ事を何度も質問する上、回答しても「絶対か?」等と繰り返し、前日までと同様に、高峰を混乱させて追い詰めていきました。これにより、15時頃、高峰は精神的に極めて不安定な状態に陥って身体が痙攣したため椅子から転げ落ち、一瞬気を失ったような状態となりました。その後、なんとか椅子に座り直したものの過呼吸を発症し、再び震え出し倒れました。なんとか意識を取り戻した高峰は、「もう帰らせて下さい。」と申し入れるも、藤代巡査部長は「落ち着いたか。」と述べた上、なお事情聴取を継続しようとしました。倒れたにもかかわらず事情聴取を続けようとする捜査官の態度により、高峰は極度の恐怖感に襲われ、再び倒れて意識を失いました。しばらくして意識を取り戻したところ、やっと「今日は終わりにする。」と言われて事情聴取が終了しました。

このように、連日にわたる事情聴取で高峰を追い詰め、高峰から体調が悪いとの申し入れを受け、さらには高峰が痙攣し意識を失ってもなお事情聴取を続ける岡田警部補及び藤代巡査部長の対応は、任意捜査の範囲を逸脱したものであって、明らかに高峰の人権を無視したものであり、決して許されるものではありません。

よって、当職らは、岡田警部補及び藤代巡査部長両名による高峰への事情聴取の対応につき、厳重に抗議いたします。


また、高峰は、今後も捜査に協力する意向ではありますが、これまでの経緯を踏まえ、今後捜査協力を行うにあたり、以下の事項を申し入れます。

1 高峰は、岡田警部補及び藤代巡査部長両名に対し、極めて強い恐怖心を抱いており、両名との接触により体調に異変を来す恐れがあるため、両名から高峰への電話連絡を含む接触をしないことはもとより、今後、担当者を変更されたい。

2 仮に、今後警察署において高峰から事情を聞く場合、高峰は取調室という狭い空間への恐怖心が大きいため、できるだけ広い空間で事情を聞くこと。

3 当然のことながら、高峰から帰宅要求があればすぐに応じること。

今後、これまでのようなことなきよう、適切なご対応の程、よろしくお願いいたします。

以 上


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「転んでもただでは起きない」という言葉があるが、正に「気絶してもただでは起きない」のが私だ。


この申し入れ書により愛知県警は私への調べが一切できなくなり、私に関しては、初日に取った簡単な調書一枚のみでこの事件を進めなければならなくなった。

これは痛手どころか完全に捜査は行き詰まる事となり、警察にできることは「藤井の自供」を取るしかなくなるが、この状況では何をしても自供などするわけがない状態になってしまった。

Twitterはこちら タカミネヒロシ ご意見などお気軽に
https://twitter.com/dsplab2011


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