球団ヒストリー72.FM鹿児島でラジオスタート!
FM鹿児島で放送されている、『フルスイング!鹿児島ドリームウェーブ』というコーナーをご存じだろうか。
2013年にスタートし今年で12年目に突入した、なかなかの長距離走者だ。
現在は『something μ(サムシングミュー)』という番組内のコーナーとして毎週月曜の17:50ごろから放送されている。
背景にある想い
ラジオで鹿児島ドリームウェーブをアピールできないだろうか?
球団代表國本正樹さんがそんな想いを抱くには背景がある。
全盛期ほどではないにせよ、野球というスポーツは依然として人気が高い。しかし、プロ野球や高校野球と比べると、社会人野球に触れる機会というのはほとんどないのが現状だ。
まして鹿児島から企業チームがなくなって久しく、都市対抗野球の予選が鹿児島で開催されても、そのこと自体を知る人が少ない。
たとえば大会が開催されても、観戦に来てくださるのはすでにチームや社会人野球をよくご存じの方がほとんど。
欽ちゃん球団との対戦でチームが創設されたときにはテレビ局が主催だったため、取材やCMなどで認知が上がり、話題になった。
その後もテレビや新聞の取材を受けることは多かったが、それは球団側からメディアへイベントのお知らせをし、取材を依頼するからこそ。
とはいっても、取材依頼も大会やイベントがあるときだけだ。
そうではなくて、もっと定期的に、もっと不特定多数の、社会人野球を知らない方々へ、鹿児島の社会人野球を、鹿児島ドリームウェーブを知ってもらいたい。
國本さんが抱いていたそんな想いを、友人であるラジオパーソナリティのDJポッキーさんと話す中で伝えたのが始まり。
こうして、大人気DJがパーソナリティを務める『μ’ s up!(ミューズアップ)』の一コーナーとして、『フルスイング!鹿児島ドリームウェーブ』はスタートした。
番組構成
チームを知って頂くことがなによりの目的。
ということで選手へのインタビューが中心の番組構成となった。
選手とポッキーさんが、スタジオで生トークを繰り広げる。
またそれだけではなく、取材クルーが鴨池ドームなどで選手たちにインタビューし、それを編集して放送することも。
見たことがあるとしてもプレー中の姿だけだった選手たち。その素顔が垣間見え、きっとお聞きくださる方々にも身近に感じていただけたことだろう。
こうしてみると、番組スタイルは初期からずっと変わらない。
スタジオや練習場から、選手の生の声を届けること。
現在の所属選手や、私のようにまだ歴の浅いリスナーにとっては、ずっとブレずに順調に進んできているのだと思ったのだが、実はそうでもなかった。
事務局の苦労
Facebookをさかのぼって調べると、『フルスイング!鹿児島ドリームウェーブ!』が始まったのは2013年4月2日。
その日の投稿にはこうあった。
投稿主である佐藤祐輔さんにお話を聞くと、毎週の番組作りには苦労が絶えなかったようだ。
実は選手たち、ラジオなどで生で喋るということに不慣れ。
ということで、実際には佐藤さんが一問一答の台本のようなものを作っていたという。
そもそも番組制作に関しては事務局側は完全に素人。分からないことをやっているのでスムーズにいくはずがない。
また当時は毎週火曜日夕方16:50からの放送だった。
夕方とはいえ終業時刻まではまだ間がある。そんな平日の仕事中に時間を作れる選手は、そう多くはない。
出演者の手配は事務局佐藤さんに任されていた。
選手の都合がつかず、仕方なく?極度の恥ずかしがり屋だという佐藤さんが出演することも。
「口から心臓が飛び出るかと思いましたよ」と話してくださった。
テコ入れ、そして
初期の番組を知るのは、FM鹿児島で最初のドリームウェーブ営業担当である永島力さん。「どんな選手がいるかをPRしたい」と自ら取材に出かけるなどしてくださったそうだ。
しかし出演選手の偏りなど、だんだんと内容がマンネリ化。少しずつテコ入れが図られることになった。
制作が事務局ではなくFM鹿児島中心となったり、火曜16:50から月曜17:50へと時間帯が変更されたり。この変更によって、選手たちの出演のハードルは少し下がったのではないか。
また、曜日パーソナリティとしてコーナーに安藤菜夏さんが加わったのは2018年のこと。
2020年ごろからは企画(”ディレクション”というらしい)も完全に彼女に一任された。
番組が変わっても、彼女はコーナーパーソナリティとして『フルスイング!鹿児島ドリームウェーブ!』に関わり、選手たちとの仲を深めてくださっている。
選手が「出たい」コーナーへ
番組は『μ's up(ミューズアップ)!』から『μ HaveFan!(ミューハブファン)』に変わり、現在は『something μ(サムシングミュー)』。
番組は変われど、12年もの長きに渡り続いてきた『フルスイング!鹿児島ドリームウェーブ!』。
当初からのスポンサーである『餃子の丸岡』様と『太陽ガス』様、また今年から新たに加わった『川商ハウス』様への感謝は、チーム内でも大きい。
こうして積み重ねる中でドリームウェーブの選手はラジオに出演する、ということが浸透した。
また、ふだんから足を運んでくださるナッツさんとの生トークということで、選手たちもリラックスして話してくれる。
きっと現在は、「自分も出たい」という選手も増えてきたことだろう。
そんな様子をお伝えすると、初期を知るFM鹿児島の永島さんは「選手がそんなふうに感じてくれているなら」と感慨深げだった。
私の耳にも「ドリームウェーブのラジオ聞いたよ」「運転してたらラジオから流れてきた!」という声が思いがけないところから届くので、十二分にその役割を果たしていると言えるだろう。
今では私も、毎週選手たちの生の声を聴くのが一つの楽しみになっている。
そして毎週、「へぇ、あの選手はそんな一面があったんだ!」とにやけては「お母さん?」と子どもたちからツッコまれている。
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