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「ファンクの歴史(中):ファンク拡散編」発売開始のお知らせ

いつもお世話になっております。KINZTODr.ファンクシッテルーです。

本日、私の2冊目の本、「ファンクの歴史(中):ファンク拡散編」が、AmazonのKindleストアにて発売になりました!

(読み放題のサービス、Kindle Unlimited登録作品となっているので、Kindle Unlimitedユーザーはそのまますぐお読みいただけます)

このnote、「どこよりも詳しいVulfpeckまとめ」ではVulfpeckに焦点を当てて連載を行っておりますが、Kindleの電子書籍ではファンクミュージック全体の歴史について執筆をさせていただいております

昨日、発売を記念して、編集者と一緒に本を紹介した動画を公開しました。

今回のnote記事では、動画ではなく文章で、本の内容について少しご紹介させていただければと思います。👇

まず、上巻のおさらいから

ファンクは1967年、James Brownが誕生させた音楽ジャンルです。

この曲で生まれたリズムが「16ビート」と呼ばれるものでした。このリズムはこれまでの「スウィング」「シャッフル」「ロックンロール」などと違い、当時何十年と続いていた、3連符の要素が排除されていました。

簡単に言うと、当時、もっとも新しく、最高に踊れる、かっこいいリズムだったのです。

この「16ビート」とファンクが誕生するまでのストーリーを、私の1冊目の本、「ファンクの歴史(上):ファンク誕生編」にて書かせていただきました。

JBにまつわる様々な資料、さらに当時の関連する音源などをもとに、1940年代のジャズ/ブルースから、1950年代のロックンロール/R&B、そして1960年代のソウルと、どのように音楽が進化していき、ファンクへたどり着いたのか?

さらに、グルーヴとは何か?James Brown(JB)が語るグルーヴの秘訣「ザ・ワン」とは何なのか?といった話も掘り下げて解説を行っています。そう、上巻はJBが主役となるストーリーなのです。

「ファンクの歴史(中):ファンク拡散編」とは

そして、ここからが今回発売となる、「ファンクの歴史(中):ファンク拡散編」の内容となります。

たしかに、JBはファンクを、そして16ビートを誕生させました。

しかし、それを実際に、最初に世界に「拡散」させたのは――いったい誰だったのか?

それが、Sly & The Family Stoneでした。

Sly & The Family Stoneの「Dance to the Music(1968)」によって、16ビートは世界中に広がり、JBに興味がなかった白人層もファンクに夢中になります。

さらに「Dance to the Music」はモータウンレコード、ウッドストック・フェスティバル、そしてジョージ・クリントンなどに多大な影響を与えます。

Slyのサイケデリックロックとファンクが融合した姿は、JBのファンクよりも圧倒的なスピードで世界のチャートを支配し――数多くのミュージシャンが、ファンクバンドを結成するようになっていきます。

1970年代、ファンクの黄金時代の到来です。

今回の「ファンクの歴史(中):ファンク拡散編」では、この1970年代のファンクの歴史、そしてブラックミュージック全体の歴史との関連性について詳細に記しました。

大きな3つのストーリー

今回の中巻における話の軸は、大きく3つです。

①1970年代初期のファンクの拡散(Sly & The Family Stoneなど)

②1970年代ファンクの本命(P-FUNK)

③ディスコミュージック

①1970年代初期のファンクの拡散(Sly & The Family Stoneなど)

これが、先ほどまで話していた内容になります。ここではSlyが歴史に及ぼした影響から、Tower of Power、The Meters、The JB'sなどのファンクバンド、そしてジャズファンク・ソウルジャズといったようなファンクの派生形のバンドがどのようにして生まれ、また歴史を動かしていったか、について触れています。

②1970年代ファンクの本命(P-FUNK)

そしてここではParliament & Funkadelic、「P-FUNK」について書いています。

1970年代のファンクの主役は、JBではありませんでした。

では、16ビートを拡散したSlyが主役なのか?

