オーダーメイドってシェルだけのはなしじゃないんだけど・・・ #010

大塚さんの前回の記事・・・・

大塚さんは「オーダーメイド補聴器の一丁目一番地は耳型である。」と大上段にその重要性を語ってくれました。
でも、
「これってマーケティング的にはミスマッチの典型じゃないの?」
とふたたび首をかしげてしまいました。

クライアントさんの「ウォンツ」とズレていると思ったからです。

ということで、ドクターなかがわ的視点からオーダーメイド補聴器マーケティングについてウンチクたれてみます。

オーダーメイド謳うなら「3F」を語れ!

クライアントさんが想像する補聴器のオーダーメイド。そのことばの意味には「パーソナライズ(わたしだけの補聴器)」という期待があります。


1.Fashion-able: 自分だけの所有感に溢れるファッショナブルな補聴器(色選びとか、着せ替えとか、デコとか、ダブルネームのブランドとか)とか、限定カラーとか。つまり、オシャレとか格好いいという視点に欠けているとまずMONOとして「欲しい」を刺激することはかないません。
「見えない補聴器」という言葉はクライアントのこころにかならず刺さります。

2.Function-able: スマホの買い換えの動機は、メモリやバッテリーだけが理由じゃありません。新機能に惹かれて買い換えというのが一番の動機。3眼カメラや有機ELかみたいな副次機能に惹かれて買い換える方がほとんど。基本機能だけが購買意欲を刺激しているわけではありません。補聴器も同じ。GPSの搭載は補聴器をなくしてしまうリスクを小さくしたり、徘徊癖のある親御さんにつけさせるなんてのもありでしょう。心電図計測機能や転倒通知機能など本筋とはことなるようにみえる機能であっても持病のあるクライアントさんにとっては大きな安心材料です。しかし、高機能スマホが必要な人がいる一方でガラケーで大丈夫な人もいるように補聴器だってベーシックなので充分という人もいます。
まずはカウンセリングを通じて機能をきちんと説明する。
「機能的なパーソナライズ」なしにクライアントの笑顔をいただくことはかないません。

3.Fit-able: 大塚さんは「オーダーメイド補聴器の一丁目一番地は耳型である。」と大上段にその重要性を語ってくれましたが・・・。その人の耳の形状に最適なかたちの補聴器の提供というのは、3Fの中では3番目の作業です。1丁目3番地あるいは3丁目かもしれません。
スーツを仕立てるときは、まず、その目的から入っていきます。モーニングか、礼服か、ビジネスか。カジュアルならつるしのS・M・Lなサイズから選んでも問題ありませんが、モーニングや礼服やビジネスとなるとそうもいきません。もちろん出来合いの製品でぴったりとサイズが合う人もいますが、袖とか裾は長さ調整などが必要です。耳かけ型補聴器におけるイヤモールドの作成というのは、袖や裾のお直しみたいなもの。だからそれはオーダーメイドとはいえません。
つけごごちのわるい補聴器で満足を得られるわけもありません


Fashion-able, Function-able, Fit-able

『3F』なる3つをきちんとクライアントさんに示すことなしに、耳型を取るだけで、「さあ、オーダーメイド補聴器です。いくらいくらになります。」とやられても一度でも仕立てのスーツを作ったことのある人なら「なんだコイツぼったくりかよ。」と思われてしまうのがオチでしょう。


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