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レコードにまつわるモヤモヤ話

皆様こんにちはDee-Sです。今回はレコードのお話で個人的に何となくモヤモヤしてしまう件が結構ありまして… 半ばオッサンのボヤキ程度に楽しんで頂ければと思います。

1.レコードの販売についてのモヤモヤ

兎にも角にも新譜のレコードの値段が高すぎる

個人的にはRecord Store Dayが始まって限定プレス商品が出回った頃からですかね、記憶違いだったらごめんなさい。それに加えて円安の影響もあってこの記事を執筆している2024年現在、新譜のレコード販売価格は平均して以下の通りです。

・7 inch盤 2200円~2400円(平均)
・12 inch盤  2600円~3000円(平均)
・LP盤 4400円~7000円(平均)

勿論日本国内プレス盤、海外プレス盤で値幅は全然違うのですが、円高時代を知るオッサンの私には高価過ぎて目ん玉飛び出る位です。因みに超円高時代だった1995年の相場は平均して以下の通りです。

・7 inch盤 580円~680円(平均)
・12 inch盤  680円~880円(平均)
・LP盤 2200円~3000円(平均)

上記の例は極端ですが自分が頻繁に12 inch盤を買っていた時の平均が980円から1180円位なので、倍以上の値段になっています。これは流石に清水の舞台から飛び降りる、というのは大袈裟ですがDJ的に枚数を沢山買う身としてはかなりの出費になります。単純に円が弱くなった以外にもプレス工場激減、原材料不足という理由もあるのですが、余程の作品でもない限りレコードを買う機会が個人的に激減してしまいました。いくらレコードブーム再燃とは言っても、やり過ぎなんじゃないか?とさえ思えてしまいます。

中古のレコードもDiscogs基準となって値段が軒並み高い

コレが個人的にはかなり深刻な問題で、日本と海外で昔は相場の乖離がありました。日本では恐ろしく値段が付いているのに、海外だと安い。またその逆も然り、というネタが結構あったので、どちらか安い方で買う事が出来ました。さらに言えば一時期の日本ってダンスミュージック(特にHouse)は旬が過ぎるとゴミ同然の値段設定で、レコファンの「10枚500円コーナー」から結構良いネタが拾える時代がありました(勿論、私も買い直し、ストック買いしていました)。それがDiscogsで個人、法人売買が出来るようになってから軒並み日本の中古レコード屋が「海外で売れば利益率があがる」と気が付いたんですよね。それで海外と横並びの値段設定をするようになって、世界一中古レコード屋が多い、レコード埋没率が高い日本は一気にDiscogsへ進出して日本人相手より海外相手へと舵取りし現在に至ります。中古レコード店は無くなるとマジで困るので、その決断は致し方ないのですが、我々日本人にはかなり厳しい値段設定になってしまったのは少し寂しい話です。

転売ヤーの暗躍

新譜も中古もレコードが高い、それに加えて厄介なのが転売ヤーの暗躍です。人気の限定盤なんかは大体「おひとり様1点限り」と注意書きをして買い占め防止なんかを講じるのですが、そんなの複数店舗ハシゴして買ってしまえば良いので、言わばザル状態です。そういった転売ヤーが増えてしまい本当にそのレコードが欲しいリスナーが定価で買う事が出来ない事態にもなっているため、「これは流石に…」と思ってしまいます。新譜で入荷して販売したレコード店よりも転売ヤーの方が利益率が上がってしまう現状、流石にモヤモヤしてしまいます。また中古レコ屋も法人の中古買取・転売ヤーですから、中古レコ屋が転売ヤーに苦言を呈すのも「ん?」と思ってしまうのでモヤモヤは尽きません。

超高額商品になってもアーティストには全く還元されない

この件については、もうどうにも出来ない話なんだろうなぁ、なんて思うのですが、いわゆる名盤と呼ばれる作品、かつ市場に出回っている枚数が少ない等の理由で、中古相場が定価よりも上がる事があります。そこで売買が成立しても、その作品を作ったアーティストには1円の利益にもなりません。これはレコードに限らず書籍、家庭用ゲームなんかでも起こりうる話にはなるのですが、この売買が成立したら売値のウン%が作者であるアーティストに渡る仕組みがあれば、この中古市場ってウインウインの事案なのに、何だかアーティストが置いてけぼりで中古取引では1円の利益にもならない事に何だか個人的にはモヤモヤしてしまいます。

海外では有志によってクラウドファンディングが立ち上がった作品もありました。ダンスミュージックリスナーなら誰もが聴いたことがあるであろうサンプリングネタとしてもあまりに有名なネタ "The Winstons - Amen,Brother" の作者に寄付をしよう、という心温まるクラウドファンディングで、結果20000ポンド(当時価格で450万円)が集まり全額寄付されました。

