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大手メゾンスタンダード10種試飲@パーティさんメモ

人混みに3秒滞在すると仮死状態になる哀れな体質のため、GWに遠出やイベント参加などという事は一生できない。
そんなわたくしでもGWを満喫できる救いの手が!
2日連続で計10種の大手メゾンスタンダードクラスを比較試飲してきた。

立ち並ぶ魅惑のシュワシュワ達

ちなみに、オープンではなく、テクニカルデータだけ見てどれがどれか判断するという簡易的なブラインドの方法を取った。
昨期のADVシャンパーニュマスター講座(by吉田さおり先生)の腕試しも兼ねて…!

1日目: こちらはまだ見分けつくのでは?との事前予想とは裏腹に…

ラインナップはこちら
・ポル・ロジェ ブリュット レゼルヴ NV ¥9,900
・ドゥッツ ブリュット クラシック NV ¥13,200
・ペリエ・ジュエ グラン・ブリュット NV ¥10,003
・アンリ・ジロー エスプリ・ナチュール・G NV ¥13,200
・ジョセフ・ペリエ キュヴェ・ロワイヤル・ブリュット NV ¥9,130

エチケットもアンリ・ジローだけやや趣異なる

この企画最初に見た時、2日目は判別厳しそうだけど、1日目はそれなりに行けそうでは?と思ったんですよねえ。
ところがどっこい、蓋を開けてみたら1日目大苦戦。
なお結論だけ先に述べると、(個人的には)アンリ・ジローが頭一つ抜けて感じた。まあ品質云々だけではなく一つだけRM的なつくりでキャラ違うのも大きいかもだけれども。

<ポル・ロジェ>

データ
・CH34%, PN33%, ムニエ33%
・ドザージュ8g/L
・リザーブワイン比率25%
・瓶熟4年
外観:
・グリーンみあり
・泡は今回いずれも豊富・細やかで大きな差を感じなかったので以下省略
香り:
・酸化還元傾向は大手の割にはニュートラル寄り
・フレッシュな柑橘~洋ナシ、後の方に少しだけ蜜りんご感も
・ムニエ香は殆ど感じず(5つの中ではほんのりあった方かも)
味わい:
・酸味: N/A(一日目は痛恨の取り忘れ)
・苦味: 低め(黒ブドウ比率の割には意外)
・ドザージュ: 8~10g/Lくらいの感じ(ドザージュ多めだな、と感じるくらい)
・酒質: やや薄め
印象メモ
いずれの面でも強い特徴があまり感じられず。良い意味でも悪い意味でも「あ、大手メゾンの何かだな、普通においしいね!」くらいで飲んでしまいそうな印象(すまぬ)

<ドゥッツ>

データ
・CH34%, PN33%, ムニエ33%
・ドザージュ8g/L
・リザーブワイン比率20~40%
外観:
・ベージュ強め
香り:
・酸化還元傾向は大手の割にはニュートラル寄り
・柑橘~やや熟した桃
・ムニエ香は殆ど感じず
味わい:
・酸味: N/A
・苦味: ほんのりあるが、外観の色味の印象よりは低め
・ドザージュ: 8g/Lくらいの感じ(5つの中で中間くらい)
・酒質: 中程度
印象メモ
こちらもニュートラルなつくり。
ポル・ロジェと比較すると桃の香りがはっきりしていて酒質はやや厚く、ドザージュもバランス良く感じた。ドザージュ量表記は同じなので、こちらの方が酸があって(メモし損ねたが、多分…)バランスがとれてるということか。

<ペリエ・ジュエ>

データ
・ムニエ40%, PN40%, CH20%
・ドザージュ10g/L
・リザーブワイン比率12~20%
・瓶熟N/A
外観:
・ほんの少しだけグリーンみがあるか
香り:
・還元寄り(いわゆる大手メゾン香あり)
・フレッシュな柑橘~白桃
・ムニエ香は殆ど感じず(意外!)
味わい:
・酸味: N/A
・苦味: ほんのりあるが、外観の色味の印象よりは低め
・ドザージュ: 8~10g/Lくらいの感じ(強めに感じた)
・酒質: 薄め
印象メモ
前2つと比較すると所謂大手香(吉田先生の言う還元的なつくり、香ばしい香りですね)は感じられた。
酒質薄めでドザージュを強く感じ、温度が上がるとやや飲むのが厳しい感はある。

