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補聴器適合検査について(後編) #028

はじめに

前回の記事の中で紹介した30年前の無響チャンバー。
そのまるで爆弾のような形に驚いた人もいたのではないでしょうか。

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記事を書いた後も昔の資料を漁ってみたところ、当時の補聴器の仕様書もでてきました(お宝〜〜☺️)。

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30年前の高度難聴用の補聴器のMOP(MPO)の測定も2ccカプラで計測されていました(^_^)
いわゆるハイパワーモデルで、2ccカプラでMPOが130dB。その高出力に驚きました。ハウリングしないようにベントなしのイヤモールドを組み合わせていたのですから、驚きというしかありません。
今の価値観で考えると正直「ヤバい」です😭。

1980年代にカナダでムンプスが流行り、高度難聴幼児が急増。幼児で正確なPTAは無理だろうとMCLベースなDSL(Desired Sound Level。教育を受けるときに望ましいゲインにひとまずあわせておくという方式)が編み出され、聴検の出来ない乳幼児へのフィッティングが始まり、その精度を高めるためにインサートイヤホンが発明され、REMが始まったのは1990年代。

国内ではまだまだ
「実耳とかいうのが海外で始まってるけどそれってどう(なん)だろう?」
ってなレベルの時代だったのですから、当時の講習会がそんなレベルなのは、ふり返ってみれば、「そうだったのね(>_<)」としかいいようありません。

実際の補聴器と鼓膜面の間に生じる外耳道容積は、耳せんの形状や補聴器のスタイル(耳あな型、耳かけオープン型など)によって大きく変わります。2ccカプラのデータはあくまでも参考値で、それ故にリアルなREMが必要なのだよという話は5月号・6月号で大塚さんがたっぷりしてくれましたから、ぜひそちらで学んでください。

さて、
今回は#27の続編として「8つの評価方法」の意味について考えていきます。

8項目の評価って・・・

<<8つの評価方法>>
(1)語音明瞭度曲線 or 語音明瞭度の測定
(2)環境騒音の許容を指標とした適合評価
(3)実耳挿入利得の測定
(4) イヤホンでのSPLでの域値とUCLの確認
(5)ファンクショナルゲイン
(6)補聴器特性図(SPL)
(7)雑音下語音明瞭度の測定
(8)質問紙による適合評価

実質7項目に落とし込めるような内容かなと思います。

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なかがわ流 7つの評価点と読み替えて、
今回は、それぞれの項目について学んでいきましょう。


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