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#12 マクロ経済から見る太陽光発電の問題点~国内での経済循環を~

こんにちは、GTです。
今回は太陽光発電にまつわるお金の話です。

太陽光は再生可能エネルギーの一つで、発電時にCO2を出さないクリーンなエネルギーとして、カーボンニュートラルの実現に向けて導入が進められています。
日本ではこれまでに太陽光発電の導入はかなり進んでいて、面積あたりの太陽光発電の導入量は世界でトップに位置しています。

ただ、カーボンニュートラルに向けた主要な打ち手の一つである一方で、問題が取り沙汰されることも少なくありません。問題としては例えば、メガソーラーの導入による環境破壊や将来の太陽光パネルの大量廃棄への対応などが挙げられるでしょう。
太陽光発電の問題として、ここではマクロ経済から見たお金の流れについて書いていきたいと思います。


太陽光パネルの生産地

マクロ経済の観点で話を進める前に、太陽光パネルがどこで生産されているかを見ていきます。

昔は「ソーラーは京セラ」というキャッチコピーがあったりするなど、太陽光パネルの生産では日本企業が存在感を示していました。
しかしながら、2010年くらいから中国などが台頭してきたことで価格競争に巻き込まれて、日本企業のシェアはみるみる下がっていってしまいました。
太陽光パネルの国内出荷量に占める日本企業のシェアは、2010年以前は100%に近くあったものが、2019年時点で20%を切るほどに下がっています。
そして、国内で出回っている太陽光パネルの多くは中国製のものと言われています。

太陽光発電の導入によるお金の流れ

中国をはじめ海外製が多い太陽光パネルですが、その導入を進めようとする動きは今も変わらずあります。

例えば、東京都と川崎市では2025年度から新築住宅などへの太陽光発電導入の義務化することが決まっていて、他の自治体にも波及していく流れが見え始めています。
また、省庁や自治体の制度として新築住宅以外も対象に太陽光発電の設置にかかる費用の一部を補助するものが多くあります。

ここからは太陽光発電の導入に関するお金の流れについて、少し単純化しながらマクロ経済の視点で考えていきたいと思います。

まず、太陽光発電を導入することの経済的なメリットとしては電気代が下がることです。電気代は電力会社に払っていますが、電力会社は電力を作るために天然ガスや石炭を海外から輸入しています。なので、太陽光発電の電気を使うことで海外に支払っている天然ガスや石炭のお金が減ることになります。

次に、太陽光発電の導入には初期投資としてお金がかかります。そのお金は国や自治体の補助を受けたりしながら、導入する個人や企業が負担しています。その導入費用の少なくない割合を太陽光パネルが占めているわけですが、この太陽光パネルが海外製の場合はその生産国にお金を支払う形になります。

上に書いたように太陽光パネルの多くが海外製であることを考えると、太陽光発電を導入することで海外に支払う発電燃料の費用は減りますが、導入に必要な太陽光パネルの費用を海外に支払っている、ということになります。
なので、日本として考えたときに太陽光発電の導入の経済的メリットがあるかというと必ずしもそうではない、ということになります。
特に、国や自治体の補助が入るケースを考えると、その補助の原資は当然税金から来ているわけなので、私たちが納めた税金が海外製の太陽光パネルの購入費用に充てられている、という見方にもなり得ます。

国内での経済循環に向けて

マクロ経済から見ると、太陽光発電の導入を進めても日本から海外にお金が流出することは変わらないという状況になっています。

この不都合な状況を解消するには、わかりきったことですが国産の太陽光パネルを選ぶということになります。

ここで少しややこしい話にはなりますが、太陽光発電はパネル以外も含めたシステム全体として導入されて、そのシステムの中でどんな太陽光パネルを使っているかということになるので、国産の太陽光パネルであるかどうかは見えにくいところがあります。
太陽光発電システムを日本企業が提供していても実は太陽光パネルは海外製が使われているというケースもあったりするようです。

ただ逆のケース、つまり海外企業が提供する太陽光発電システムに日本企業の太陽光パネルが使われている、ということは考えにくいので、日本企業の太陽光発電システムを選択するというのがセオリーだと思います。

マクロで日本として考えると日本企業の太陽光パネルを使うことがよいのですが、ミクロで個人として考えると海外製であっても安価な太陽光パネルを使うことが経済合理的なので、ここは許容範囲内でなるべく日本企業の太陽光パネルを選ぶということに留まってしまうと思います。

ここまで書いたところでは、結局のところ国内の経済循環は個人の経済合理性で難しそうとなってしまいますが、もう一つ将来的なアプローチがあります。
それがペロブスカイト太陽電池です。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/perovskite_solar_cell_01.html

ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽いことから、今の太陽光パネルが設置できない建物の壁などにも設置対象が広がっていきます。

発電効率などの技術は発展途上の段階にありますが、積水化学などの日本企業が世界的にも優位に位置しています。そしてちょうど技術開発段階から実装段階に進み始めているところで、これから普及していくフェーズに入っていきます。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/perovskite_solar_cell_02.html

今の太陽光パネルのように価格競争に巻き込まれるフェーズではないので、ここでは技術的な競争力を維持することに加えて、将来の価格競争に備えるために量を確保して、スケールメリットと生産技術の向上で価格優位性を取れるようにしておくことが重要じゃないかと思います。
ペロブスカイト太陽電池の普及フェーズでは、海外製の優位性も大きくはないと考えられるので、日本のペロブスカイト太陽電池を積極的に導入していくことが、短期的なお金の海外流出抑制だけでなく、日本企業の競争力強化による中長期的な国内の経済循環に繋がるんじゃないでしょうか。

これからのペロブスカイト太陽電池の技術開発と普及、そして日本企業の頑張りに注目してもらえればと思います。

ではでは、また次回お会いしましょう。

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