2. レコードは音がイイ、のモヤモヤ

散々語り尽くされているお話なので、割愛しようか悩んだのですが敢えて書きます。よくCDとレコードを比較して「レコードの音には温かみがある」と言う方がかなり多いと思います。また、「レコードは音がイイ」と信じて疑わない方も多いのではないでしょうか。コレは私個人の意見ですがレコードは音がイイ、は少し疑って欲しい話なんだけどなぁ、と実はモヤモヤしています。

カッティング工程、マスタリングがダメだとレコードだってダメ

コレは当たり前の話ですね。例として売れたアルバムで各国でプレスされた作品を聴き比べると良いと思います。工場での工程は職人の匙加減で決まります。この職人の判断で音が決定されるため同じ作品でもプレス工場が違えば音は違います。またマスターテープ及びマスターデータの音質が悪ければレコードでプレスしたところで音が良くなるなんて有り得ません。昔から自分はいくら曲が良くてもカッティング工程、マスタリングがダメな作品はDJで使いませんでした。

CDとレコードはカットする帯域が違うので音が違うのは当たり前

これも散々他のサイトでも語り尽くされている話なので詳細はそちらを参照していただければと思います。Google先生やYahoo!先生にお尋ねください。また、レコードは針飛び防止のためカットする帯域があるため、CDとは音が違います。言ってみれば原音に近いのがCDやデータ音源で、その音源から更に特定帯域をカットしているので原理上レコードの方が原音から離れます。「音がイイ」と「原音に忠実」は決してイコールにはなりません。単純にレコードは「カットした帯域のお陰で聴き心地が良い」という音楽メディアである、という事です。昔に誰か忘れましたがオーディオ評論家がレコードについての寄稿でレコードを楽しむには「上手く騙されることが必要」なんてことを書いていたので、この人はキチンと理解しているなぁ、なんて感心しました。そもそも人間の耳がメチャクチャ正確かと言えば、全然そんなこと無いんですよ。人間の五感なんか簡単に騙されるんですから。そんな理由で「レコードは音がイイ」と力説してくる方はこの辺りを理解しているのかなぁ?なんてモヤモヤすることがあります。

自分はレコードの音が好き、という単純な理由でDJする時もレコードがメインでしたけど、今では使い分けをしています。というのもクラブやDJ Barに設置している音響設備が大体デジタル最適化されているのでレコードでDJすると音質面でデメリットが発生することが多いためデジタル音源でDJする機会が殆どと言って良いくらいになりました。

3. レコードでDJするのが偉いの?のモヤモヤ

何故かレコードでDJする方の一部でCDJやPCDJでDJする方を下に見ているのにモヤモヤしてしまいます。自分は様々な理由から「別に音楽メディアは何だって良いんじゃね?」というスタンスです。その理由は次の通りです。

そもそもデータ主流でリリースされるジャンルが沢山ある

レコードでDJしたくても出来ないジャンルってあるんですよ。自分なんかは正にその問題にぶち当たってしまったので、レコードからデータに移行しました。DJやりたくてもレコードで全然リリースされないんだから仕方ないじゃん、物理的にリリースされてないものをどうやってレコードでやれと?という話です。こういう事をすっ飛ばしてマウントしてくるDJ、たまに居るんですけど、凄く狭い世界しか見えてないんだなぁ、なんてモヤモヤします。

CDやデータの方がしっくり来るジャンルがある

コレも上記とかなり近い理由になりますが、メチャクチャ硬い音がバチンとハマる音楽ジャンルも沢山あります。昨今だとPeaktime TechnoとかMelodic House/Techno、Dubstepなんかもパキっとした方が攻撃的で良いと思うんですよ個人的に。そういう音楽ジャンルでレコードでマイルドにしちゃうと逆効果なんじゃないかなぁ?なんて思うのでモヤモヤします。

CDやデータでしか出来ないプレイスタイルがある

レコードでDJする時って、普通にプレイする以外に出来る事ってエフェクト使うとか、スクラッチとかバックスピンとかスクリュープレイ(45回転を33回転でプレイ、その逆で33回転を45回転でプレイ)なんかが一般的だと思うのですが、CDやデータだとそれ以外の事も出来るからクリエイティブだと思うんですよ個人的に。ホントに色々な事が出来ます。(自分はあまり使いこなせていないので恩恵をうけていませんが)まさかCueボタンやPlayボタンを押しているだけだと思っていませんかね?とマウントしてくるレコード使いのDJにモヤモヤしちゃいます。

結論

何だか完全にオッサンのボヤキでしたけど、レコードにまつわるモヤモヤ話って簡単に思いつく話はこんなもんで、他にも色々あるとは思うんですよ。自分は最近だと余程の作品ではない限りレコードを買わなくなってしまったけど、とにかく良い音で良いDJプレイを聴いてDJ同士でも楽しくやりたいんですよ。どっちがどうこうという話ではなく。

以上、オッサンのボヤキでした。

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