<アンリ・ジロー>

データ
・PN80%, CH20%
・ドザージュ4~5g/L
・リザーブワイン比率50%
・アルゴンヌ製オーク100%で醸造
外観:
・ベージュ強い(今回の中で一番ベージュ寄り)
香り:
・酸化・還元ではやや酸化的
・密りんご感強い
・ムニエ香は感じず
味わい:
・酸味: N/A
・苦味: ほんのりあるが、外観の色味の印象よりは低め
・ドザージュ: 7~8g/Lくらいの感じ(今回の中では一番低かった)
・酒質: 厚め
印象メモ
こちらだけがらっと所謂RM的なつくり(樽を使っていて酸化的ニュアンスのある感じがはっきりと出ていた)。
酒質厚め、ドザージュ控え目で、良い意味で最近の需要に合ったつくりだなという印象。
今回の中では価格も少し高めとはいえ、それも踏まえても1日目の最高評価はこちら。ムニエも入っていないので、長い熟成後も楽しめそう。

<ジョセフ・ペリエ>

データ
・CH35%, PN35%, ムニエ30%
・ドザージュ7g/L
外観:
・グリーン強め
香り:
・今回の5つの中では一番還元的ニュアンスを強く感じた
・やや熟した洋ナシ。あと還元ニュアンスに引っ張られているかもしれないが、モカやキノコっぽさもなぜか感じた(不思議)
・ムニエ香は殆ど感じず
味わい:
・酸味: N/A
・苦味: ややある
・ドザージュ: 8g/Lくらいの感じ(今回の中で中間的)
・酒質: 5つの中で中間程度
印象メモ
こちら大手らしい香ばしさが良く出ており、かつ謎に少し熟成ニュアンスのようなものを感じた。ドザージュ感もあまり強すぎず、良い意味でバランス型と感じ、謎の熟成感とあいまって1日目で二番目に好みだった。
…が、なぜか2日目ブラインドで出た時には大手ニュアンス大分消えていてバランス型過ぎて判別惨敗w
いずれにせよ、1日目の中では価格を考えても二番手評価。

2日目: 「各クラスの級長集めて来ました」ラインナップ、意外にもブラインド正解

ラインナップはこちら
・ヴーヴ・クリコ イエロー・ラベル NV ¥9,735
・シャンパーニュ・アヤラ ブリュット・マジュール NV ¥8,470
・テタンジェ ブリュット・レゼルヴ NV ¥9,680
・ボランジェ・スペシャル・キュヴェ NV ¥11,550
・シャルル・エドシック ブリュット・レゼルヴ NV ¥11,000

級長揃いました、って感じ(絵面的にも)

いや絶対判別厳しいでしょこれ…
と、思いきや。
アクシデントでヴーヴだけ見えてしまったものの、残り4種簡易ブラインド正解。見事に事前予想を裏切られることとなった。
こちらも先に結論を述べると、シャルルが圧巻でした。

一日目より色調差は少なかったシュワシュワ達

<ヴーヴ・クリコ>

データ
・PN50~55%, CH28~33%, ムニエ15~20%
・ドザージュ9g/L
外観:
・ややベージュ感あり
香り:
・大手らしい還元ニュアンス強め
・やや熟した洋ナシ、ブリオッシュ
・ムニエ香は殆ど感じず
味わい:
・酸味: やや低め(あるけどドザージュとのバランスかも)
・苦味: ややある。いい感じでコクを出している
・ドザージュ: 9~10g/Lくらいの感じ(ドザージュ多めに感じる)
・酒質: 中程度
印象メモ
こちらだけオープンで飲んだ影響もあるかもしれないし、飲み慣れていることもあるが、改めて「級長の中の級長」な優等生感。
還元ニュアンスと多めのドザージュでともすればややダレるかと思いきやそんなこともなく。PNの苦味・コクが良バランスを支えているのかな。
ただ、冷たいうちに飲みきってしまいたい味わいではありますね。

<アヤラ>

データ
・CH55%, PN30%, ムニエ15%
・ドザージュ6g/L
外観:
・中庸でベージュ/グリーンみいずれも感じず
香り:
・大手らしい還元ニュアンス強め
・フレッシュな柑橘~りんご。控えめな香り立ち
・ムニエ香は殆ど感じず
味わい:
・酸味: 高め
・苦味: 低め
・ドザージュ: 7g/Lくらいの感じ(2日目の中で明確に一番低く感じた)
・酒質: やや薄め
印象メモ
柑橘感、高めの酸、苦味控え目でCH主体の感じが出ている(ブラインドでアヤラにしたのもそこから)。ドザージュがやや控えめなのもこの特徴と合っていると思う。
半面、香り立ちも控え目、酒質もやや薄めで、好みは分かれそう(正直私はそんなに…)

