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ノイズマネジメントに関わる聴覚心理学 〜ノイズは大事なのだ(-_-;)〜 #035

はじめに 〜補聴器ハンドブック勉強会秘話〜

今号の話題に入る前に、来月開催が計画されている補聴器ハンドブック勉強会のこれまで(沿革)について少し紹介させていただきます。

補聴器ハンドブック勉強会の原型は2002年まで遡ります。

NPO日本ヒアリングインターナショナル(HIJ)主催の「ヒアリングアドバイザー育成講座」がその始まりです。神田にある会議室を借りての年1度の小さな勉強会としてその集まりはスタートしました。その後、規模は徐々に大きくなり、お台場のTKPビルに場所を移しハンズオン実習なども行うようになりました。

臨床福祉専門学校の非常勤講師をつとめるようになったのをきっかけに、言語聴覚士をめざす学生さんにも参加していただくようになり、伊豆の温泉旅館での合宿スタイルでの開催など年に1度、場所を替えながらに開催していきました。

2011年になり私が那須の現在の所属に転籍したことをきっかけに、大田原日赤病院 耳鼻咽喉科部長の馬場優先生(現 奥羽大学歯学部教授)と「那須神経生理ワークショップ」と名をあらため裾野を広げ、学術集会的成長を見込んでの再スタートを切りました。

初年度(2012年)は国際医療福祉大学セミナーハウス、次年度は明治元年より続く老舗温泉旅館「清琴楼」、3年目は、場所を変えて海浜幕張にてその時は90名を超える参加者がありました。その趣旨は、認定技能者と言語聴覚士のレベルアップ、聴覚神経生理学のエキスパートといえる言語聴覚士あるいは補聴器技能者、さらには幅広い見識を備えた補聴器相談医を1人でもおおく世に送り出すことでした。

しかし残念なことに参加者のおおくは生理学よりも補聴器のことを詳しく知りたいということで参加者は固定、ちょっとジリ貧なムードでした。

そうこうするうちに、懸案の補聴器ハンドブック第2版の原著(2012年刊行)翻訳権取得が決まり、翻訳作業に取りかかるため、ひろく人を集めての勉強会は中断としました。それからのおよそ2年半、コアメンバーとともに補聴器ハンドブック第2版の翻訳作業にとりかかりました。2年弱の年月を経て、2016年に上梓することができました。

この第2版は、臨床福祉専門学校出の言語聴覚士が中心となって翻訳していきました。ぼくの想像通りにかつての教え子は、その重責に堪え、見事に上梓まで耐え忍んでくれたことには本当に感謝しています。

補聴器ハンドブックは、第1版と第2版で30%以上の内容が書き換えられています。第一版で推奨していたはずの話が、第二版で手のひら返しになっている項目もあります。

そんなわけで第一版の読者にはなんとか第二版をしっかり読み直して欲しいという思いがありましたが、多くの読者は、「第一版も読み終えていないのに、さすがに第二版は買えません。」とか「読んでみましたが、その30%の違いがよくわかりません。」というレスポンスばかり。しかも予想するペースを遥かに下回る売れ行きでした。

本の売れ行きばかり気にしていたぼくに、「認定補聴器技能者試験合格対策チーム」の@hearingaidsproさんは、しれっと、原点にかえりなさい。NPO-HIJ主催のヒアリングアドバイザー育成講座のようなコアなものを開催すべきですよというアドバイスをいただいたわけです。

んなわけで、2018年から再スタート。「補聴器ハンドブック勉強会」に名をあらため、セミナー開催がスタートしたのです。

2018年度は新横浜で月例の勉強会として開催しました。
2019年度は那須塩原で1泊2日の集中合宿スタイルでの開催。
2020年度は幕張のスタジオからのオンライン・オンデマンド開催となりました。

そして今年度(2021年度)は、1月に、幕張でのオンサイト・オンデマンド(一部)開催を計画しています。

募集要項は以下の通り。まだまだ席に余裕はありますのでふるって参加ください。

マガジンで取り上げているここ2回のノイズマネジメントについての記事(今回で3回目)は、すでに補聴器ハンドブック第一版には書かれていない話ですし、その内容は、すでに第二版に書かれている内容取りも深ボリした話題になっています。

なんとなく眺めているだけで、わかったような気になってしまいますが、2017年以前の知識とそれ以降の知見は雲泥の差、しかもその最新の技術が現行の市販されている補聴器の機能として搭載されているのですから、うかうかできません。

新しい知見の要点としては、
・子音は●●●●●●がもっとも重要なファクターである
・子音は●●●●●●に置き換えることができる
・周波数情報は、●●●●●●を持っていない
・ノイズキャンセルの主体は、●●●●●●である
・音の情報処理として、●●●●と●●●●の●●特性は非常に重要である
・●●●●は、●●●的に考えても●●●か●●●●であるべきだろう。
などなど。

補聴器に関するこれまでの常識を棄てて、新しい視点で補聴フィッティングを仕掛ける、そんな時代の転換期になっています。

#033、#034、そして今回と次回のノイズに関わる記事は、これからの新し補聴器の流れを深く理解するために必須の知識となることは疑いようもありません。

と、ちょっと長い前振りになりましたが、
それでは、
#034の続きなお話
#035を
はじめていきたいとおもいます。


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