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血球は骨髄で作られる

皆さんの血管の中を流れている血液には3種類の血球が流れています。

1. 白血球 2. 赤血球 3. 血小板 です。

白血球は自分じゃないもの(細菌など)を見つけてやっつける働きをしています。

赤血球は体の各臓器に酸素を運んでくれます。

血小板は血液を止める働きをしています。

白血球がないと免疫が落ち、赤血球がないと息切れが強くなり心不全に陥り、血小板がないと勝手に出血します。

これら血球は全て骨の中にある骨髄(こつずい)にある造血幹細胞から作られています。

骨髄の中には未分化な細胞があり、それが分化していくことで成熟した細胞となり、血液の中には成熟した細胞のみが流れているのが一般的な状態です。

白血球(好中球)成熟段階を絵に描くと下の様になります。

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上の細胞だと血液に中には好中球しか流れませんが、骨髄の中にはこのような各成熟段階の細胞があります。訓練すると骨髄を顕微鏡で見てどの細胞がどれかが分かるようになります。

私たち血液内科医は骨髄検査をしては顕微鏡でこれら細胞を確認し、どのような異常があるかを見て診断し、異常が改善しているかをみては治療効果判定を行っています。

一般の方にはこれら血球の見た目の違いがわかりにくいので、血液をお花に例えてみます。

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種が芽球、花が好中球にあたります。

正常な骨髄はこんな感じです。各段階の細胞が適度な密度で存在しています。また芽球(種)は5%は超えません。

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血球の異常があるときは、血液を作っている大元の骨髄を見ることで原因がはっきりすることがあります。

急性白血病は芽球のような若い細胞に遺伝子異常が加わり、若い細胞が異常に増えます。一般的には芽球が20%を超えている状態を急性白血病と言います。

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慢性骨髄性白血病は核成熟段階の細胞を認めますが、密度が高いです。絶対数として細胞が多いです。

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急性白血病と慢性白血病の違いは、急に発症するか慢性に経過するかではなく、このような骨髄の細胞の違いによります。確かに、急性白血病の方が急を要しますが。

骨髄にこのような違いが見えます。骨髄検査をして1時間もすれば染まりますので、その日のうちに見て、おおまかにどのような白血病かわかります。

診断には骨髄の見た目だけではなく、細胞表面にどのような印(抗原)が出ているか、どのような染色体や遺伝子異常があるかも加えて決まります。このような検査は当日には分からないことが多く、骨髄検査をして数週間後に詳しい病名が分かったりすることもあります。

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