いえ、それはSlyではなく――ベーシストのBootsy Collinsなのです。

Bootsyは1971年にJBのバンドを辞めてしまいますが、そこでたどり着いたのが、P-FUNKでした。

Bootsyは1974年にP-FUNKに加入すると、JBに教わったファンクと、P-FUNKの持つ強大なエネルギーを混ぜ合わせ、彼らを一気にチャートの常連アーティストに成長させます。

さらにP-FUNKリーダーであったジョージ・クリントンのプロデュースによって、星形メガネ、星のベースを持つ、ド派手な「Bootsy Collins」というキャラクターを誕生させ、一気にチャートの首位を獲得。

JBを抜き去り、ファンク界の新たな主役になります。

画像出典:https://www.northseajazz.com/en/program/2014/friday-11-july/18623-bootsy-collins-the-funk-unity-band/

中巻のメインディッシュは、このBootsyと、P-FUNKのサクセス・ストーリーです。さまざまな資料に基づきノンフィクションでお届けする、痛快な成功譚を、ぜひご覧ください。

③ディスコミュージック

そして、ファンクと16ビートの「拡散」には、1975年以降、「ディスコミュージック」の存在が大きなカギを握りました。

1977年の映画「Saturday Night Fever」のサウンドトラックはグラミー賞を獲得。世界で4000万枚以上を売り上げる、記録的なアルバムとなります。

ここで使われているリズム、グルーヴこそが、ちょうど10年前にJBが生み出した、16ビートでした。

16ビート拡散の最終段階は、ディスコミュージックによって成されたと言えるでしょう。

本書では、このディスコミュージックへ至る流れ――1960年代のソウル、そしてニュー・ソウル、フィリー・ソウルという歴史の変化を、重要な音源とアーティストを紹介しながら解説をしています。

これらはソウルミュージックですが、JBとSlyの影響を受け、ニュー・ソウルとフィリー・ソウルは16ビートがふんだんに用いられているため、実質、ファンクの歴史の中で語られるにふさわしい内容です。

さらにディスコミュージックそのものの歴史、重要アーティストなども紹介しています。アーティストも、あくまでファンクとブラックミュージックの「歴史」に絡めた紹介となるよう徹底しています。

そして、ディスコはヒップホップ、テクノ、ハウスなどの音楽の誕生に、非常に大きな影響を与えました。

本書はファンクと密接に関連した音楽の歴史も追いかけているため、そのあたりもしっかりと解説を行っています。

以上が本書の内容についての紹介です。

本の中で実際に紹介している音源については、Apple Music、そしてSpotifyの無料公開プレイリストにて、本文中で紹介している順番で聴くことができます。

ぜひともお読みの際は、こちらのプレイリストもご活用ください。

小山ゆうじろう先生のイラストが表紙です

そして、今回の中巻発売には、ビッグニュースがあります。

表紙イラストを、漫画『とんかつDJアゲ太郎』で著名な、小山ゆうじろう先生に描いていただきました!!!

小山ゆうじろう先生は、2014年~2017年、『少年ジャンプ+』にて、イーピャオ先生と共に『とんかつDJアゲ太郎』を連載されておりました。

DJというテーマがあり、ヒップホップやEDMが作中の音楽として登場しておりましたが、ソウルやファンクのオマージュとなる絵やレコード、バンドも多数登場し、作中を通して伝わってくるブラックミュージックへの愛は、それはそれは素晴らしいものがありました。

私は連載当時、毎週木曜日に更新される最新話を読みに行くのが、大きな心の支えとなっていました。

漫画も全巻所有し、この作品は私にとってのバイブルとなっています。

そんな憧れの先生にイラストを描いていただき、ただただ感謝に堪えません。心より、ありがとうございました。

小山先生の『とんかつDJアゲ太郎』は、2016年にはアニメ化。そして、今年2020年10月30日、ついに実写映画も公開となりました!

私も、公開日に観に行ってきました。ついに実写化されたアゲ太郎を観て、映画館でその世界に浸ることができ、とても幸せな時間を過ごすことができました。

ぜひとも、皆様も「アゲ太郎ワールド」をお楽しみください!