<テタンジェ>

データ
・CH40%, PN35%, ムニエ25%
・ドザージュ7.5g/L
外観:
・中庸でベージュ/グリーンみいずれも感じず
香り:
・大手の割に還元ニュアンスは控えめでニュートラル寄り
・フレッシュな柑橘~洋ナシ。やや控えめな香り立ち。テタンジェ感を醸し出す「青めの洋ナシ」感があった
・ムニエ香は殆ど感じず
味わい:
・酸味: やや高め
・苦味: 低め
・ドザージュ: 7g/Lくらいの感じ(2日目の中で低めに感じた)
・酒質: 中程度
印象メモ
大手としてはドザージュもやや控え目で酸とのバランスも良く、すっきりと良バランス。個人的にテタンジェに感じている「青めの洋ナシ感」も好き。
ただ、プレリュードと価格差考えると、今後はプレリュードを買うかも。
あと、テタンジェは特に熟成(デゴルジュ後の)が効くタイプに思えた。スッキリ寄りのバランス型なので、メイラード香やモカなどの要素が入って来る事で段違いに映えるというか。骨格整った控え目系の美人ってめちゃくちゃお化粧映えするよね的な意味で。
※なお、普段パーティさんのテイスティングバーで出ているテタンジェはデゴルジュ後時間経過しているものらしい(※今回の試飲は比較の観点から経過していないものを使用とのこと)

<ボランジェ>

データ
・PN60%, CH25%, ムニエ15%
・ドザージュ7~8g/L
・マグナムボトルで5~15年熟成のリザーブワインを使用
外観:
・中庸でベージュ/グリーンみいずれも感じず
香り:
・大手的還元ニュアンスほどほどにあり
・やや熟したりんご~洋ナシ
・ムニエ香は殆ど感じず
味わい:
・酸味: やや低め
・苦味: あり。コクを添えている
・ドザージュ: 6~8g/Lくらいの感じ(2日目の中で低めに感じた)
・酒質: やや厚め
印象メモ
実はブラインドではアヤラとシャルルを最初を決めてしまったため、テタンジェボランジェの2つが残ったのですが、結構はっきりキャラ違いますね。
ボランジェはPN主体らしく肉厚がっしり系のつくり。
1日目からの通しでも結構上位評価でした。

<シャルル・エドシック>

データ
・CH40%, PN40%, ムニエ20%
・リザーブワイン40%使用(10年以上熟成されたもの含む)
・ドザージュ9g/L
外観:
・グリーンみややあり
香り:
・大手的還元ニュアンス強め(2日目の5つでは一番強かったか)
・アタック強い、熟した洋ナシ、モカ、ブリオッシュ
・ムニエ香は殆ど感じず
味わい:
・酸味: 中程度
・苦味: ややあり
・ドザージュ: 8~9g/Lくらいの感じ(2日目の中ではヴーヴと同じくらい多めに感じた)
・酒質: 中程度~やや厚め寄り
印象メモ
ブラインドでも一瞬でシャルルでしたねえ。リザーブワインの影響が大きそうで、モカなどの熟成香がブワっと来る。
ドザージュもやや多めなのだけど酸もほどほどにあってバランス良し。酒質もすごく厚いというわけではないけどほどよくしっかりしており、コストパフォーマンスで見たら半端ないと思う。圧巻。

振り返り

いやあ、やはり大手メゾンスタンダードクラスと言ってもこんなに千差万別なんですねえ。
そんなの当たり前と言われそうだけれども、シャンパーニュのテイスティングってスティルより特徴とるの難しいと思うので、比較試飲という形でここまでの差が改めて確認できたのは良かった。
(なお、このように特徴判別ポイント意識しながら飲めるようになったADVシャンパーニュマスター講座も改めて良かった)

あえて通しで順位つけるとしたら?

1位: シャルル・エドシック、アンリ・ジロー ※王道NM系v.s.RM系の方向性違いだが、同率で
2位: ジョセフ・ペリエ、ボランジェ ※こちらもコスパ枠v.s.純粋な質枠の観点違いだが、同率
3位: ドゥッツ、テタンジェ ※総合して良品質にまとまった系
4位: ヴーヴ ※安定の級長オブ級長
5位: アヤラ、ポル・ロジェ
6位: ペリエ・ジュエ

個人的には今回の試飲とADVシャンパーニュクラス等で色々比較した中でも、やはりスタンダードクラス、かつ所謂大手メゾン典型を求めるならシャルル・エドシックの安定感とコスパは抜けてると思う。
ADV吉田さおり先生から「まとめ買いで安くシャルルを仕入れ、自宅で長期熟成させるとそこらの上位キュヴェを軽くしのぐ」とおすすめいただいたけど、シャルルの安定感とシャンパーニュのデゴルジュマン後熟成の威力を考慮すると本当にそうだと思う。まさに金言。

おまけのトリビア

ついでに、店長さんにお伺いした話で、「大手メゾンでノンドゼ作っているところはスタンダードキュヴェも質が良い傾向がある」というのも面白かった。
ビルカール・サルモン、フィリポナ、ジョセフ・ペリエ、ランソンなどが該当するそう。
ドザージュってある意味魔法のお化粧なんで(人間の脳は糖質に簡単に騙される…)、質に自信が無いとすっぴん(ノンドゼ)はできませんもんね。
先日のコルク瓶内二次のトリビアとともに、また一つ勉強になりました。

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