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#13 水道水のPFAS問題~個人で身を守ろる方法~

こんにちは、GTです。
今回は最近ホットなトピックとして取り上げられるPFASの話です。

PFASとは5000種ほどある有機フッ素化合物の総称ですが、まずはPFASに関する内容をおさらいした上で、日本でのPFASを取り巻く現状と個人でできる対処法について書いていきたいと思います。


PFASとは何か

まずPFASについてざっくりと書いていきます。
上でも書いたようにPFASは有機フッ素化合物の総称を指すもので、発がん性などの健康影響が疑われています。

もともと消火剤やフライパンのコーティング剤として使われていましたが、健康影響への懸念から現在は使用が中止されています。
PFASのやっかいな点として、ほとんど分解されずにそのままの物質として残り続けることです。一般的には何らかの原因で汚染された場合は(汚染自体は当然よくないことですが)自然の浄化作用により汚染の原因物質が分解されたりして元の状態に戻ろうとしていきますが、PFASの場合はその浄化作用が働かないわけです。
そんなPFASの性質から「永遠の化学物質」と表現されることもあります。

ちなみにPFASと似たような言葉でPFOSとかPFOAなどというものを聞いたことがあるかもしれません。
それらの何が違うのかというと、PFASが数多くある有機フッ素化合物の総称で、PFOSやPFOAはその有機フッ素化合物の具体的な物質を指します。
イメージとしてお金に例えると、PFASが世界で流通している通貨全体を指して、PFASとかPFOAが日本円や米ドル、ユーロなどの個別の通貨に当たるものと思えばよいでしょう。

PFASを取り巻く現状

PFASは発がん性などの健康影響が疑われていると書きましたが、水に含まれて体内に摂取されることで健康被害が出るのではないかということが懸念されています。

実際に環境省が河川や地下水を対象にPFOSとPFOAの調査を行っていて、複数地点で検出されたり、暫定的な目標値を越えていることが確認されています。

この調査の対象は河川や地下水で直接の飲み水を対象にしたものではないですが、水道水の水源は河川や地下水なので、PFASの濃度が高い河川や地下水が水源となっていれば必然的に水道水中の濃度も高くなります。

ただ、PFASの健康影響については現時点で明確でない部分も少なからずあって、どの程度の濃度で健康影響が出るのかもはっきりわかっていません。なので、環境省の調査結果でも「基準値」ではなく「目標値」となっていて、しかも"暫定的な"という但し書きが付いています。

今後は水道水を対象にPFASの調査が行われる予定になっています。
水道局によっては水道水中のPFASの濃度を検査しているところもありますが、対応がまちまちで全体像が把握できていないので、まずは全国的に実態を把握しようというものです。

ちなみにアメリカではPFASの規制が既に進んでいて、水道水中の基準として日本の河川などでの暫定的な目標値よりも厳しい基準を設定しています。

PFASへの対処法

PFASによる水の汚染が確認されてきている状況ですが、PFASから私たちの健康を守る方法を考えていきたいと思います。

PFASは「永遠の化学物質」と言われるほどの難分解性ですが、水中から取り除く方法はあります。
その方法として、活性炭ろ過や逆浸透膜、イオン交換による処理を行うことです。こういう処理を行うによりPFASが除去された水を得ることが可能です。
ちなみにここで挙げた方法は特別な新技術でもなんでもなく、何十年も前から存在するような処理方法になります。

じゃあそういう方法で処理した水を水道水にすればいいんじゃないか、と思われるかもしれません。
技術的には何も難しいことはないんですが、問題はコストです。
一般的に上水道で行われている処理と比べてこれらの処理方法は多額の費用が必要になることと、導入にかかる設備投資費用も多額に必要となります。

それを聞いても「それをなんとかして安全な水を提供するのが行政の責任だ」なんてことを言う過激な人も世の中にはいるでしょうが、それによって水道料金が2倍とかになってもいいですか?という話になります。
水道にかかるお金を負担しているのは私たち住民なので、高くなったコストの負担のしわ寄せは確実に私たちに来ます。

加えて、1日に使う水の量は一人当たり約200Lと言われていますが、そのうちの飲み水の量は約2Lで全体の1/100程度に過ぎません。
PFASは皮膚からは体内に摂取されないので飲み水に含まれないことが重要になります。
そのため、本来処理する必要がある量の100倍の量を対象に高額な処理方法を導入するというのは個人的にナンセンスだと思います。

ではどうすればいいかというと、2つ方法があります。
1つは水道水を飲み水に使わないこと、もう1つは家庭でPFASを除去できる浄水器を付けることです。

1つ目の方法は、ミネラルウォーターを買ったり、スーパーに設置されているような専用ボトルに補充する水を使う方法です。
既に飲み水にはそういう水を使っているという人も少なからずいるでしょう。
デメリットとしては、ミネラルウォーターの購入費用がかかることだったり、スーパーで水を補充するのが面倒だったりということがあると思います。

そんなデメリットを抑えるのが2つ目の方法、浄水器の設置になります。
ただし、ここで注意なのが浄水器ならなんでもいいというわけではないことです。
上で書いたPFASの処理方法のうち浄水器で適用できるのは活性炭ろ過ですが、これが当てはまる浄水器を確認する必要があります。
モノによっては活性炭ではなく中空糸といったフィルターで処理するタイプも少なくないので、PFAS対策として浄水器を設置する場合は活性炭が使われているかを確認することがポイントです。

今後行われる水道水の調査で自分が住んでいる地域の水道にどれだけのPFASが含まれているか明らかになっていくと思いますが、個人でできる対処法を押さえておけばどんな結果が出てきても冷静に対応することができます。
水道水の調査は今年の9月末までとなっていて、早ければ年内に結果がわかるかもしれないので、注目しておくとよいでしょう。

ではでは、また次回お会いしましょう。

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