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不合理を感じたらどうしますか?

 おはようございます、Dr FJです。

 皆さんは日々の生活の中で不合理なことを目にしたとき、あるいはその不合理が自分に襲い掛かってきた時、どういう対応をされますか?その不合理自体を正そうと思いますか?それとも、その不合理に対応して自分が不利にならないように立ち回りますか?

今日は、Twitter上である方が決意表明をされているのを見て考えたことを書きたいと思います。


 その方とは上松正和先生https://twitter.com/Uematsu1987です。この方は元々東大病院の放射線科で助教をされていて、世の中にあるトンデモ医療の撲滅を目指すサギプロという活動をされていました。半年前にがんの患者さんの弱みに付け込んで効果のない治療を高額な費用を取って行っている詐欺クリニックに突入したYouTube動画で有名になられた方です。

 世の中には医師免許を持つべきではないと言えるこういう残念な人たちが一定数いたりしますので、その人たちに対して声を上げようとしている上松先生の姿勢には、本当に頭が下がる思いです。


そしてつい先日、上松先生はとうとう7月の参議院選挙に国民民主党から立候補されると表明されました。

 すごい行動力ですよね。正直に言えばもう少しサギプロの活動をしっかりやられて実績を積み、その中で国政への介入が不可避だなと周囲からも思えるような土壌を作ってからの立候補の方が良かったのではないかと思わないでもないですが、ご本人からすればここまでの活動でも十分それをお感じになったということなのでしょう。結果がどうなるかはわかりませんが、とにかく現在の状況を変えたいという思いでどんどん行動をされているのだと思われます。


 上松先生のこの選択は、先ほどの話で言うと『不合理を感じたらそれを正したい』ということだと思います。ただ、世の中にはこのようなことをしている医師はたくさんいるので、その人たちを敵に回して立ち回るのは本当に骨の折れる大変な仕事だと思います。そして、もっと難しいのは白か黒かで線を引けない広大なグレーゾーンにいる医師もたくさんいて、そのあたりにどういう対応をするのかも難しい。実際に、そのあたりが問題になってサギプロの活動自体が少し揺れるようなこともあったりしました。このよう思ったことを実際に実行する際にはさまざまな困難が立ちはだかるためこの活動が実を結ぶかどうかはわかりませんが、個人的には応援したいなと思っています。


 一方で、不合理に対しては自分が不利にならないよううまく立ち回って乗り切るという解決策もあります。相手が強大過ぎて自分がそれを変えようと思ってもそう簡単にはいかないような場合、とりあえず対応してうまく乗り切るという方針です。中国の故事に『上に政策あれば下に対策あり』というものがあり、その意味は『中央政府などが、いかに政策を施行しようとも、民衆(又は地方政府)は、それを潜脱する方法を考え付いて、政策を骨抜きにするもの』です。実際に面と向かって否定しようとするとそこには強い軋轢が生じるので、『和を以て貴しとなす』という日本人の気質にも合う対応策だと思います。私がもしこういうトンデモ医療を目にすることがあったら、『それを撲滅したい!!』とこぶしを振り上げるよりは『まずは自分はそういうことをしない』ということから始め『そういうところに患者を紹介しない』『そういうところの話を患者から聞いたら自分はおススメしないと告げる』『Twitterで見たらそっとブロック』みたいなことをするでしょう。そういうことの積み重ねが何かを変えるかもしれないし、少なくともそれをすることで自分は間違ったことに加担しないでいられるというのは、それはそれで意味のあることなのかなと思っています。


 同じようなことは、Twitterなどでもよく目にします。危険なセルフDIYや半分詐欺のような投資塾への勧誘や情報商材販売、仮想通貨や安直なFIRE、間違った投資手法への誘導などなど。正義とは思えないようなこと、被害に遭ったら不合理だと思うようなことが飛び交っているように思います。これらを目にした時に自分はどうするのか。Twitterで飛び交うレベルのことであればそれは既に私の手に負えるものではないので、自分はもっぱらうまく立ち回って乗り切ることに全力を出すと思います。そして、投資や仕事に関して言えば『そっちの方がいいな』と見ている人が思ってくれるような実績を出してそうではない方向に歩いてきてくれるのを待つことにしています。


 反面、もし私が職場の、特にその中でも同僚である整形外科の中くらいの比較的小さなところでこういう不合理を見つけたら、これは全力で是正しに行くでしょう。それは手の届く範囲であり、努力することでそれが可能だと思うからです。


 不合理を感じた時にはどう対応するのか。私が今持っている答えは『相手の大きさを見て判断する』という、ちょっとズルい方法です。ま、自分の正義を人に押し付けるのはそれはそれで傲慢だとも思うので、このくらいが良いんでしょうかね。なんにせよ、その不合理を正す力もないのに『それは正すべきだ!!』と自分の正義を振りかざすことにだけはなりたくないものです。


まとめ

  • 不合理を目にした時『不合理を正そう』とする人と『不合理に対応してうまく立ち回ろう』とする人がいる。

  • 相手が大きい場合、不合理を正すことは不可能ではないにしても非常に困難。一方、相手が小さければそれは可能な場合がある。

  • 不合理を目にしたら、相手の大きさを考えてどちらを選ぶか決めるというのが、今の自分の最適解。

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