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5.3 ダイアトニックコード(ハーモニックマイナー)

※こちらの講座「クリエイターのためのポピュラー音楽理論」のレジュメです。動画は以下で公開中!!

はい。前回はナチュラルマイナーのダイアトニックコードについて話をしましたが、内容的には前回の記事や動画を参照していただくとして結果としては以下の通りです(動画で説明に使った手書きのスクショを使うので字が汚くてごめんなさい)。ナチュラルマイナーのダイアトニックコードはCのキーに対してAmのキーに短三度下から派生するナチュラルマイナースケール(要するにラシドレミファソラ)の上に三度積みしたコードですね。と書くと面倒な感じがしますが、ズラしてるだけなのでご心配なく。下記の図を見ながら話を進めていきますが、、、

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このマイナーで書かれているところはCから始まる「ラシドレミファソラ」なのでCのキーに直すと「ドレbミラソbラbシド(Do Re Me Fa Sol Le Te Do)」となります。アルファベットなら「C D bE F G bA bB C」ですね。その上に立つコードはメジャーのダイアトニックのAm7から始まるコードなので上の図のようになります(復習なので改めて書きませんので各々ご確認を!)

コードを引き分けて感じてみる方法

さてここまででコードの種類としては「△7」コード、「7」コード、「m7」コード、「m7b5」コードと四種類ダイアトニックには出てきます。さらに説明上「dim7」も解説してあるので都合五種類ですね。今回のハーモニックマイナーを始める前にこのコードの弾き分けて違いを感じるための練習方法(と言うほど大袈裟でもない)をご紹介しておきます。

下記の図は上の五種類のコードを一覧したものです。譜面上はこれを全てCをルート(根音)とした形で記述してあります。その方が違いがわかりやすいので。

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この譜面を見て貰えばわかると思うのですが、メジャー7thコードからdim7まで音の変化としては1音ずつしか変化していないことがわかります。要するに文章にするとこんな感じ。

・C△7      ド ミ ソ シ
・C7         ド ミ ソ bシ
・Cm7      ド bミ ソ bシ
・Cm7b5 ド bミ bソ bシ
・C△7      ド bミ bソ bbシ

本当は変化してるところを赤とかにしたいんですが、noteの限界なのでボールドにしておきます。こんな風に根音を固定して弾き分けると言うのを動画の中でもやってるので見てみてください。キーボード持ってる方はぜひやってみましょう。あと根音をC以外でもやってみるといいです(理想は12音全てでやっておくといいです。と言うのもキーボードは音の並びの物理的なキーの距離関係が均等ではないので根音が何になるかで微妙に変わるからです)。

ハーモニックマイナーとは?

さて、そんなわけで本題のハーモニックマイナーについてですが、ハーモニックマイナースケールというのは日本語では「和声的短音階」と言います。なぜ、和声的、というかというとこのスケールが和声の都合上後から作られたものだからです。ナチュラルマイナースケールというのはメジャースケールの6番目の音から自然に作られたものなのでナチュラルつまり「自然的短音階」などと呼ばれていますが、この自然的短音階で和声を使っていくのには一つ問題がありました。それが「ナチュラルマイナースケールの5番目の音はドミナントセブンスではないのでドミナントモーション(もう少し詳しくいうと三全音の解決とルートのドミナントモーション)してくれない」ということです。以下の図を見てください。

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メジャースケールのV7はソシレファという構成音で、ファとシの間が全音三つ分離れています(半音でみるとファ bソ bラ bシ Fa, Se, Sol, Le, La, Te, Ti)。これを三全音またはトライトーン、などと言います。クラシックの楽典や音楽理論などで音楽学的な話としてこのトライトーンは「悪魔の音程」などと紹介されており、これを解決する力がコード進行の力とされています。具体的には、キーをCで考えるとV7であるG7のソシレファのファとシが、C△7のドミソシのドとミにそれぞれ解決することで全三音が長三度へ解決し、根音が五度下降(四度上行)する、というドミナントモーションの条件に当てはまるわけです。ああ前置きが長い!!

