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学びが凝縮されていた中華料理店での体験 その2

私は元夫が中華料理店を諦めてくれると期待していた、やっぱり無理だ、弟夫婦に気を使うのも憂鬱だ、あの叔父の未練のエネルギーが染み付いた場所に住むなんて嫌な予感しかない。

ところが元夫は諦めず、次の融資してくれる機関を探しだし、申し込んでしまったのだった。

後日、話し合う為にうちに担当者がやって来ることになった、当日は元夫が何故か私に外出するように言ってきた。

私はピンときた!元夫は私に聞かれてはまずい内容の話をしようとしているに違いない!絶対に私はそれを見破ってやろう!と闘志が湧き、隣の部屋で待機しておくと言った、その時の元夫の何とも言えない気まずい表情が印象的だった。

私は内心勝った!とニヤついていた、そして担当者2人が時間通りやって来た、私は挨拶をして隣の部屋に移動してドアを閉めた。

元夫は資料を見せながら担当者に愛想よく話をしている、そこで担当者のひとりが「ところで今回の融資の件で、担保として奥さんのご実家の農地を提示されていますが、それは奥さんやご両親は承諾されているんでしょうね?」と言ったのだ!

元夫は慌てていい加減な返答をして誤魔化そうとしていた、私は金づちで頭を殴られたような衝撃を受けていた、そして担当者が帰った後、私は元夫に食って掛かり、罵声を浴びせて元夫の身体を拳で殴り続けた、元夫は最初は罪悪感から耐えていた、でも段々と悔しくなったらしく、私の髪を引っ張り、取っ組み合いの大喧嘩になったのだった。

もう2人とも鬼の形相で憎悪を剥き出しにして罵りあった、そして元夫が離婚するしかないと呟いた、私の心は冷静だった、思考は次のすべきことを考えていた。

離婚はする、でも今ではない、今この男を解放してやる訳にはいかない!何としてでも心から私の両親に謝罪させるまでは、絶対にこの男を許さない!次にすることは?これからのことを冷静になって話し合うことだ。

だから私は元夫にこれからどうするかを決めよう、ただし離婚は今はしないからねと伝えた。

それで中華料理店をオープンさせる為に努力してみようと決まったのだった、先程の融資の件は早速断ってもらった。

どっちにしても、この家には住めない、家賃が払えない状況なのだから、私は叔父の食堂だったあの土地に、移るしかない!と覚悟を決めた。

元夫は会長さんに会い、今後のことを詳細に決めて来た、とにかくあの空き店舗に残されたもので使えるものは全て再利用して、出来る限りお金を使わなくて済むように工夫して、何とか中華料理店をオープンさせようという流れになっていった。

叔父の思い入れたっぷりの家も、キレイに掃除して住めるようにしようと、元夫と私は何度も通い掃除をした、そして元夫が格安でしてくれる清掃業者を探してきて依頼したので、作業員の人と共に、何とか住める状態になった。

この清掃業者の社長さんは女性で、タバコもお酒も大好きな人、物凄く威圧的なタイプだった、旦那さんが専務を担当していた、これからこの夫婦に私は苦しめられることになる、一目見て既に不気味な予感しかしない、悪魔👿のようなオーラに包まれた人達だった。

また会長さんにも会うことになり、挨拶した、この人は私の長男と同じような雰囲気があり、根底には常に楽しいことを求めているタイプで、私は怖いと思わなかった。

その奥さんがこれからオープンする中華料理店のマネージャーという立場で関わることになっていた、後日対面した時、彼女からは物凄い憎悪を感じた、特に元夫に対して相当な恨みがあるようだ、だからその妻である私にもキツい対応をしてくる、私はこの人とうまくお店をやっていけるのか?とても不安になった。

さらに厄介なことは、清掃業者の社長とこのマネージャーの利害が一致して結び付き、2人で私を監視し始めたのだ。

家の掃除と同時に店舗の片付けや掃除も進められていて、私も手伝うことになり、マネージャーの指示で清掃業者の社長にお供して座布団をコインランドリーで洗濯することになった。

その時の社長の行動に商売人としての凄まじさを学んだ、彼女は時間も労力もお金も無駄遣いせず、重労働は私にさせる、いかに自分に負担がかからないかを徹底的に追求しているようだ、見事としか言いようがない。

座布団はコインランドリーで完全には乾かさず、天日干しして、お金を出来るだけ残すことにしたのだ、だから私は何往復もして生乾きの座布団を運んだ、日射しを見て、干す場所を変えながら乾かすことに集中して、やっと乾かした頃は夕方になっていた。

社長とマネージャーはお茶を飲みながら雑談をして、大爆笑している、私の姿を監視してヒソヒソ話もしているのを感じながら、座布団を店内に持って行くと、素っ気なく、そこに置いといて!と言われた。

私はこんな環境で辛抱してやるしかないのか?納得出来ない虚しさでいっぱいだった。

そしていよいよ引っ越しする日がやって来た、こんまりさんの本に出会い、私は家の中のものをときめくものだけにすることにした、すると不思議なことに全く動かなかった運命が大きく動き出したのだ。

ほとんど不必要なものが無くなった家は、荷物もかなり減り、引っ越しはスムーズだった、私と子どもたちは家に残り元夫が車で迎えに来るのを待っていた、私は最後のお別れのつもりで、心を込めて10年間お世話になった家に感謝しながら掃除機をかけた。

夕方、元夫が車で迎えに来た、手持ちの荷物を車に積んで、家に向かって手を振った、こんまりさんの方法で片付けしてからの家は輝き、快適になった、なのに引っ越しすることになり、とても残念な気持ち、でもきっとときめく暮らしがこの先には待っている!と私は信じようと思っていた。

続きます。

幸せをありがとう♡

ここまで読んでくださって感謝します。


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