上巻も第二版になりました

そして今回、上巻も小山先生のイラストによる表紙にアップデートされました。

さらに内容も一部追記・修正を行い、BLM運動などにも触れアップデートを行わせていただきました。これにより、改訂版、第二版として再発売いたします。

以前に上巻をご購入された方や、Kindle Unlimitedにてお読みいただいている方は、アップデートしていただくことで、表紙と内容が新しくなります。

手順はこちらにまとめましたので、よろしければご覧ください。

以上、中巻の発売に関するご紹介となりました。ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

今回、執筆開始から発売まで、約2年かかりました。

そのぶん、内容に関しても、表紙に関しても、渾身の一冊となりました。現状、「ファンクの歴史」というテーマに絞ったコンテンツで、日本語で読めるものの中では、手前味噌ながら良くまとまっていて、また容易に手に入るものになったのではないかと思っています。

実はいちばん最初に出来上がった文章は、ただ有名なアーティストやアルバムを時系列で並べただけのものでした。それは「音楽の歴史書」と呼ぶには程遠い、単純なディスクガイドの一種のようなものだったと思います。

そこから何度も書き直し、ディスクガイドの羅列にならず、「歴史」としてアーティストやジャンルを追いかけられるよう、全体や個別のテーマについて細心の注意を払いました。時間をかけただけあり、その部分については一定の成果が出せたのではないかと思っています。

また、小山先生のイラストによって、この本がファンクの「歴史」をテーマとしている――つまり、「ファンクバンドがDJによって再評価され、お互いがお互いに影響されて、ファンクとブラックミュージック全体の歴史を進めていった」ということが、表紙からもより伝わるようになったのではないかと思います。

ぜひとも、「ファンクの歴史(中)」、そして第二版となった「ファンクの歴史(上)」をよろしくお願い致します!

どちらもAmazonのKindleストアにて税込み550円。

Kindleアプリを使えば、どのスマホでも読むことができます。

さらに、読み放題のサービス、Kindle Unlimitedユーザーは、無料でそのまますぐお読みいただけます!

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―――――著者情報――――――

Dr.ファンクシッテルー

宇宙からやってきたファンク博士。「ファンカロジー(Funkalogy)」を集めて宇宙船を直すため、ファンクバンド「KINZTO」で活動。

「KINZTO」の活動と並行して、音楽ライターとしても活動。

■「ファンクの歴史」をKindleにて出版。👇

ファンクの歴史書、決定版!

1967年に誕生したと言われているファンク、
そのきっかけになったのは「ロックンロール」と「モード・ジャズ」だった!?

本書では、ファンクが誕生する前から、現代まで、総じて約70年にもおよぶブラックミュージックの歴史を紐解きます。

◆ファンクはいつ、どうやって生まれ、だれが広めていったのか?
◆16ビートはどこからやってきたのか?
◆ファンクと、ジャズ、ヒップホップ、ハウス、R&Bなどとの関係は?
◆現代のファンクはどうなっているのか?

これらの疑問にすべてお答えする、まさにファンク入門書であり、
ブラックミュージック史としてもまったく新しい書籍となっています。

上巻では、まず1940年代からのブラックミュージックの歴史をたどり、ジャズ、ブルース、ロックンロール、ソウルなどの影響を受けながらジェームス・ブラウンがファンクを誕生させるまで、そしてその頃の公民権運動などの時代背景について解説しています。

中巻では、1970年代の「ファンク黄金期」をテーマに、ファンクと16ビートの拡散の歴史を追いかけます。スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ジェームス・ブラウン、JB's、タワー・オブ・パワー、ミーターズ、ブーツィー・コリンズ、パーラメント&ファンカデリック(P-FUNK)、アース・ウィンド&ファイアー、シックなどが主要な登場アーティストです。

さらにソウルやディスコ、ハウス、テクノ、ヒップホップとの関連性についても詳細に記しました。


本書では、Apple Music、Spotifyのプレイリスト「ファンクの歴史」にアクセスすることで、文中で紹介されている参考音源を探すことなく、音源を聴きながら読みすすめることができます。

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