読書についての手記 1

僕は読書が好きだ。小説を読むと現実とは別の世界へ飛んでいける。しかもすごく安全にその世界を満喫できるんだ。映画も好きだけど本はやっぱり特別なんだ。文字の羅列から浮かび上がるイメージや風景は意図的に言語化しない限り自分一人のものだから。
映画みたいに視覚的な情報をもったコンテンツだと他者と同じ映像を観ている前提が永遠に付き纏う。勿論その映像から生まれるであろう感想や批評は人それぞれであることは理解しているし、その人の境遇や精神状態も大きく関与するんだろう。でも文章は各々の読者の左脳に作用して、その人にだけ抽象的なイメージを贈答してくれる。まるで結婚して実家を離れた二人がお互いの両親へお中元を贈るみたいな丁寧さで。
独占欲の強い僕にはまさに夢のようなカルチャー。それが小説。本当は挿絵や表紙ですら邪魔だと思っているよ。頭の中の大きなキャンパスに勝手にマイルストーンを設置しないで欲しいね。プロパガンダの出る幕はないぜ。

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