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アイドルの源流を探る

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「アイドルとは一体何か」という根源的な問いにぶつかった著者による、アイドルジャンルの"副読本"。これだけ巨大化・国際化しているにも関わらず、いまだすっぽりと抜け落ちているジャンル… もっと読む
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2023年10月の記事一覧

芸能ビジネスの出発点

4.芸能ビジネスの出発点 まず最初にこの世界へ登場するのは「音源」のルーツだ。 ちょうど各国で近代義務教育制度が整い始めた1877年、アメリカではトーマス・エジソンの発明により、録音と再生が可能な筒式蓄音機が登場。 その後、改良が重ねられる中で1887年に円盤式蓄音機が登場すると、形状的に複製が容易なこともあり、1890~1900年代には円盤型の音声記録メディア「レコード」を取り扱う会社が各国で次々と誕生していった。 そしてレコードの普及から若者の概念の本格浮上、第一次世

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日本の若者たちの出発点

日本の若者たちの出発点 一方、同時代の日本である。 まず近代義務教育制度の整備についてだが、日本では1872年(学制の発布)がその始まりとされており、これはアメリカやイギリスとほぼ同じタイミング であった。 そして1900年代に入ると、もうすでに大学生が主人公のいわゆる青春小説(小栗風葉『青春』、夏目漱石『三四郎』など)が国内で流行し始めており、 そして1914年にはあのスタンレー・ホール『青年期』も、最初の翻訳本が出版されている。ここまでの流れを見ていると、欧米と日本にお

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【無料】欧米の若者たちの出発点

欧米の若者たちの出発点 では次に、近代義務教育制度と学術研究の進展が生み出した「若者」は、いつからその線引きを、自分のこととしてはっきり自覚し始めたのだろうか。 著名な歴史家であるフィリップ・アリエスはかつて著書『〈子供〉の誕生:アンシァン・レジーム期の子供と家族生活』の中で、「若者」の区分が内外で一般化していく、そのターニングポイントは第一次世界大戦(1914~1918)にあったと語っている。 近世までの騎兵が戦場を颯爽と駆け抜けるイメージから一変、産業革命後の世界で始

【無料】子どもでも大人でもない「若者」の誕生

さて、本題である。 まずは○○における調査データ(前章)にもう一度目を通すと、「若い男性で構成されたボーカルグループ」(ボーイバンド)「若者向け」「若い芸能人」(アイドル)とあるように、特にアイドルとボーイバンドにおいて、ジャンルの独自性を高めている共通の要素は「若者」の存在であることが解る。 いわば、このジャンルの源泉ともいえる若者たち。 ではそもそも、「若者」はいつ、一体どのように生まれていたのだろうか? ■第一章 アイドルの「出発点」(1880~1945)子どもでも大