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Roland TR-6S レビュー

かなり前にMC-101のレビューや使い方について書きましたが、ようやく念願の姉妹機TR-6Sをゲットしたので先ずはレビューします。

これは素晴らしい機材です。MC-101も良いけど、頭ひとつふたつ抜けて素晴らしい!

コンパクトにまとめているので、パッと見で思い通りに操作するのは困難ではあるけど(モーションコントロールのONなんて先ず解らんであろう)、少しマニュアル読んで覚えれば、シームレスにセッティングしてのビートメイキングは十分可能です。
音色を変化させていくツマミは3つで、バスドラとかスネアとパートを切り替えて選択して弄るスタイル。
手は2つしかないので、思ったほど不便じゃない。ツマミもう一つ欲しい気もするけど、そこまでいじれる要素も少ないし。

出音は文句なし。ACB(デジタルによるアナログサーキットの再現技術)は本当に良く出来ていて、SYSTEM-1も初代TR-8も良い音してるけど、更に良い音している。
デジタル臭すぎず、ヘンなアナログ感もなくちょうど良い塩梅。重心のしっかりした耳当たりの良いサウンドです。

音源部はアナログ回路再現によるTRシリーズのモデリング、PCM(ユーザーでサンプリング波形も追加可能)、そしてFM。TR系の音もTR-8は少しフニャッとした感触あったが、TR-8Sはシャキっとしてる気がする。時間的な変化が自然というか。
TR-8の707、727、606の追加音源は無いほうがマシと思ったほど良くなかったが、TR-8Sは違和感なく使えます。
PCM波形はMC-101のドラム波形より攻撃的というか、攻めた印象ありつつも、HITやFX、ピアノ波形なんかも入っていて守備範囲は広めです。PCMはキックからパーカッション、シンセ波形まで一通りプリセットされた中から選び、倍音を弄っていく感じです。
FMシンセのパラメーターとしては1つしかないので、買うまで「どうなの?」て思っていたけど、プリセットのバリエーションはあるので、結果としても色んな転び方して面白い。

さらにインサートエフェクトで歪ませる、変調させる、といったこともできるので、パラメーターガイドみて「ドラムシンセとしてみると弱いかな?」と思っていたが、けっこう強力なドラムシンセでした。弄った結果のバリエーションが広く、旨味のあるポイントも幅広い。
欲をいえばLFOよりピッチエンベロープが欲しかった。

シーケンス部分は全て理解しきってはいないが、特にストレスなし。
ただ、モーションコントロールはステップ毎にも記録できるのだが、Elektronのパラメーターロックと挙動が違うので、最後の値がその後も引き継がれちゃいます。少なくても前後の値は入れておかないといけない。
間違いじゃないが、気持ち的に面倒臭い。
予めリアルタイムに記録しておいて、編集する使い方がストレスなさそうです。

ビートをデジタル的に変化させる「SCATTER」は機材毎に挙動が違って、TR-8のは素晴らしかった一方で、専用のダイヤルが省略されたりして期待薄かったけど、割とTR-8っぽい挙動で嬉しかった。
更に、特定のステップをループさせる「STEP LOOP」機能があって、複数のステップを指定できるので、これだけでもオカズ入れたりできて遊べます。


MC-101のドラムトラックとの違いについて書いておくと、結論をいえば「全くの別物」で、TR-6SはそのまんまTR系だけど、MC-101のドラムトラックはR-8とかBOSS DR系の感覚に近い。
大きな違いとして、MC-101はドラムトラック全体にピッチシフトとディケイがコントロールできるが、TR-6Sにはそれがない。また、MC-101はピッチシフトを極端にするとリバースが掛かったりするが、TR-6Sは、そうなりません。

当然、波形の趣きも違うので、機械単体としてのキャラクターは差がないが、アプローチは結構違います。TR-6SあればMC-101のドラムトラック要らないよね、となるかといえば、そうじゃない。
一方でTR-808やTR-909の再現としては、単品の音自体は個人的にはどちらでも良いかな?という気もする。
ジェフ・ミルズみたいなツマミストはTR-6SというかTR-8Sだと思うけど、音色として欲しいならMC-101のPCM音も不足なく鳴ってくれる。

ハード的にはパラアウト無しの割り切り仕様。人生でドラムトラックにパラアウトなんか使ったことないが。
MIDIはIN/OUTあり、USBでPCとの接続もOK。TR-6Sはエディターあるとのことだが、パラメーターの数としてあまりいじれる要素少ないので、逆に面倒くさいかも。自前のサンプルアサインはPCでやったほうが早いかも知れないが。
それよりもMC-101のエディターのほうが必要な気がする。


個人的には音色含めてユニークなビートを吐き出す機械が欲しかったので、ちょうど良かった。オマケに、しっかりした、オーセンティックな808/909サウンドも任せられるし、MC-101との組み合わせでドラムビートの表現の幅はかなり広がった。

6トラックは決して多くはないが、707のタンバリンやクラップ、リムショットも欲しいと思うからツライのであって、自由な発想でやってると、どうやって6トラック使い切る?的にビート構築できるので楽しい。
私みたいに、たまには使うけど808/909の音はもういいよ、それより音を積極的にいじりたい、って人には安くて音良くて最高の機械です。
そういう人はElektronのマシンなんだろうけど、まぁ高級品なので、、、。

あと、得意ジャンルでいえば当然テクノで、サンプル中心だとMC-101の方が馴染みよいかも。
BEHRINGERのドラムマシンと悩んだ場合となると、アナログの空気感が欲しいか否かがポイントでしょうか。
恐らく音色は近いけど、なんだかんだデジタルなキャラクターなTR-6S/8S、BEHRINGERのクローン機については、実機と挙動は近くアナログの雰囲気はあるが音色はちょっと違う(Rolandのタンパクさとは違う温かみみたいなキャラがある)傾向はあると思います。
ちなみに、MC-101とBEHRIGER TD-3とRD-6と同期してミキサーで混ぜてみましたが、どちらも負けることなく、いい感じで重ねられます。
Roland TR-6Sは芯があるので、(この中では)いちばん抜けやすいですね。

一度機材整理して寂しかった作業部屋も徐々に賑やかになってきました。アナログポリシンセとモノシンセを1台ずつ追加予定。

結構長くなりましたが、レビューは以上です。
参考になれば幸いです。


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