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「SNS医療のカタチ」のグッズ販売という選択について私が思うこと

ここ4年くらいの話をします。

私は、「SNS医療のカタチ」というプロジェクトにいろいろ関わっております。

医療における情報・コミュニケーションを考えて実際に動いていく取り組みです。

その多くはオンラインで行ってきました。あちこちにいる医療者たちに10分くらいの市民向け講演プレゼンを作ってもらい、月に1回程度、日曜の夜9時からYouTube LIVEで放送する、というかんじです。

質疑応答的にメンバーとやりとりをすると、なんだかんだで30分くらいの番組になるのですが、要点は10分程度で終わります。まだご覧になっていない方はぜひ一度お試しください。YouTubeですので無料でご覧頂けます。


こちら、たくさんの方々にご出演いただいております。

内科医、外科医、看護師、薬剤師。

感染症専門医、循環器内科医、放射線科医。

ジャンルはいろいろ。人柄もバリエーション豊か。リストを見れば、ずいぶんいろんな方面に声をかけているんだなということがおわかりいただけるかと思います。

心の病にかんすること、医療者のメディア戦略、検査について知っておいてほしいこと。

コロナ。

がん、加齢医学。逆に新生児医療やHPVワクチンについての話。

などなど。

現在、定例の講演で42回。出演いただいた講師の人数は40名近く(一部は複数回ご出演)となっております。

まだまだゆるゆると続けていく所存です。



ところで、こちら、講師の方々には謝礼をお渡ししています。いくらぐらいだと思われますか? じつは、




「スーパーファミコンのソフトが買えないくらい」
の金額です。

ファミコンだとピンボールは買えますが、中原の覇者は買えません。



これまでたくさんの方々におどろかれました。「えっそれだけ!!?!?」

無理もないです。ただし、このようにおどろきを露わにされた方は、「講師じゃない人たち」ばかりです。

講師をしてくださった方々が、お礼の金額に顔色を変えたとか、「えっ少なっ」とか、「ネット記事の原稿料より安いじゃん」、みたいなリアクションをされたことは、過去に一度もありません。

そこはなんか、忖度? というか、察し? みたいなものがあったのだと思います。

私たちが明らかに手弁当・ボランティアでやっているムードを前面に出しているために、「少ないとは思ったけどかわいそうで言えなかった」のかもしれません。

ハラスメントだったかもなと思います。

薄謝しかお出しできなくて本当にすみません。


我々の活動は基本的に「善意」と「やりがい」によって支えられています。

搾取です。

よくないことです。


しかし申し訳ないですが、「医療者がほぼボランティアで医療情報コミュニケーションを考える場を提供し続ける」ことには、けっこうな意義があります(ここで目がらんらんと光り、聞いている人がおびえはじめる)。

当の講師の方々も、
「いいんです。それよりここでしゃべりたいことがしゃべれるほうが大事です」
と、かなり強めに存続希望のお声をいただいています(ここで拍手が巻き起こり、冷静な人はそっと会場を後にする)。



SNS医療のカタチを商売にしたくない、ボランティアベースでいけるところまでいきたい。目がイッている発言なのはわかっています。しかし、薄謝で仕組みを回し続けるという「だめな方針」のまま、これからも講師に迷惑をかけ続ける以外の選択肢をとれません。申し訳ないです。




なぜ悪いとわかっていて、「ほぼボランティアで労力ばかりとられる医療情報コミュニケーションの取り組み」を続けているのか、ですが、

「医療情報を扱う医者が対価を受け取ることに抵抗がある」……とかではないです

レガシーメディアやウェブメディアがガチの記事・番組を作る際には、出演・執筆した医療従事者にはきちんとお金を払って欲しいです。

そのような「医療情報でお金を取りたくない」ではなくて、もう少し細かいニュアンスがあります。

現前のメディアとは違うやりかたで、医療者が手弁当で情報コミュニケーションを扱う場所を用意しておくべきではないか、という感覚。

「お金を集めるためにやらなければいけないこと」によって、医療情報の発信や編集に制限を加えたくないという気持ち。

編集の都合でしゃべりの一部をカットせざるを得ないとか、

「苦しんでいる人がごく少数しかいないためにPVが稼げない情報」を扱いづらくなるとか、

「SNS時代」とか「バズの法則」みたいなものに引っ張られて長尺・長文の表現がしづらくなるとか、

そういった制限を少なくするために、医療者が発信や拡散に多めにコミットすることで、現場の肉厚な専門情報とか、濃いめのアドバイスなどを提供し続けていきたいのです。

するとどうしても「お金を回す仕組み」とは合致しなくなる。



だったらクラファンやればいいんじゃないの、みたいなアドバイスを、これまで何度もいただきました。一度は本気で考えました。

医療情報コミュニケーションの取り組みとクラファン(クラウドファンディング)とは、そこそこ相性もいいとは思います。

クラファンは、お金を入れたほうも「チームの一員」みたいになる雰囲気があり、金銭的に応援する以上の意味を持っていて、うまくつかうといろいろなイベントが盛り上がります。

でもこれ、私が個人的にいやなので、抵抗して、結局SNS医療のカタチでは導入していません。

理由はいろいろあるんですが、クラファンのあの「達成!」「ネクストゴール!」「より多くの人にお届けするために、期限内でのさらなる応援を!」「使用用途は随時、こちらのページで更新していきますので引きつづきフォローしてください!」みたいな雰囲気がぜんぶ嫌い……というほど強い言葉を使うのはいかにもnoteのライターがやりそうな戦略だな、と思って血反吐が出たのでちょっとマイルドにしますが、そういう雰囲気がぜんぶ嫌い……頭ではこの表現やめたいのに指が勝手に動いてしまうのでちょっと待ってください、すみませんやりなおします。

