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アイドルの源流を探る

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「アイドルとは一体何か」という根源的な問いにぶつかった著者による、アイドルジャンルの"副読本"。これだけ巨大化・国際化しているにも関わらず、いまだすっぽりと抜け落ちているジャンル…
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「アイドルの源流を探る」目次

■読者の方へ「アイドルの源流を探る」について リニューアルについて(※2022年までのnote読者の方へ) 第三章以降についてのおことわり ■はじめに【無料】まえがき(身もふたも無いプロローグ) 〇〇から浮かび上がる「アイドル」「ボーイバンド」「ガールグループ」 ■第一章 アイドルの「出発点」(1880~1945)【無料】子どもでも大人でもない「若者」の誕生 【無料】欧米の若者たちの出発点 日本の若者たちの出発点 芸能ビジネスの出発点 若者と表現者たちの解

【無料】若者たちがくすぶらせた”踊りたい”衝動、その声に応えたロックンロール

若者たちがくすぶらせた”踊りたい”衝動、その声に応えたロックンロール 第一次世界大戦終結後の1920年代から第二次世界大戦が終結する1940年代半ばまで、アメリカの若者の心を捉えていたのは、常にジャズ音楽だった。なぜならこれらの時代の若者にとって、ジャズ音楽は貴重な「ダンスミュージック」だったからである。 特に太平洋戦争下のアメリカ本土ではグレン・ミラーやドーシー兄弟、ベニー・グッドマンらの演奏によるスウィングジャズが、若者たちの心身を軽快に揺らし続けた。 ただしジャズ自

アイドルの「出発点」

アイドルの「出発点」 19世紀後半から20世紀初頭にかけて、近代化が著しく進む社会は、国民教育の仕組みの中に「若者」を創出した。 そして若者の創出は同時に「若者ゆえの不条理」も創出する。 それは半ば一方通行の社会的区分と社会情勢の摩擦から生じてしまう、誰もが逃れられない不条理であった。 フランスの作家、アルベール・カミュは随筆『シーシュポスの神話』で、不条理をこう定義している。 「理性では割り切れない世界」と「明晰を求める死物狂いの願望」。 人がこの対峙に耐えきれなくな

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日本の若者たちの出発点

日本の若者たちの出発点 一方、同時代の日本である。 まず近代義務教育制度の整備についてだが、日本では1872年(学制の発布)がその始まりとされており、これはアメリカやイギリスとほぼ同じタイミング であった。 そして1900年代に入ると、もうすでに大学生が主人公のいわゆる青春小説(小栗風葉『青春』、夏目漱石『三四郎』など)が国内で流行し始めており、 そして1914年にはあのスタンレー・ホール『青年期』も、最初の翻訳本が出版されている。ここまでの流れを見ていると、欧米と日本にお

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【無料】欧米の若者たちの出発点

欧米の若者たちの出発点 では次に、近代義務教育制度と学術研究の進展が生み出した「若者」は、いつからその線引きを、自分のこととしてはっきり自覚し始めたのだろうか。 著名な歴史家であるフィリップ・アリエスはかつて著書『〈子供〉の誕生:アンシァン・レジーム期の子供と家族生活』の中で、「若者」の区分が内外で一般化していく、そのターニングポイントは第一次世界大戦(1914~1918)にあったと語っている。 近世までの騎兵が戦場を颯爽と駆け抜けるイメージから一変、産業革命後の世界で始

【無料】子どもでも大人でもない「若者」の誕生

さて、本題である。 まずは○○における調査データ(前章)にもう一度目を通すと、「若い男性で構成されたボーカルグループ」(ボーイバンド)「若者向け」「若い芸能人」(アイドル)とあるように、特にアイドルとボーイバンドにおいて、ジャンルの独自性を高めている共通の要素は「若者」の存在であることが解る。 いわば、このジャンルの源泉ともいえる若者たち。 ではそもそも、「若者」はいつ、一体どのように生まれていたのだろうか? ■第一章 アイドルの「出発点」(1880~1945)子どもでも大