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「ドローの本質」(2024/08/01の日記)

■ 2024/08/02の日記

・今日は視聴をちまちまと続けている、遊戯王GXの感想です。

・現在91話、丁度真ん中てっぺんを越えた。91話未満はまだ半分もいってないのかって思いながら見てたんだけど、残り半分を切るとなると、ここまでやってきたことをもう一回繰り返すだけで終わってしまうのか~という寂しさの方が上回るようにうなった。しかし、大まかな流れはあれど、ほぼ単話で構成されるGXは他の作品より90話やったことによる要素が濃い気がするはずなのに、全然そう感じさせないのは内容の明瞭さゆえだろうか。

・そして折り返しの、つまりは事実上のシーズン2の第1話に当たるタイミングでついに出てきました。ワンターンキルの死神「橘 一角」。やはりスタッフもそこはある程度の意識があったのか(放送スケジュールどうやって決まってんのか知らんけど)20分の中に多くの言葉が込められている、ものすごい完成度を感じる話でした。


・本当にすごくて、居合ドローの回って「アリガトウ オレノデッキ」がネタにされてるって事しか知らなかったんだけど、本質はそこにあらずだったんですね。エピソードとしての完成度の高さ故に、それを象徴するシーンと演技の温度差でそういう表現がされてるだけであって、別に声優がひどすぎるから有名とかそういうわけじゃなかった。というか何なら別に気にならなかった。「死神」と契約を交わす冷酷さを持っていそうな雰囲気と、中身の熱さとのギャップを感じさせる良い声だったと思う。


・本編始まるまでは《一撃必殺!居合いドロー》の話だという事は全然気づいておらず、タイトルコールの時点では、ジェネックス大会始まって以後度々現れる大会を私的利用する悪人の話だと思ってたから、気づいた時にはハッとした。というか居合ドローってなんとなく大山平が使うものだと思い込んでたんだよな。

・とはいえ直前の90話で大山を登場させ「計算ではどうにもならないもの、それがドローだ。ドローにプロもアマチュアもない。必ず引くという信念だ!」と言わせているのは、同じドローをテーマとしたキャラクターを登場させるにあたっての意識づけのようにも感じる。


・しかし一方で、ミスリードのようでもあった。大山はドローをする事「ドローが強い事自体」はデュエリストの実力で、その内容は重要視しておらず、ドローをステータスのように表現していたが、逆に一角のエピソードはドローという行為自体は彼の本質ではなく、引きが弱い事で自分が考え抜いたデッキのコンボを実現させることができない事に苦しみ、死神に魂を売り、その力を得たのであった。

・一角のデッキは《一撃必殺!居合いドロー》を主軸としたワンターンキルを狙うコンボデッキ、だから過程の結果がもたらすものは元々デュエルの勝利だった。死神の力で結果だけを手繰り寄せた一角は、勝利こそがデッキの証明であると勘違いしていく。しかし、十代はデュエルを通して一角がデッキに、デュエルに込めた思いに気づき、その言葉が一角を開放する。


このカード入れちゃうと、ロマンはあるけど勝つのは厳しくなるかなあ。
だけど、このコンボが決まった時のビックリ具合で言うとこのカードは外せない。
なら、決まりだな。


・大山にとっても一角にとっても、十代は異質な存在だ。十代はそもそも根本的に、ドローに関する考え方が違う。

・十代は一貫していた。大山とのデュエルでただの通常モンスターであるフェザーマンを絶体絶命のピンチで引いた時、大山に「そんなモンスター引いたところでなんになる!」と言われ「面白い事になるんだよ!」と返したように、今回も一角に「十代、お前でもそうそう逆転の切り札はドローできないか」と言われ「いや、俺にとっては全てが逆転の切り札だ!」と返し、引いたカードを最大限活用して切り抜けた。普段から「俺のデッキの中に雑魚はいない」と発言する十代にとっては、ドローは特定の何かを求めるものではなく、全てのドローはワクワクをもたらすものなのだ。

・「十代はドローが強いキャラ」というイメージは、本人や周りの発言だけでなく、漫画版GXでもそういうキャラで推していたように公式での設定であるように思える。勿論、今回の「緊急回避」の時のようにここぞの引きの強さは持ち合わせているけども、それ以前に彼の引きの強さ・引きが強くなるという事は(アニメの主人公だから、っていうフィルターを外して見たならば)実際は何をドローしても強く使えるデッキという、構築力に裏打ちされたものなのだろう。「何をドローしても強く使える」というとリアリストな感じがするけど、デッキを作る時からワクワクするためのカードしか入れない、つまりドローが楽しくなるデッキを作る天才なんだな。


・大山の話も一角の話も、最終的にはドローを楽しむことや、相手を驚かす事といった「勝利よりも重要なもの」に結論をおいている。どちらかというとカジュアル界隈に通づる話だった。じゃあGXは遊戯王の競技性を否定するものですか?と言われると全然そんな事はなく、勝利のみを渇望しながらも闇落ちをしていないヘルカイザーといったバリバリの競技志向プレイヤーも未だ話の渦中にいて、遊戯王というコンテンツを多角的に見たとても良いアニメですね。

・今にして思えばもうちょっと内容がハードになったはず5D'sの方が、絆連呼してたりホビーアニメ感があったような気がするのが不思議だ。思うにGXは現実の遊戯王を取り扱ったアニメ作品って感じがして、以後の遊戯王は、デュエルモンスターズは手段であり、独立したアニメ作品感があったように感じている。



・今回、特にグッと来たシーン。


「実践で使えないデッキばかり組みやがって
たらればが通用するほどデュエルの世界は甘くはねえんだよ」

・万城目の復活回でも出てきたデビルゾア使い、ノース校の生徒会長、人呼んでキング。悪役かのように回想シーンで出てきたけど、かなり本質的な事を言っている。

・コンボはしたい。でも遊戯王はコミュニケーションゲームだから、簡単にはやらせてもらえない。だから我々は皆頑張って考え抜くべきである。それを忘れてはならない。


・一角は死神と契約を交わしながらも、入ってるカードは「女神」と名のついたカードばかり。「ドローの女神に見放された」とも発言してるあたり、余程女神に縋っていた思いが漏れ出ている。


「くそう、また躱されたぜ」

・と言いながら嬉しそうな一角。彼は、ワンキルコンボが、コンボ自体は決まった上で、躱されるのがいっちゃん面白い事を知っている。性格がカジュアル向きすぎ。デュエル動画やれ。


・この回は一角の「愛してるぜ、俺のデッキ」からの万城目の横顔がアップで映って終わるのがめっちゃいい!万城目程、デッキとのつながりを表現されているキャラもそうそういないですからね。



・「全てが逆転の切り札」、綺麗事ではあるけども、私もきっとそう言えるデッキを組めるように焼尽していきたい。


・残り89話。噂によると話はそろそろ暗くなってくるのかな?楽しみながらも不安だ~。

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