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【エッセイ】僕の大好きなソングライター③スティービー・ワンダー

それまで原色しか存在しなかった世界に突然1000色のパレットが登場したような。
スティービー・ワンダーの音楽に僕が感じるのはその神秘的な色彩感覚です。
それは額縁に飾った絵のような静的なものではなく、七色の皮膚をもつ世にも美しい生き物が悠然と闊歩しているような、脈打ち躍動する事で刻々と表情を変える色彩です。

僕の大好きなポップスの歴史上、タイムマシンを使ってでも是非行ってみたい時代・場所が2つあります。
ひとつは1960年代のアビーロード第2スタジオ。
ビートルズがあの奇跡の名作群を量産した場所です。
もうひとつが、1970年代前半のエレクトリック・レディ・スタジオです。
ポップスの歴史上最も偉大なソロアーティストであるスティービー・ワンダーが、そのクリエイティビティを大爆発させていた時代であり場所です。

ビートルズ出現以降、ポップスの世界には数多くの天才アーティストが現れましたが、真にビートルズと肩を並べるような作品を生み出したのは彼だけだと思います。
そしてそんな偉大な作品の殆どを彼はこの時代、この場所で生み出しました。
その楽曲群は、マジカルで、自由で、創意工夫に溢れた刺激的な時代と場所の雰囲気を伝えてくれます。
その一つに「Superwoman(Where Were You When I Needed You)」という楽曲があります。
その曲を聴くと、出だしの一音から最後に至るまで実に豊かな色彩の洪水に浸る事ができます。
心が疲れて全てが灰色に見える時、この曲は再び僕の世界を豊かに彩ってくれます。

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