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DJ選曲エクササイズ

皆様こんにちはDee-Sです。今回はDJ選曲エクササイズについてお話ししようと思います。さて、皆様は選曲という行為についてどのようにお考えでしょうか。パーティー前日に予めセットリストを組んで当日臨むスタイルでしょうか。それともある程度使うであろう曲のみをピックアップして当日の様子を伺いながら、というスタイルでしょうか。はたまた当日DJブースに立つまで全くのノープランで言わば「出たとこ勝負」なスタイルでしょうか。

これはどれが良い、と個人的に言うつもりはありません。レコードだとある程度あたりを付けて持っていかないと持参できるレコードに限りがあるので全くのノープラン、出たとこ勝負でプレイできませんし、某ジャンルではセットリストを予めネタバレさせる文化もある、というのも最近知ったので「あぁ、そういう文化もあるのね」とも思いました。なので、これじゃなきゃイカン!という物言いはしません。

因みに自分はPCDJ使いなので「当日のDJブースに立つまで全くのノープラン」です。〇〇縛り、とかプレイ出来る楽曲に縛りがある場合は、ざっくり整理しますけど、基本的に何も考えないままDJブースの中に入って、自分の前にDJしている方の雰囲気、流れを掴んで引き継ぐことにしています。言ってみれば「ほぼ即興」というスタイルです。これは自分の性格なんでしょうけど、あらかじめセットリストを組んで自分の予想に反したフロアのリアクションだと、修正するのに流れがおかしくなりそう、と考えてしまいます。

また、ある程度あたりを付けるのも悪くは無いのですが、何だかDJという行為そのものが事務作業化してしまい自分自身が楽しめないまま持ち時間終了してしまう、と思ってしまうのです。もう何十万回以上も2つのボリュームの上げ下げしているので、自分の手癖も飽き飽きしてしまうくらいミックスという行為を行っていますから、それこそ自分のミックスに飽きることも…当然あります。

言ってみれば「自身へのマンネリ」が常に付きまとうので、個人的にはDJ当日まで何も考えず、当日のDJブースに立った瞬間に選曲を考えるスタイルに落ち着きました。ぶっちゃけ言うと自分の持ちネタ全て把握しているか?と言ったら実はそうでもなく、断片的に記憶している、というのが正解で意外と記憶朧気のままDJしている事も少なくないです。

「そんな状態でDJしてんのかよ、けしからん!」なんて声があがってきそうですが、毎月何千もの曲がリリースされて、それをバカスカとチェックして購入してすべての曲を把握している方が逆に凄いな、と実は思います。自分の曲のライブラリなんて余裕で万単位の曲数になる訳ですし、当然老化も進んでますので余程のインパクトが無い限りすべての展開を把握するのは年月を重ねるごとに難しくなります。ヘタすれば次の曲の選曲の時に「あぁ、そういえばこんな曲だったなぁ」なんて気付かされる事も。

そんなこんなの状態で既にDJ活動も35年を過ぎまして、未だに「DJやってよ」とお声がけ頂く事もあるので、まぁ、自分のDJを気に入ってくれる方が少ないながらも箱側、リスナー側にも居るので、この状態でも何とかOKという事でしょうw 

では、普段から何かDJの練習をしているのか?と言われると自分は20代中盤から自宅でDJの練習を全然やっていません。ボリュームミックス主体の基本スタイルを頑なに貫いているので、ミキサー付属のエフェクトも普段から殆ど使わないですし、ピッチ合わせなんかも現場で35年やっているので身体がテクニクスのターンテーブルに最適化されているので、今更練習なんかやりません。それよりも重要なエクササイズに重きを置いています。では、そのエクササイズってどんなものなの?ということをご紹介します。

買った楽曲をまず頭からケツまで通して聴く

コレは凄く基本的なことなんですけど、先ず曲の展開をキチンと把握するために一曲まるっと聴きましょう、というお話です。昨今だと時間が無いから飛ばし飛ばしで聴いてしまう事も当然あるでしょうし、何なら「この曲の次にコレ使うとパチンとハマるんじゃない?」なんて考えてDJmixして曲の確認を終えてしまう事もあると思います。この行為そのものを完全否定はしません(理由は後の項目で書きます)が、超初心者のウチは先ず頭からケツまでしっかり聴いて曲の展開を覚えましょう。そして、各パーツを脳内でバラして聴いてみましょう。するとミックスポイントは直ぐに把握出来ますし、曲の展開もどこでメインのループが入って、どこで抜けて、とか分かると思いますので。

買った楽曲を脳内でミックスして、結果を実際に確認する

前項でまず頭からケツまで楽曲の確認を終えたら、次にその曲がどの曲と相性が良さそうか複数の楽曲を脳内でリストアップしてみます。そして、実際にDJしてみてイメージ通りの結果になるかの確認をしていきます。その結果「あぁ、やっぱりグッと来るな」とか「ん?ちょっとイメージと違ったな」とか思う事があるでしょう。自分の中で「グッと来た」という言わば正解の確率を上げていきましょう、というエクササイズです。では、その「グッと来た」を実際に現場でやってみて自分の想像通りのリアクションになったのか?というのが次のステップになります。現場でも良いリアクションなら、それは正解ということになりますよね。

と、ここまでが超初心者向けのエクササイズになりますが、ココからは即興性を重んじる私個人のエクササイズをご紹介します。

DJ当日の出番直前に新曲を買って現場で使う

前項の「買った楽曲をまず頭からケツまで通して聴く」の真逆の行為を自身のエクササイズに採用しています。曲を完全に理解しないまま現場投入するのを完全否定しない理由はコレです。90年代である程度現場を任されていたDJはレコード会社の営業担当が現場に出向き、「おはようございます!新作出るのでプロモ持ってきました。今日使ってください!」なんて言われてプロモ盤を頂き、良きタイミングでそれを使う、というのが一般的な時代だったので、言ってみればあやふやな状態で使う事もプロのDJの宿命でした。

昨今では、プロモ盤持ってフラフラしている営業担当なんて居ませんから、逆に言ってしまえば「あやふやプレイ」が出来ない環境下になってしまったんですよね。コレは個人的に悲しい時代の流れともいうべき事案で、ならばそのあやふやな状態を敢えて自分で作れば良いのでは?という事で、自分の現場で敢えて店に着いてからBeatportやTraxsourceで視聴してポチポチと楽曲を購入して当日何曲か使う、という縛りを設けてDJする事が殆どです。

その昔、レコードオンリーでDJストリーミング配信をしていた頃、レコード屋は「取り置き制度」がありますので、一定額まで取り置いてから配送指示をして届けてもらっていました。その届いたレコードをまるっとDJ配信でミックス1時間、という事も結構やっていまして、「持ちネタ全てが部分的に視聴をしていたものの、記憶が曖昧」という冒険めいたDJ行為もやっていました。実際バレた事は一度も無いですw

あと、この冒険めいたエクササイズは自分自身が楽しくなるための施策でもあります。当然ながら毎回完璧なミックスが出来るわけでもないですが、偶然がもたらした「正解」を導き出せたときに凄く楽しくなるんです。全部の曲を把握した状態でDJすると、事務作業以外の何物でも無くDJという行為がアートではなくルーチンワークになってしまうんですよ個人的に。なので、自分に敢えて課題を設けて現場に立つようにしています。コレはあまり人にはおススメ出来ない冒険めいたエクササイズですが、自身の即興性を高めるエクササイズとしては有効なので敢えて今回ご紹介しました。


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