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「専門家共同体」化した組織の行く末~堺屋太一氏「組織の盛衰」

堺屋太一氏は、名著「組織の盛衰」の中で、「軍人共同体化した帝国陸海軍」のなかで、

「終身雇用の専門家共同体」について、次のように述べている。



「終身雇用の専門家共同体は閉鎖社会だから、思考が内志向になり、長期的な観察によって人事評価をすることも可能である。ここでは、文字や数字で表せる能力や実績よりも、組織内の噂や感情が優先される。能力よりも人柄、得点よりも無失点、実績よりも衆望というわけだ。人事が功績主義ではなくして人格主義になるのである。

これが進むと、上層部になるものは人格が立派でもの能力は疑問だということになるから、権限は下部に分散する。下に対して厳しい発言をしない。「よきにはからえ」型が好まれる。

日本では、この種の人物をしばしば「人物が大きい」とか「心が広い」とかいうが、決してそうではない。凡そ専門教育を受け、何十年も一つの組織で働いた人間が、所管の事柄に意見を持たないはずがない。それを敢えて抑えて、部下に「よきいはからえ」と言っているのは、よほど無能か無責任か、あるいは出世のために部下の人気取りに努める小心な野心家のいずれかだろう。」



これでは、国内はおろか、世界と戦うまでもなく、敗れている。

戦う前に敗れている。

「男子、戦わずして勝べし」ではないのかなぁ。


そして、堺屋氏はこう述べる。

「職場の士気を測る一例として、ある成功した経営者は、『電話交換の速さと女子社員の動き』をあげた。そんな末端にこそ、組織の雰囲気が現れるのかもしれない」

と。

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