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クライムザマインドの完璧な演奏

僕は、完璧なクライムザマインドのライブを見たことがない。山内さんの声のコンディションをベースに構成されたセットリストはウルトラマンのカラータイマーのようなもので、限界が近づくとピコンピコンと音を立てる。

タイマーの時間を少しだけ延長するためのアイテムが一つだけある。「サクラ印のハチミツ飲み」だ。いつかのMCでも話していたが、嘗めているのではない、飲んでいるんだ。これは2013年1月13日、ライブDVD「渋谷節」の舞台となった東京都渋谷区のTOWER RECORDの控室で、シネマスタッフの辻くんから「うちの飯田はそれやってますよ」と聞いてから彼のルーティンに落とし込まれた、と記憶している。
ビデオをはじめて数本のライブ映像を撮影したぐらいのキャリアだった僕は、ありがたいことにこの撮影に参加させてもらっていた。
正直あのライブのことは、客席後ろで小一時間目線よりも高い位置でカメラを担ぎ続けていたこともあり、あまり覚えていない。みんながバンドと一緒に歌っていたこと以外は。だからDVDになったのは本当に嬉しかった。

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2021年7月25日、この日のクライムザマインドは、「良かった」。彼らにとってstiffslackでの初めてのワンマンショーは、「みんなのクライムザマインド」が丁寧にパッケージされた素晴らしい内容だった。

環境は以前のそれとは全く違う。
大好きなあの歌は、バンドと一緒に歌うことはできない。
レスポンスは憚られる。
いままでの僕たちには、クライムザマインドとの思い出があった。何度も繰り返し効いた音源は、ドラムのフィルインから唄うようなベース、隙間を埋めるようなギターとバーストの「溜め」に至るまで、しっかりと頭に刷り込まれている。バンドの演奏を、思い出が補完する。クライムザマインドのライブは、そういう見方ができるところがちょっと不思議だ。まあそれくらい好きっていうことなんだけど。
2021年現在のライブパフォーマンス環境は、もしかしたらこの思い出だけでは足りなかったもしれない。

そんな特殊な環境を想定してか、そうでないかは全く不明だが、今回のワンマンショーは、そんな環境を僕たちが乗り越えられるように入念に準備にされ、思い出を更新されたような感覚になった。
「他愛ない告白」で起こるダイブ、「ほぞ」のシャウト、およそプレイできないだろう懐かしい曲に対する野次にも似たアンコールは今や昔。せっかく来たんだから、あの曲も見たい、この曲も見たい。わかる。
それでも、クライムザマインドの言葉にしない「今のスタンス」を感じる事ができたのは、このショーを目の当たりにした僕たちだけだ。たから今回のショーは、とても「良かった」。

僕たちは、どんなクライムザマインドも受け入れる準備はできている。
また見られる日まで、何度も音源を聞こうと思う。

…と思っていたら、次のライブは意外と近い!うれしいね。
またみんなでライブ見よう。

2021年8月16日 お盆明けの月曜日 セットリスト忘れちゃってごめん

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