で、これをナチュラルマイナーでのVの和音を見てみると、前回やったようにナチュラルマイナーのVはVm7で、キーがCならGm7ですから構成おんはソbシレファで、ファとbシとなってしまって全三音、トライトーンではありません(音程的にはP4、完全四度)。な、の、で、それをどうにかしないとあかん、という訳で「和声的な問題を解決するために作られたのが「ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)というわけです。

ハーモニックマイナーのダイアトニックコード

では、ハーモニックマイナースケールを見ていきます。下の図の下側の赤字で「ハーモニック」マイナーと書いてあるところを見てください。

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先にも述べた通りハーモニックマイナーはナチュラルマイナーのVm7にトライトーンを取り戻してドミナントモーション(今回は新しい単語出てきたな、くらいでいいです。そのうちコード進行の話する時にやりますので)が出来るようにするために作られているので要するにVm7をV7に戻せばいいわけですね。で、キーをCで考えると、Vm7というのはソbシレファで、V7というのはソシレファなのでナチュラルマイナーの7番目のbシをNシ(※Nはテキストの便宜上ナチュラル記号として扱っております)に半音上げればいいわけです、。その結果、、、

ド レ bミ ファ ソ bラ シ ド =  Do Re Me Fa Sol Le Ti Do
1   2   b3  P4  P5 b6 N7 8

という並びのスケールが誕生しました。

さて、スケールができた、ということはそのスケール上にコードを立てていくことができます。次にハーモニックマイナーのダイアトニックコードを考えてみましょう。下の図を参照してください。考え方はシンプルにいきますよー!

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先にも書いたようにハーモニックマイナーというのはナチュラルマイナーの7番目がb7でなくN7であればいいわけです。ということはすでにナチュラルマイナーのコードは知ってるわけですからそこからb7が含まれているコードを弄っていけばハーモニックマイナーのコードは読み解けてしまいます。

まず最初にナチュラルマイナーのコードを例によってキーをCに固定して考えてみます。ナチュラルマイナーのコードは以下の通りでしたね。

Cm7         ド bミ ソ bシ
Dm7b5    レ ファ bラ ド
Eb△7       bミ ソ bシ
Fm7         ファ bラ ド bミ
Gm7        ソ bシ レ ファ
Ab△7      bラ ド bミ ソ
Bb7         bシ レ ファ bラ

このうちbシを含んでいるのは、Cm7 Eb△7 Gm7 Bb7の四つだけです。つまり、後のコードは変化しません。ではどう変化していくのかを下の図を参照しながら見ていきましょう。

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Cm7 Eb△7 Gm7 Bb7のそれぞれのコードがどう変化しているのかが上の図の上段に書かれています。bシをNシに半音上げるわけなので、以下のようになります。

Cm7         ド bミ ソ bシ  > Cm△7         ド bミ ソ Nシ

Cm7の7(つまりb7)が半音上がったので長七度になるので、Cm△7

Eb△7       bミ ソ bシ レ  > Eb△7aug       bミ ソ Nシ

Eb△7のP5が半音上がると増五度なので、記号的にはaugをつけて、Eb△7aug(メジャーセブンオーギュメント)

Gm7        ソ bシ レ ファ  > G7        ソ Nシ レ ファ

これは先の説明の通りでGm7の3番目が半音上がるので長三度になるのでG7

Bb7         bシ レ ファ bラ  > Bdim7        Nシ レ ファ bラ

これが唯一面倒なんですが、ルート(根音)が動くパターンです。この場合元のBb7の構成音の度数が1、3、5、b7なので、ルート(根音)が半音上がるということはルート以外の構成音との距離は半音縮むということになります。半音縮むのであればそれは全てにbをつけていけばいいので、1、b3、b5、bb7となります。つまりこれはm7b5(ハーフディミニッシュ)のところで説明しているディミニッシュ7コードとなりBdim7

という感じでこれでハーモニックマイナーのダイアトニックコードでナチュラルマイナーと比較して変化したコードがわかったので変化していないコードと合わせてまとめておきます。ここではCのキーとコードの度数表記とを書いておきます。

Cm△7 Dm7 Eb△7aug Fm7 G7 Ab△7 Bdim7

Im△7 IIm7 bIII△7aug IVm7 V7 bVI△7 VIIdim7 

はい、いかがでしたでしょうか?これ丸暗記するの面倒ですよね、、、なのでこの作り方だけ覚えておけばいいです。で、毎回作曲したり分析するときに後々出てくる「ダイアトニック統合表」と「四度圏表(クラシックでは五度圏表と呼ぶ)」を毎回書いてればそのうち覚えます。大事なのはコード、和声の構成音がどのように「変化しているのか?」を知って理解することだと僕は思っています。まぁ職業音楽家や実演家を目指すなら結局は暗記する(よりももっと深く血肉に刻む笑)必要があると思いますが、基本的に音楽プロパーじゃない人が「丸暗記せずにその構造を知って自分で導き出せるようにする」という目的の講座なので、そんな感じで使ってもられればと思います。

では次はメロディックマイナーをやって四種類のダイアトニックコードがおしまいです!!そこまでやると比較的いろいろ出来るようになっていきますよー!!

今回までの講座の動画は以下のリストで見ることができます。音のことなんで文章だけでは伝わりにくいところもあると思うので、よかったらチャンネル登録などしていただき、見ていただければ。毎週、または隔週くらいで更新していきます!

それではまた!!

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