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まずは手元にあるものから  エフェクチュエーション~手中の鳥

先日の記事で、私は医師になりたくなかった話をしました。忙しすぎる父を見て、たとえ患者さんのためとしても、自分の暮らしを犠牲にしてまで医師になるのは嫌だなあと思っていたのです。

それでも、なぜか運命のように医学部に合格し、進学しました。

ですから、医学部時代はたくさん悩みました。こんな自分に医師が務まるのか。自分の人生を犠牲にしてまで医師になりたいのか。毎日そんなことばかり考えている暗い?医学部時代でした。

そんな私が医師になったことを受け入れて変わったのは
今あるものを大事にしていけばいい、という考えに気がついた時です。

それまでの私は、開業医の家に生まれたことを不幸だと感じており、他所の家が羨ましかったのです。いつも無いものねだりばかりしていたのですね。

よく覚えていませんが、何かの本を読んだときかな、自分は持っていないものばかりに焦点をあてていることに気がついたのです。これは衝撃的な気づきでした。

無いものねだりはやめて、今、わたしが持っているものを利用して、私らしく生きていけば良いのだ、と気がついたとき。そのときから、人生が前向きで楽しいものになりました。

エフェクチュエーションという理論がありますが、私の開業はエフェクチュエーションで説明することができます。
エフェクチュエーションは、起業家の手法の概念です。原則が5個あり、その中の一つが手中の鳥です。

手中の鳥では、私は何者か、何を持っているか、ということを明確にします。
私には、開業医の娘という経験がありました。ですから、開業医のことは他の人よりも知っていました。こういった経験や知識は手中の鳥です。また、自分が(なりたかったわけでもないけど)医師免許があることも、もちろん手中の鳥でした。

あとは、今までと違う、新しいスタイルの働き方をつくりたいという強い気持ちがありました。医療従事者の心も体力もすり減ることがない、自分を犠牲にしない働き方です。この想いも手中の鳥になります。

この手中の鳥を使って、私はクリニックを開業することになるのでした。

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