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ベーシックインカムと消費税

前から思っていることなのですが、実はベーシックインカムと消費税をうまく組み合わせると、所得の再配分…というか、お金持ちと貧乏人の差をうまく吸収できるようになるのではないかと思っていまして、この記事ではそのことを簡単に例を上げて説明してみたいと思います。

下の例では、消費税を 8% から 12% へ上げた場合に、同時に毎月1人に1万円ずつベーシックインカムを支給したら、各家族にどのような影響を与えるのかをさまざまなケースで計算してみています。

1年間に300万円を消費する独身世帯の場合
消費税で払う税額の変化:24万円 → 36万円
ベーシックインカム:12万円
全体の収支:0万円

1年間に300万円を消費する2人家族の場合
消費税で払う税額の変化:24万円 → 36万円
ベーシックインカム:24万円
全体の収支:+12万円

1年間に600万円を消費する独身世帯の場合
消費税で払う税額の変化:48万円 → 72万円
ベーシックインカム:12万円
全体の収支:-12万円

1年間に600万円を消費する4人家族の場合
消費税で払う税額の変化:48万円 → 72万円
ベーシックインカム:48万円
全体の収支:+24万円

主張のポイント

今回主張したいポイントは「消費税とベーシックインカムを併用することで、両方の悪い面を緩和して、貧富の差をうまく縮めることができるのではないか」ということです。

【 消費税の悪い面の緩和 】 一般的には、消費税は貧しい人や子育て世代に影響が強い悪い税と思われているのですが、ベーシックインカムのようなものと併用すれば、その影響を緩和してうまく使ってゆくことができるのではないかと考えます。

【 ベーシックインカムの悪い面の緩和 】 一方で、国民に直接お金を支給するとなると、国家の財政が心配になってしまう人もいるかもしれないのですが、消費税と組み合わせてうまくバランスを取ればそうした心配もなく、貧しい人にうまくお金を行き渡らせることができるのではないでしょうか。

実際にこうした仕組みを導入する場合には、各世帯での消費金額の分布などを考慮した詳細な計算が必要になると思いますが、ベーシックインカムと消費税のバランスをうまく取ること自体は計算上はそれほど難しくないように思えます。

補足説明

【 消費税の悪い面の緩和 】 基本的に、消費税は消費に対する罰則として働く税であり、税率を高くするほどに消費は抑えられてしまいます。そういう意味では消費税を上げるよりも所得税の累進性を強くした方がよいのですが、直接税だけだと公平に税が集められない、ということであれば、こうしたベーシックインカムと併用した消費税も有効なはずです。

【 極端な所得の変化の緩和 】 所得税の累進性を強くすると、所得の高い人と所得の低い人の差を縮めることはできるけれども、今回のコロナのように一時的に所得がゼロになってしまった人を助けることは難しいと思われます。そういった意味では、常時一定の少額のお金が国から流れることで、極端な貧困状態みたいなことを回避することに一定の効果があるのではないかと考えます。

【 経済に対する即効性 】 消費税は急に上げたり下げたりはできないですが、毎月支給するベーシックインカムのようなものであれば、今回のコロナのような緊急時にはすぐに支給額を引き上げたりすることができます。また、直接使う人にお金が手渡るため、その効果もすぐに発揮されると考えられます。経済を刺激する方法としては、金利を引き下げる等の政策が取られることがありますが、その効果にはかなりの遅延があり、短期的な経済のコントロールにはあまり向いていないのではないかと思っています。

【 脱炭素化への対策 】 今回の例では、消費税を一律に上げるという前提の計算をしましたが、消費税はうまく使うと、社会で消費される消費のタイプをコントロールできます。例えば、脱炭素化のためには、紙パックの飲料の消費税を安くして、缶やペットボトルの飲料の消費税を高くするといった消費税の使い方をすることができます。消費税は消費を抑えたいものに重くかけて、消費を増やしたいものに軽くかけることで、社会で消費されるリソースをうまくコントロールできる税なので、いまであればより温暖化に貢献してしまう物品に重い税をかけることで、脱炭素化に向けた社会的な動きを促進できるのではないかと思います。

最後に

これくらいのことは、その辺に賢い人がいくらでもいそうなので、改めて私が主張するまでもないと思ったのですが、あたり前のことを改めて主張しても害はないだろうということで、今回こうした記事を書いてみました。


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