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005「補講代・再試験代があるスクール」の闇

2022年12月5日から国土交通省が「無人航空機操縦者技能証明書」を発行する「国家ライセンス制度」がスタートしました。この「無人航空機操縦者技能証明書」を取得するためには「指定試験機関」が行う学科試験に合格したあとに「指定試験機関」が行う実地試験にチャレンジするか?「登録講習機関」が行う学科講義・実地講習を受講し、その後「指定試験機関」が行う学科試験に合格するか?の2通りの受験方法があります。

この「指定試験機関」とは「一般財団法人日本海事協会」という法人のことです。日本海事協会の誕生は、海運・造船両業界の保護育成と海事関係法令の整備を目的として帝国海事協会が創立された1899年11月に遡ります。広い意味での海事全般の発達を図ることを目的とする、第二次世界大戦前から125年の歴史を有する由緒正しき公正な第三者であり、営利の追求を目的としない財団です。

さらに、船舶の職員に与えられる「海技免状」の制度設計などにも多大な貢献を行ってきた「資格制度のプロフェッショナル集団」といえる団体です。なぜドローンの資格試験を日本"海事"協会が実施するのか?不思議に思われる方も多いでしょうが、一般財団法人日本海事協会の歴史を見れば理解できるでしょう。ちなみに、学科試験については「プロメトリック株式会社」が日本海事協会から請け負い実施しています。

では「登録講習機関」とは何でしょうか?無人航空機操縦者技能証明書を取得しようとする方々に対し、無人航空機の飛行に必要な知識及び能力を付与するため、国が定める施設及び設備、講師等に係る要件を満たした民間事業者を登録講習機関として登録する制度(引用:国土交通省HP)を開始し、全国のドローンスクールのうち700校程度(現時点)を登録講習機関とし、日本海事協会に代わって実地試験を実施することとなりました。

つまり・・・

① 登録講習機関(ドローンスクール)で実地試験に合格し、指定試験機関(日本海事協会/プロメトリック株式会社)で学科試験に合格する。

② 指定試験機関(日本海事協会/プロメトリック株式会社)で学科試験に合格し、指定試験機関(日本海事協会)で実地試験に合格する。

・・・の2通りの受験方法があります。

クルマで例えるなら、運転免許試験場で受験するいわゆる「一発試験」が、日本海事協会が主催する実地試験で、教習所で受験する「卒業検定」が、ドローンスクールで受験する実地試験です。つまり、学科は、独学だろうがドローンスクールに通おうが、日本海事協会(プロメトリック株式会社)が実施する学科試験を受験することが必須で、実地試験は日本海事協会か?ドローンスクールか?いずれかの方法を選べるということです。

当然、「一発試験」のほうが、安価に短時間で国家ライセンスを取得できるにも関わらず、時間と費用を費やしてでもドローンスクールで審査を受けようとする方が多いのはなぜか?その理由は「ドローンスクールで審査を受けたほうが”圧倒的に合格率が高い”」からです。ここで疑問が生まれます。「なぜ国家資格なのに受験方法によって合格率が変わるのか?」今回はその闇についてご説明します。

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