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COOの仕事とは何か?

2月8日に行われた日本最大のスタートアップキャリアイベントSTARTUP AQUARIUMに参加させていただきました。

その中で自分はCOOセッションのモデレーターを務めさせていただきました。

COOセッションを通して、自分のCOOとしての仕事を振り返る中で、COOという仕事に対する理解が深まったので、それを書き記したいと思います。

COOセッションで出た「COOあるある」

 COOセッションの中で出た話題はどれも共感できるものばかりでした。

「COO自身も守備範囲が広く、自分の仕事とは何かと言いづらい」「とにかくCOOは忙しいが、何をやっている人なのかメンバーからもわからなかったりする」「渦中の栗を拾って人にパスするのが仕事」「ひたすらMTGが多い」「パワプロで言えばオールBのようなオールラウンダーが求められる」「泥臭いことは資質として重要」「やっている仕事内容がどんどんフェーズごとに変わっていく」など。

 「COOの仕事って会社やフェーズによって違うから全然やっている仕事が違う」と事前にさんざん言っていたのに、結局その場で出てきた内容は4人とも見解が一致するものが多い、というのは興味深かったです。そういった共通点から、COOの仕事とは何かの一端が見えてきました。

COOの仕事とはボトルネックの解消である

 スタートアップのCOOの仕事は「ボトルネックの解消」ではないかというのが、セッションを経た今の自分の仮説です。
 例えば、超優秀なエンジニアだけ10名で構成されるSaaS企業の場合、ボトルネックは開発以外のところに起こります。その場合に、例えばエンジニアを更に追加で1名採用したところで売り上げは増えず、セールスを採用すると一気に会社が成長を始める、といったことが起こります。

 結局のところスタートアップにおいて、「如何にボトルネックを解消し続けるか」ということが非常に重要な論点となり、COOはそこに注力するという性質を持つというのが気づきでした。

ボトルネックは移動する 

 ボトルネックには、「解消したら移動する」という性質があります。例えば、先ほどのようにエンジニアばかりのスタートアップにセールスが入って受注が始まると、今度は請求書の送付や入金の確認といった営業事務系の業務がボトルネックになり始めます。また、セールスの採用を続けるとコーポレート業務にもボトルネックが発生するかもしれません。このように、ボトルネックは解消すると今度は違う箇所にボトルネックが現れます。COOの多くが言う「フェーズごとにやっている仕事内容がどんどん変わっていく」というのは、こういったボトルネックの性質から起こっており、それらを解消していくには「オールラウンダー的な要素が求められる」ことになります。
 いくらボトルネックを解消したところで、どんどんボトルネックは違う箇所に移動してしまうので、その結果「常に忙しいが何をしているかはよくわからないCOO」が完成します。(揶揄しているわけではなく、COO職を全うするほどそうなる)

ボトルネックの解消のために行う仕事

 ボトルネックの解消のためには、大きく二点の仕事を行う必要があります。それが「ボトルネックの発見」と「リソースの投下」です。

ボトルネックの発見

 ボトルネックはまず発見しないことには解消することができません。まずはボトルネックを探すことが必須です。
 企業運営において、ボトルネックを探す際に有効なのは「観察すること」です。どこにボトルネックが発生しているかは、特定社員の残業時間が長くなって顔に元気が無いところから発見したり、開発とセールスがケンカしているところから発見されたりします。

 COOは組織が大きくなるにつれ「とにかく会議に出るようになる」という事象がどこの会社でも起こりがちです。組織の会議、プロジェクトの会議、1on1など、会議の種類は多様であるものの、とにかくどのCOOも会議が多いのは、そもそもそういった場でボトルネックが観測されやすいという性質があるからだと推測しています。

リソースの投下

 ボトルネックが見つかったとして、それらを解消するためには何らかのリソースを投下しなければなりません。
 COOは経営陣として権限を持っているため、リソースを投下する意思決定を行います。
 スタートアップを経営するうえで重要なリソースとしては、「ヒト/モノ/カネ/情報」が挙げられます。COOはこうしたリソースの投下を日々意思決定しています。

ヒト

 ボトルネックを解消するために考えられがちなのが人を採用したり、他の部門とリソース配分を変えることなどが考えられます。(特に初期は)「これくらいであれば自分がやってしまった方が早い」とCOO自ら手を動かし、足りないことを自分の工数でなんとかすることもあります。人が多くなってくるとCOO自ら手を動かすことは減り、誰をどの仕事にアサインするかを意思決定します。しかし、今回のセッションでも「人を動かすことの難しさ」を感じているCOOが多く、そうしたマネジメント活動もヒトリソースの投下の重要な要素であることがうかがえます。

 規模が増えてきて専門家を採用できたとしても、今度はそれぞれの人がうまくワークできるように全体最適化をしていくことでヒトリソースを最大限に発揮させていくのもCOOとしての大事な仕事になってきます。

モノ

 性能が良いコンピューターをエンジニアにあてがうだけで解決する問題もあるなど、「備品を買うかどうか?」のような小さな論点から、「オフィスをいつ移転するか?」に至るまで、意外とモノにまつわる論点は初期から後期までずっとCOOに付きまといます。

カネ

 超優秀なマーケターでも、予算が0円だとできることは限られています。「前年度と同じ予算を手なりで渡しておけばよい」という大企業とは違い、スタートアップにおいては適切なタイミングで予算を渡せないとひたすらボトルネックが解消しないことがあります。

情報

 「誰が何月何日に入社する予定かを労務担当に伝え忘れていて、入社当日にその人が出勤してきて困った」なんて問題もスタートアップでよく聞きます。「Slackのチャンネルを一つ作ること」「一つの部門間の定例を開始すること」が社内のボトルネックを劇的に解消することがありえるのが情報リソースの面白いところです。また、COO自身が方針を作って落とし込むことで全員の目線が揃い、ボトルネックが解消することもよくあります。


こうしたようにCOOは日々ボトルネックを探しにMTGを渡り歩きながら、時にその場でリソース配分を変え、時に自分の工数を当てながら、日々ボトルネックを解消しているのではないかというのが、今回のセッションを経ての自分の気づきでした。

 今回のセッションの中で、お二人ほどマッキンゼー出身者がいらっしゃいましたが、お二人とも事業会社の経験をされてからCOOを務めることを勧められていました。そこには、ボトルネックの発見まではできても、リソースの投下の決定までは行うことができないというのが一つの理由ではないか、とお話を伺っていて感じました。(ハンズオン型など、経験されてきた案件の性質によるとは思いますが)

最後に

 これ以外にも、COOに求められる資質/COOに不足しがちな資質、CEOとCOOの業務分掌の違い、問題解決ではなくボトルネックの解消だと考えた理由など、いろいろと書きたいことが多くなるくらい、個人的にも学びが多いセッションでした。
 こうした場をご用意いただいたCoral Capitalのみなさまに感謝申し上げます。

 自分自身としては引き続き、よりCOO職を極めるべく株式会社グラファーのCOO職を全うしていきたいと思います。
 また、これを読まれている方で、COOキャリアに興味がある方はぜひ、弊社応募フォームから一度コンタクトいただければと思います。最近も弊社ではCOOを目指している方の入社が多く、非常にそうした方が楽しそうにしておられて、しかも活躍いただけている状況があるので、COOキャリアを考える方にとって非常に面白い場を提供できるのではないかと思っております。

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行政手続きをITで便利にする、株式会社グラファーのCOOを務めています。