ドローンパイロット必見!無人航空機の事故報告要領と重大インシデントについて知ろう!
ドローンの世界にようこそ、どうもこんにちは!
ドローンBusiness研究所ヒロユキです。
こちらのnoteでは、週一回程度のペースで、ドローンに関わる様々な情報を発信していきます。どうぞ宜しくお願いいたします。
ところで日本では、ドローンの利活用が驚くほど話題になり、盛り上がっていますね。そこで、ドローンを事業に活かしたいという要望や、ドローンを使ったビジネスが儲かるのでは?と参入を検討する事業者や個人の方も多いのではないでしょうか。
いま盛り上がりを見せるドローン業界ですが、一方その裏では事故などのトラブルも絶えません。
安全なドローンの運用を確保するためには、飛行に関わる機体性能やパイロットの技術向上は勿論ですが、起こってしまった事故の報告とその情報の共有も重要となってきます。
そこで今回は、国土交通省が無人航空機の運用に関する制度「事故等の報告及び負傷者救護義務」について、ご紹介します。
ドローンを飛行させる場合のルール
ドロ-ンを飛行させる場合、100g以上の機体を購入してもすぐさま飛行できるのではなく、機体の登録と特定飛行に該当する場合には国土交通省への許可・承認の申請が必要であることは、少なからず認知されてきたかと思われます。
しかし、許可が出てパイロットが実際に飛行する場合の規則に関しては、まだまだ浸透していないのが現状です。では、どういったルールがあるのか見ていきましょう。
国土交通省は、無人航空機の安全な運用を確保するために、以下の運航ルールを定めています。
飛行計画の通報
飛行日誌の記載
事故・重大インシデントの報告
負傷者発生時の救護義務
これらどの項目も遵守しないといけません。
しかし、旅先で「この景色きれいだな」思い立ったときや、「今日は天気がいいから練習しよう」なんていう風に気楽に飛行させたいですよね?
こんな考えの方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
これを操縦(運転)するという視点から、自動車に重ねて見てみると、「計画の通報なんかしなくても良いので、自動車は自由だよな」と思われるに違いないです。
ですが、運航環境をよく考えてみてください。
自動車が走行する道路は、車道や歩道が整備されていますし、長距離・高速移動時には高速道路や自動車専用道路があります。
また制限を示す道路標識に交通を整理する信号機や横断歩道など数々の安全な車両運行に係る対策が施されています。
だからこそある程度自由に自動車は活用できるのだと思います。
とはいえ、ここまでしても、交通事故が起こる現状があります。
一方空は、視覚的に捉えることができる標識や道がありません。
だからこそ、多くの決まり事を設けて、パイロットが不用意に飛行しトラブルや事故に繋がらないよう対策を講じているのだと考えています。
(あくまでも個人的見解ですが)
事故・重大インシデントの報告
ドローンを飛行させる場合、「事故を起こす」という事を想定している方は多くは無いのではないでしょうか。逆にそのようにお考えであった方に知っておいていただきたい制度をご紹介いたします。
ここからは、「事故・重大インシデントの報告」について見ていきます。
早速ですが、国土交通省のポータルサイトに下記のように記されています。
補足すると「無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領」の中で、この報告は、無人航空機の飛行により発生した当該事故及び重大インシデントの原因を究明し、再発防止を図ることが目的であり、当事者に対しペナルティを科すことを目的としたものではないとあります。(令和4年11月4日 制定(国空無機第223052号))
だったら、報告しなくてもいいかと、お思いの方も出てくるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。逆に報告しない場合はペナルティーが設けられているのです。
だから、報告しましょうというわけではありませんが、安全の向上への貢献であるという視点でパイロットの義務として認識いただいたらよいのではと考えます。
無人航空機に係る事故等報告一覧
ここからは具体的な報告について確認していきましょう。
報告は大きく「事故」「重大インシデント」に分けられています。以下は、それぞれに定められた定義です。
事故
人の死傷(重傷以上の場合)
物件の破損
航空機との衝突又は接触
重大インシデント
航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認めたとき
無人航空機による人の負傷(軽傷の場合)
無人航空機の制御が不能となった事態
無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限定)
この内容をご覧いただくと、上記に心当たりのある方もいらっしゃるのでは、と思います。
定義を細かく見ると「物件の破損」においては、衝突による瓦のひび割れや構造物の壁を傷つけた等軽微なものを含むものとされています。
また、「無人航空機の制御が不能となった事態」では、無人航空機が機体不具合により制御不能となった事態を報告の対象とし、これにより無人航空機を紛失した場合も含むと記されています。
十分注意していても、ドローンを飛行させていれば、いつかはこのような事態に突発的に遭遇するのではないかと考えます。
では、これまでどのような事故報告があったのか、そしてどういう対策を講じればよかったのか、報告を見ていきましょう。
次は、報告とその対策の内容抜粋です。
報告の一覧を見ていると、農薬散布中の事故が目立ちます。
先ず、一つ目の案件です。
こちらもナビゲーター(補助者)からの指示がなかったのか、手前での指示なく、いきなり停止を求められたのか詳細は分かりませんが、パイロットからドローンの距離が離れると、正確な位置とスピード感の判断がつきにくくなります。
ですから、インカムなど無線による補助者との密な声かけが重要となります。軽視されがちですが、補助者もパイロット同様のスキルが無いと務まらないと考えたほうが良いです。
令和5年より、制度に合わせ事故や重大インシデントの分類が記載が追加されています。
二つ目の案件は、「通信が途絶えた」とのことで、リターントゥホームが発動したようですね。
この様な通信が途絶えることは体験された方も多いのではないかと思います。
そこに輪をかけて騒動を大きくしたのは、機体が離陸地点の認識を誤ったことです。GPSが離陸地点を捉える際に誤ったのか、飛行後にGPS不良となったのかわかりませんが、これも離陸した後、その場でしばらくホバリングし電波の状況やGPSの状況をチェックするのが良いですね。勿論みなさんは離陸前にこれらをチェックされていらっしゃるかと思いますが、改めて確認した方が良いでしょう。
そして三つ目の案件です。
こちらは「素手で機体を止めようとした」とあります。
人は気が動転すると正しい判断が出来なくなるという良い例ですね。
機体の損傷を防ごうとしたのか、はたまた、ここには記載のない物・人への危害を避けようとしたのか。最近、ある動画で駐車場内にて暴走する車を一人で止めようとし車に回り込んだ事例を見ました。
冷静に考えると軽自動車であっても人力で止めることは、到底できませんよね。話を戻すと、やはりこの事案も飛行前の安全措置・計画が重要で有るという事がわかります。トラブルを発生させない事と、いざ起こった時にはどう対処するかをマニュアル化しておく必要があります。
最後に
報告はこの他にもたくさんあります。
ここまでご紹介した内容を人ごとに思わず、日頃から事故などのトラブルに備え対策を検討する事が必須なのです。
そして「事故等の報告及び負傷者救護義務」の制度は、無人航空機の安全な運用に向けた重要な解決策のひとつです。運用者や関係者が事故報告を行い、情報を共有し分析することで、より安全なドローンの運用環境の実現が可能となるわけです。ご覧の皆様も万が一の際には報告をお忘れなく。
それでは、またお会いしましょう!
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