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クラウド対応AI補聴器は令和の黒船だ!#044

はじめに

*今回の記事には性的記述が含まれています(R18指定)。
*前回予告したタイトル「REM測定装置獲得のための戦略(医療機関編その2)」は、次号に展開予定です。楽しみにしていた方、申し訳ありません。

前回の大塚さんのマガジン、のっけからチューリング博士の話題でボク的にはワクワクした気分で読み始めることができました。

http://imitationgame.gaga.ne.jp/

チューリング博士のことは映画「イミテーションゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(2014)に詳しいので是非ご覧になってください。映画を通して彼の人と成り、どれほどの天才だったか、そして今のAIにつながる過去の事象などが見えてくることでしょう。

AmazonPrimeビデオで観ることが出来るようです。

さて、今回は、大塚さんのAIの記事を受けて
もう少しわかりやすく『AI補聴器の今と未来』について解説してみたいと思います。

ML か AI かそれが問題だ

では、まず事例を挙げながら、ML(機械学習)とAI(人工知能)についてより理解を深めていきましょう。読者のみなさんの多くも利用されているであろうオンデマンド動画配信サイトのひとつ「Netflix」は、MLとAIを巧みにつかったマーケティングで利用者のハートを鷲づかみにしています。このNetflixの事例をおさらいしながらMLとAI の違いを一緒に再確認していきます。

ネットフリックスの会員が飛躍的に伸びたのは、オリジナルドラマの「イカゲーム」のヒットによるところが大きいと言われています。
イカゲームのヒットと会員増という話題が呼び水となり、その後も右肩上がりの成長をしているようです(最近のウクライナ事情からか株価はパッとしませんが、世界的な会員獲得は順調なようです)。

会員になる動機は人それぞれですが、やはり、Netflixでしか見れない人気のドラマや映画を観たいというのが一番のようです。入会するとまず最初にホーム画面に上がってくるのは、人気ランキング順のドラマや映画です。
もちろん、年齢や性別あるいは入会時に登録したあなたのお気に入りの映画のリストなどから、おなじジャンルの類似したいくつかのお勧め映画もリストアップされます。

もちろん、そこにはまったく興味のない作品もリストアップされています。
こうしたデフォルトでの「あなたのお気に入りを参考にして選んだNetflixお勧めの映画はこちらです。」みたいなこの提案のやり方そのものが、いわゆる「ML」的データ処理なのです。

入会の動機は、もちろん今話題のオリジナルドラマを観たい、だったわけですが、あっという間にその連載に追いついてしまい、次週の配信を待つあるいは次のシーズンまでの半年、1年のウェイティングという事態に陥ります。次のシーズンが始まるまでのその空白の期間に、最初は、五月雨式にいろんな番組を再生していきます。そのつまみ食い的鑑賞においては、一気に最後まで観てしまう、何回かに区切って最終的に最後まで見終える、途中で飽きてしまいそのままで2度と見ないといったようなパターンで視聴経験を何度も重ねていくことになります。

こうした一人一人の視聴行動はNetflixのコンピュータに常時観察されているわけで、そうしたデータベースから、それこそ会員になって1ヶ月も経たないうちに、ネットフリックスは、入会時のホーム画面とはすっかり異なる(ツボを突いた)お勧めリストをつぎつぎにアップするようになってきます。「どうしてこの映画を観たあとに観たい映画をNetflixは見事に言い当ててぼくに提案してくるんだろう。」そう、その頃にはもうNetflixのAIがお勧めする映画をいわれるがままにに見続ける「○○シャブ漬け」状態に染められてしまっているのです。

AIとは、日本語で人工知能と呼ばれているコンピュータ上で展開される情報処理(意思決定)システムのことです。
人間の知的ふるまいの一部をコンピュータ上のソフトウェアを用いて人工的に再現したものを言います。

人が、経験から学んだり、未経験のではあるけれども書物などで学習して学んだ入力に対して、最適解を出すことができるのと同じように、コンピュータを使ってまるで経験豊富な人がなにがしかの器機を操作するように、コンピュータを十分に学ばせ、さらには、コンピュータ自身にそのデータベースを自動的にアップデートさせることで、まるで人の臨機応変な意思決定のごとくタスク処理させる、つまり「賢さ」をもった情報処理システムをAIと呼んでいるのです。

膨大なユーザー・エクスペリエンスをデータベースとして保有したうえで、おなじ属性の人に対して、その他大勢の人たちが「いいね」したそのエクスペリエンスを提案していく。

ユーザーの数が増えるほどに、いいねに参加する人が多くなるほどにそのユーザー・エクスペリエンスに基づくデータベースは賢くなっていきます。そして、もう一方で、クライアント属性をできるだけ詳細にカテゴリー化しておき、両者の相関マップを実際にユーザーが使用しているそのオンタイムな状況の中で学習させ拡張させていく。

それはユーザー体験の質の向上やミスマッチのない高い満足が保証された商品提供を続けていくことを可能としてくれるわけで、それこそが、AIの実現する新しい世界観だと言えます。実際、Netflixは今、ビジネス的な成功を着実に勝ち得ているようにみえます。

さて、それでは補聴器という商品においては、いったいなにをどのようにAI的に処理していくからすごいのか、あるいは、〇〇○○しかAI化できていないから、それはまだ「帯に短し襷(たすき)に長し」なのか。

なにより、世の中のモノがことごとくIoT化していくこと、そしてその先に、すべてのIoT器機が、AI化していくことは半ば避けがたいミライであって、それゆえに、ぼくたちは、
過去から現在そして未来へとつながる補聴器の進歩と革新
そして
未来においてなぜ補聴器のAI化は避けて通れないのか
を以下、駆け足でまとめていきます。

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