#10 医療業界再編の兆し
診療報酬改定で忙しいけれど
2024年6月から診療報酬改定改定され、ご存知のように特定疾患管理料が生活習慣病管理料になる内科開業医や大きな施設に比重を置いていたり、往診を中心とした診療報酬に偏っていた在宅専門クリニックがターゲットにされました。
療養計画書の準備でオペレーション的に忙しくなっている時期ですが、長期的にみてこれが何を意味しているのかをすこし探って今後の開業医的な視点でどのように生き残れるクリニックを運営していくのかということを考え始めなければならないと考えています。
開業医の悩みは尽きない
療養計画書の準備をどうするのかという経営者にとっては些細なことであっても、オペレーションの中心にある現場では悲壮感が漂っているのはどのクリニックでもそうでしょう。重要な報酬である特定疾患管理料が軒並み削られ、あまり馴染みのない生活習慣病管理料に移行することによって書類の準備に追われ、この書類を準備することの重要性がイマイチ理解できません。
もちろん、今までなんとなく指導してきていたものを明文化してきちんと管理してください、というメッセージであることは間違いないのでしょう。患者さんの生活をきちんと書類にして、現在の問題点と目標を設定して、それをきちんと患者さん本人にも納得してもらって始めて医療の意味があるのだろうとはわかります。
でも、現場にとっては間違いなく手間もかかり、面倒くさいといって離脱する患者さんも出現することはあるでしょう。
診療報酬が間違いなく下がるのに、書類は増えて残業も増え、収益構造が悪化していきます。リフィル処方や長期処方を希望する患者さんも増えるだろうし、クリニックにとってはネガティブなものしかできていない状況ではないでしょうか。
医療業界再編はありえるのか
山崎豊子「華麗なる一族」をときどき読み返すことがあります。人間模様に焦点を当てて読むのもおもしろいですが、銀行業界再編をテーマとした物語として示唆を得ることも興味深いです。もちろん、フィクションや大げさな表現もありますが、国家主導の再編がどのようにおこなわれるのかということが医療業界再編への含みにも感じられてきます。過去に出版された銀行再編の物語は元金融機関に勤めていたものにとっては馴染みのある分野ではあります。医療業界でも国家主導の再編がおこなわれるのでしょうか。
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