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ドロッセルマイヤーズ10周年

実は本日2021年2月11日をもってドロッセルマイヤーズは10周年を迎えます。この写真をみても「若いな…(そして解像度低いな…)」としみじみしてしまいますが、2010年末に新卒からずっと勤めたスクウェア・エニックス(入社時はエニックス)を辞めたゲームプロデューサー渡辺範明と西洋のアンティークな文化を紹介する作家 真城七子の共同経営で2011年2月11日に中野ブロードウェイ4階にて店舗オープン、そのちょうど1ヵ月後に東日本大震災発生という波乱の幕開けでした。

オリジナル商品の開発も、光栄なことにライナー・クニツィアの名作『モダンアート』のリメイク『Stamps』からスタートし、 真城七子原案による完全オリジナル作品『アダムとイヴ』『HYKE』、ワークショップから産まれ海外に広がった『巨竜の歯みがき』、そして現在の「ゆるゲー」シリーズ、「Kaiju on the Earth」シリーズまで本当にいろいろなゲームを作ってきました。

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『ドロッセルマイヤーさんの法廷気分』『なぞなぞ気分』『さんぽ神』『ナンバーワンダフル』などの「ゆるゲー」シリーズは現在のドロッセルマイヤーズのメインラインとして、日常生活に自然にとけこむゲームを目指し、これからもマイペースでゆるゆる作り続けます。(現在新作を準備中です!)

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『ボルカルス』『レヴィアス』『ユグドラサス』などの「Kaiju on the Earth」シリーズは弊社単独ではとても実現できなかった大きなプロジェクトで、発売元のアークライトさんはもちろん、各作品のゲームデザイナーやグラフィック、イラスト、フィギュアなどたくさんの分野のプロが集まって成立しているシリーズです。商業的にも怖いほどに好調ですが、今後も良い意味で「そうきたか!?」という裏切りと驚きのある展開を用意しています。

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また、パッケージ商品づくり以外の分野でも『嘘つき村の人狼』などの大規模ゲームイベント企画、日本科学未来館の常設科学展示『未来逆算思考』ディレクションなど様々やってきました。特に感慨深いのは、たった4時間でアナログゲームを完成させる『ドロッセルマイヤーズ・ワークショップ』もなんだかんだ10年目を迎えることです。ときどきゲームマーケットなどで自作ゲームを出展している方から「ドロマイワークショップがきっかけでゲームを作り始めました」と言っていただくこともあって、実際のところ結構大変なイベントなんですが「やっててよかったな…」と感慨深いです。

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さて、こんなドロッセルマイヤーズですが、10周年というのは神保町の老舗「奥野かるた店」さんの創業100年の歴史に比べたらまだまだスタートライン!今後も新しいチャレンジをいっぱい企画していきます。

この10年間で日本国内のアナログゲーム事情は大きく変わり、だいぶ普及の度合いも増してきました。しかしドロッセルマイヤーズは創業時から「創作ボードゲームと遊びの店」を標榜しているとおり、「創作」と「遊び」を一番大事なテーマにしています。僕らの考える遊びとは、パッケージングされた商品としてのゲームだけではもちろんなく、生活の中でのちょっとした遊び心から文化芸術に至る様々なレイヤーを含んだ多層的なものです。今後もできるだけ「ゲームと遊びの境界」を自らはみ出し、拡張しながら、様々な活動をしていきたいと思います。


ドロッセルマイヤーズのこのコンセプトは作家 真城七子の思想によるものですが、これと共通した世界観をもつ、真城の別プロジェクトとして、新しいサービスがスタートします。それがフラメンコ・カルチャー・プロジェクト『LUNARES(ルナ―レス)』です。

真城七子は中野ブロードウェイ店舗時代、ヴェルサイユ宮殿などフランス宮廷文化を中心に西洋文化を紹介する作家活動をしてきましたが、もともとは武蔵野音楽大学出身のフルーティストであり、最近は本業のフルート演奏も絡めつつフラメンコギター演奏をおこなっています。本場のスペイン人アーティストとともに神秘的でミステリアスなフラメンコの世界を日本に紹介すべく、『ルナ―レス』を立ち上げました。ライブの配信、コラムの執筆、イベントの企画などを主な活動としておこなっていきます。コロナが収束したら日本各地への出張ライブもおこないます。(なのでもともとは「フラメンコ・キャラバン・プロジェクト」として計画していました。)

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ルナ―レスとは「水玉」の意味です。水玉模様は歴史的に抑圧されてきたロマ(ジプシー)の血であり、汗であり、涙であり、それを笑い飛ばす酒の泡であり、そうであるがゆえにフラメンコの象徴なのです。そしてLUNARとは月のことでもあり、その複数形がLUNARESです。音楽、歴史、アートなどフラメンコ文化の点をつなげ、広がりのある水玉模様とすることがルナ―レスの目標です。

ドロッセルマイヤーズで普段オモテに出ることが多いのはゲームデザイナー/プロデューサーの渡辺範明なので、ドロッセルマイヤーズ=ゲームの会社と認識されている方も多いと思うのですが(僕らもそう自己紹介していることも多いのですが)、もうひとつの側面、真城七子サイドのテーマは世界の遊びや芸術の文化を紹介し、日本に根付かせていくことです。これはゲーム制作と比べてもはるかに難しく、利益を生みづらく、気の長い活動なので地道にやっていくしかないのですが、10周年を迎える今年、その原点にあらためて立ち返っていきたいと思います。

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ちなみによく尋ねられるのですが、「ドロッセルマイヤーズ」というのは店の屋号で、「株式会社ドロッセルマイヤー商會」というのが正式な社名です。ゆるゲーシリーズに登場する隻眼のキャラクターは「ドロッセルマイヤーさん」です。いろいろとわかりにくい我々ですみませんが、今後ともドロッセルマイヤーズをよろしくお願いいたします!

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