クラファンがいやな理由はいろいろあるんですけれども、リターン品とか言うけどそれって結局付加価値が強すぎる高額商品と何が違うの、とか、all or nothing方式とか言ってるけど85%くらい達成したら最終日に自分たちで残りのお金入れて達成させてとりあえず85%分のお金をゲットする人がいるから意味ないじゃん、とか、毎年やるイベントに今年もまた皆様方にお願いする季節がやってきましたとかTシャツ作りましたとかそれ完全に24時間テレビなんだけど君むかし日テレに抗議のリプライ送ってなかったっけとか、そういった懸念が死ぬほど湧いてきて……だめだまた強い言葉使っちゃった……ということです。


なのでクラファンはやってほしくない(とメンバーに私がずっと強く言い続けている)のですが、それはそれとして、オンラインばかりで届け切らない部分に、書店でのトークイベントをやるとか、事前収録で少し濃厚な座談会をお届けするとか、書籍することで動画よりも長く親しんでいただくとか、そういったことをやるには、ボランティア精神に浸りすぎて脳が腐った医療者だけでなくてマジモンのプロにお金を払ってお願いしないと無理ですので、じゃあどうするって話はいつも切実なのです。

最終的に選んだのはグッズ販売でした。

これなら、グッズをデザインしてくださったプロの方とか、書籍を作成してくださったプロの方とかに、そのまま収益をお渡ししやすいです。我々医療者が手弁当で「外来を拡張する取り組み」としてやっている医療情報コミュニケーションの部分と、(番組作成、イベント運営、書籍作成などぜんぶ含んだ広い意味での)グッズ展開とで、会計を切り分ければ、幅広い方々にお礼をできます。

医療従事者に対する報酬はここからも生まれてきませんので、この記事の中盤で私がお詫びし続けた部分については特に解決はしていませんが、そこはもう、手を入れないほうがいいのでは、くらいの気持ちでおります。悪びれていないのではなく、お詫びの土下座で額がすり切れて頭蓋骨が露出した結果もう痛みも感じない、くらいの残念な状態です。

夏にイベントを開催する際は、イベントの規模に応じてグッズだけではぜんぜん無理な桁の金額がかかるので(会場費とか)、そういうのは私たちがやるべき仕事ではなくて大手のメディアとかがやることだし、身の丈をわきまえてスパッとやめよう、という意見も毎年出ています。しかしそのたびにいくつかの企業の方々が「おもしろいから我々のお金を使ってください、たいした額は出せませんが……」と支援をくださいまして(過去に提供をくださった皆様です)、そういう応援には心から感謝をしておりますけれども、なんというか、今後は企業から支援をいただくレベルの活動はやはり違う場所で違う団体にやっていただいたほうがいいんじゃないのかなあ、なにせ規模が大きくなりすぎてボランティアでできる業務量を超えちゃうし……くらいの葛藤を抱えております。


というわけでグッズ販売しますが安心してください、医療従事者にはお金は入りません。グッズの収益はイベント運営経費と、あと、我々の取り組みに外部から助力(※助力のほうが剛力)してくださっている方々への御礼として使わせて頂きます。いくら売れても私の財布は膨らみません。そこは誓って申し上げますので、安心して以下のグッズ購入をご検討ください。


『SNS医療のカタチTV 2023』配信視聴チケット(ダウンロード販売)

オンラインでイベント視聴できるチケットです。ちゃんとアーカイブがみられるはず


これまでにSNS医療のカタチYouTube LIVEで講演してくださった方々が、講演内容をまとめた原稿を寄せてくださったので同人誌にしました

編集してる浅生鴨さんがガチで高クオリティの本だと喜んでいました



夏イベと書籍のセット

200円ちょっとお得になります



マステ

チケットなどと一緒にご購入いただかないと送料が高くてバカバカしいのでお気を付けください



ミニ便箋

やだこれ欲しい これ一番欲しいわ なんなら同人誌よりもこれが欲しい ぼくは真っ先にこれを注文しました 送料がかかりました その後あらためて後述のジークレーを買いました セットで買えばよかったのに バカじゃないのかと思いました



ポストカード

壁に貼りたいけどジークレーは高いわという方におすすめ みんな手紙は書かんやろ(こんなおしゃれなのもったいなくて出せない) そうでもないのか?



クリアファイル

オタクの激しいご要望にお応えしてクリアファイルをご用意しました



キャンパスプリント

玄関に飾るとか外来の待合室に飾るとか、アパホテル経営されている方であれば各部屋にひとつずつ飾って頂くのがよいのではないでしょうか



額装ジークレー

遅くなりましたが、今年もSNS医療のカタチのイメージイラストはマンガ家・おかざき真里先生です。額装ジークレー、前回は限定100枚出ました。私のデスクにはシリアルナンバー57が飾ってあります(このnoteの冒頭の写真をご覧ください)。いずれ次が出たら絶対に買おうと思っていた、ついに今年また出ました。即座に予約しました。これはマジで本当にいいのですがそうとうお高いですのでご注意を。でも本当にいいので私はもう絶対に買おうと思ってましたし、このような額のものをいくら買ってもこれまでにご協力いただいた方々への恩返しの金額としてはまだぜんぜん足りないとわりとガチで思ってます



おまけ:suzuri/neconos

下の方にずーっと遡っていくと、過去のSNS医療のカタチの夏イベでおかざき真里先生が描いてくださったクジラやペンギンのイラストがついたTシャツなどがお買い求めいただけます 私の部屋着です



以上、長文をお読み頂きありがとうございました。ちなみに私のnoteには投げ銭機能はありませんので、「よくがんばった、偉いぞ」と思ってお金を入れるタイプの人はチケットとグッズよかったら買ってね。