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Kaiju on the Earth『ボルカルス』発表

10/15(火)「Kaiju on the Earth」シリーズ第一弾作品が発表されました。タイトルは『ボルカルス』。

発表と同時にMakuakeでのクラウドファンディングも開始し、目標金額はスタートから1時間以内に達成。(初めてなのでかなり控えめな目標金額にしたんですが、ちょっと控えめすぎましたね。)4日目の現在で300万円以上の支援金が集まっています。プロジェクトとしてはこれ以上ないほど好調な滑り出しで、心から感謝です。

ゲームの具体的な内容は「Kaiju on the Earth」公式サイトを中心に、今後ゲーム情報サイトなどでもご紹介いただけると思いますので、そちらをチェックしていただくとして、今回お伝えしておきたいことは他にありまして。

それは『ボルカルス』というタイトル&怪獣名について。

発表直後から「ボルカヌスじゃないの?」とか「ボルカノス遊んでみたい」など様々な混乱を呼んでいるこのタイトル。つづりが「Vulcanus」で読みが「ボルカルス」というねじれた命名で、それが混乱の元なのは明らかなのですが(すみません)、でもそこも含めて気に入っています。

発売前にこんな話をするのは野暮かも…とも思いつつ、思いのほかモヤモヤしている方が多いようなので一応ご説明しておくと、「Vulcanus」は誤植ではなく、ローマ神話における炎神の名前です。火山の「Volcano」やバルカン砲の「Vunlcan」の語源ですね。大事なことなので2度言いますが、誤植ではありません!

問題はその読み方で、本当は「ウゥルカーヌス」みたいな音なのを、今回の怪獣名は「ボルカルス」としています。というのも、作中でこの名前をつけるのは火山学者の上杉喜彦という人物(ゲームの説明書に登場)で、彼は外来語を勝手な解釈で読んでしまいがちな、いわば富野由悠季監督みたいな人なんですね。そういうわけで、「ボルカルス」は上杉教授によって作られた和製英語(ラテン語だけど)みたいなものです。おそらく怪獣的な語感を優先したのだと思われます。

また、それとは違うレイヤーの話ですが、タイトルについてもうひとつ制作サイドの視点として触れておくと、シリーズ名には「Kaiju on the Earth」という俯瞰したネーミングをしつつ、個々のゲームは『ボルカルス』のように怪獣の固有名詞にしようというのは、もちろん『ゴジラ』のような怪獣映画タイトルを意識しているのですが、さらに大事なのはこれが「VSものではない」というメッセージです。

ご存知の方も多いと思いますが、『ゴジラ』『シン・ゴジラ』のように単体の怪獣が人類の脅威として描かれている映画は意外と少なく、怪獣映画の多くは怪獣同士が戦う「VSもの」です。しかし今回は「怪獣映画をイチからボードゲームに再解釈する」という試みですので、少なくともファーストシーズンは絶対に『ゴジラ』第一作の精神にのっとり「VSものにはしないぞ!」という強い意思が込められています。なので怪獣名のみのシンプルなタイトルにしたいですし、その名前は少しだけ創意(デタラメともいえます)が入った造語めいたものにしたいわけです。だから音をカタカナ、意味をアルファベットに分割するという変な手法をとりました。(もちろんVSものも好きなので、いずれはやりますよ!)

そもそも「ゴジラ」もゴリラとクジラの合成語であったところに後付けで英名に「God」のスペルが入り、意味が多層化していったという経緯がありますし、どうも僕はそういう少し綺麗じゃないところ、ガチャガチャしたところがないと怪獣らしくない…と感じてしまうようです。もし今回の命名が「ウールカヌス」であったらモンスターパニック映画やビデオゲームの敵キャラとしては良くても、怪獣としては何となく頭が良さそうすぎるネーミングといいますか…本作のゲームデザインを担当した上杉さんがtwitterでおっしゃっていたように、怪獣「ラドン」が海外では「Rodan」であるような文化的ねじれも怪獣らしさのひとつだと思います。

それと、これはもう完全にボードゲーマーにしか伝わらない感覚かもしれませんが、固有名詞のみのタイトルは『カルカソンヌ』『ケイラス』みたいな王道ドイツゲームのタイトルを思わせるところがありませんか?もちろんその手のタイトルって基本的には地名が多いんですが、ボードゲームの売り場において、ちょっとデタラメな怪獣の名前がこの文脈に連なっていくのは面白いかもと思っています。

そういうわけで、本来ならお客さんには伝わらなくてもいいような事まで含めて長々と書きましたが、Kaiju on the Earth『ボルカルス』。わかりにくさも含め、なんとなくおもしろみをもって呼んでいただければ嬉しいです。

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