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OOC 2024でオブジェクトモデリングのワークショップをしました

2024年3月24日(日)にお茶の水女子大学で開催された「Object-Oriented Conference 2024」で、企画セッションとしてモデリングのワークショップをしました。


なぜプロポーザルを出したか

私は前回のOOC 2020で参加者として楽しませていただきました。4年ぶりの開催となった今回のOOCでは一緒にカンファレンスを盛り上げたいという気持ちから、プロポーザルを出すことにしました。
また、前回のOOCではデザイナー向けのセッションが少なかったことから、デザイナーもエンジニアも楽しめるような企画を考えたいと思いました。

そこで、私が普段行っているサービスデザイン段階でのオブジェクトモデリングはOOCにぴったりだと思いました。プロジェクトの初期段階で作成するこのオブジェクトモデルのスケッチは、システム設計段階でエンジニアにサービスの全体像を伝えるのにいつもとても役立つからです。
なので、オブジェクトモデルがひととひとをつなぐ体験ができるワークショップをしたいと思いました。

そして「オブジェクトでつながるUXとシステム設計」のプロポーザルを出しました。

どういうワークショップにしたか

オブジェクトモデリングがひととひとをつなぐように、みんなでオブジェクトモデリングをすることをコンセプトにしたいと思いました。そこで『Object Modeling & Flow Diagramming for Designers』で紹介されている方法を参考にしました。

この方法を簡単に説明すると、ユーザーストーリーからオブジェクトを特定して付箋に書き出すというものです。
具体的にいえば、ユーザーストーリーの文章のなかで名詞をオブジェクトとして付箋に書き出します。さらにオブジェクトが持っていると考えられる属性は別の付箋に書き出します。

オブジェクトはピンク色の付箋、属性は青色の付箋
オブジェクトとその属性

また、名詞と名詞を結びつけている動詞は関連になります。

オブジェクトはピンク色の付箋、属性は青色の付箋、関連は黄色の付箋
オブジェクト間の関連

たとえば「私は、記事に対してコメントを投稿したい。」というユーザーストーリーがあったら、つぎのようなモデルができます。

記事オブジェクトとコメントオブジェクトはピンク色の付箋、属性は青色の付箋、投稿する関連は黄色の付箋
記事オブジェクトとコメントオブジェクトが「投稿する」関連で結びついている

このようなモデリングをペアで行い、できたモデルからどんなサービスになるかを構想し、最後にサービス名を付けて発表してもらうというワークを企画しました。

実際の様子

さて、来る3月24日、誰も来ないかもしれないという私たちの懸念をよそに、たくさんの参加者が集まってくださいました。実際の様子を写真でお送りします。

プリント、付箋、ペンが2名分ずつ置いてある長机が3列ある
セッション前の教室
ペアワークに集中する参加者と笑顔の参加者
ワークショップをしている参加者
制作物を掲示する登壇者とそれを取り囲む参加者
発表の様子
ニート向け家具購入アプリ「ニートリ」
住みたい町を見つけるサービス「まちコミ」
推しの必要とするリソースを支援する「Together」

写真のとおり、多くの方にご参加いただき、とても楽しい時間にさせていただきました。また、ワークショップ後に参加者から質問が上がり、みんなでオブジェクトモデリングについて意義のある対話ができました。本当にありがとうございました。

やってみてね

今回のワークで使用した手順の案内とユーザーストーリーはつぎのとおりです。ぜひやってみてください。

1.ユーザーストーリーを特定しよう。2.オブジェクトを関連づけよう。3.このサービスのコンセプトを考えよう。4.サービス名をつけてリリースしよう。
手順の案内

ユーザーストーリーA

  1. 私は、このアプリで現実の部屋に家具を仮想的に配置したい。

  2. 私は、このアプリにアカウントを登録したい。

  3. 私は、このアプリで選んだ家具をお気に入りに保存したい。

  4. 私は、このアプリで作成したインテリアのレイアウトを保存したい。

  5. 私は、気に入った家具をこのアプリから購入したい。

ユーザーストーリーB

  1. 私は、このサービスで自分の住む町に関する意見を共有したい。

  2. 私は、東京都文京区大塚に住む市民としてこのサービスにアカウントを登録したい。

  3. 私は、このサービスで同じ街に住む市民の意見に返信したい。

  4. 私は、このサービスで次に住みたい町を見つけたい。

  5. 私は、参考になった意見にサンクスを送りたい。

ユーザーストーリーC

  1. 私は、読んだ本の感想を投稿したい。

  2. 私は、このアプリにアカウントを登録したい。

  3. 私は、このアプリに読んだ本を登録しておきたい。

  4. 私は、自分の好きな本を読んだ他のユーザーの感想を見たい。

  5. 私は、読書の傾向や感性が似ているユーザーとマッチングしたい。

ユーザーストーリーD

  1. 私は、推しのパトロンになりたい。

  2. 私は、推しがどのような支援を必要としているかを知りたい。

  3. 私は、推しが必要としている支援を行いたい。

  4. 私は、このサービスにアカウントを登録したい。

  5. 私は、このサービスで支援の証明となるNFTを受け取りたい。

ユーザーストーリーE

  1. 私は、自分が健康のために行っている活動や目標を共有したい。

  2. 私は、同じ目標を持つユーザーがどんなことをしているのかをこのSNSで知りたい。

  3. 私は、ユーザーとしてこのSNSにアカウントを登録したい。

  4. 私は、このSNSで同じ目標を持つユーザーとフレンドになりたい。

  5. 私は、このSNSでフレンドになったユーザーとメッセージをやり取りしたい。

謝辞

今回のセッションに参加者くださったみなさま、OOC 2024のスタッフのみんさま、そしてセッションの準備と登壇に協力してくれた中川孟、どぎー、こばやしめいか、中沢おさむ、りりーのんのんの各氏に感謝します。

参考文献


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