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三題話の大研究 2021夏-秋

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まったく関連のない3つの単語を使って、短編小説、小話、エッセイ、短歌などの作品を創作する三題話。今回のお題は以下の3つです。 お題:お盆・ノート・せいか そして今回は「こわい話」…
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記事一覧

私ノ名ハ、ゴルゴ… by 夢野来人

ソコノアナタ、チョット聞イテクダサイ。 私ノ奥サン、日本人デス。先日、オ盆ニ帰省シマシタ。手土産ニ何ヲ持ッテイコーカト思ッタノデスガ、アマリノ暑サノセイカ、冷タイモノヲ持ッテイクコトニシマシタ。ホラ、皆サンモ良ク知ッテル、二桁ノ数字ガ付イタ、冷タイヤツデス。背筋ガ凍ルホド、冷タイヤツデス。ソノ名ハ、31(サーティワン)。ついでに、私のコードネームはゴルゴ31。 ネエ、橋ノ上デ、ナニ笑ッテルノデスカ。モウ、死ノート言ウ気ガ、無クナッタノデスカ。私ノ名ハ、ゴルゴ31。人ノ命ヲ

再生

公式MV 「ご先祖さまの悩み事」

作詞・作曲・歌 寝夢大三

小説「SOUL NOTE」 by 吉田真澄

 海側からでなければ見えない崖下の、岩と岩の隙間に育った木々の間から垣間見える縦の亀裂は、まるで女性器のようだ。それは崖という胎内に奥深くと続く、悲しく虚しい女の羊水が渦巻いている洞窟。 「風邪?」  ファストフード店内のテーブル席を占領している女子高生の集団から響いてくる声。 「あいつ、へたくそでさ。ちっとも気持ちよくないんだけど、かわいそうだからイッテルふりして付き合ってやったらこんな声よ」かすれたガラガラ声がそう言って笑っている。 「どんだけおっきい声だしたのさ

講談・切ない恋 by 神田南田

本日は昔のラブストーリーをご紹介させていただきたいと思います。語りは私、神田南田(かんだなんだ)と申します。しばし、お付き合いのほどお願いいたします。 いえいえ、なんだかんだではございません。かんだなんだと申します。 えっ、そうですか。あなたはアメリカの方ですか。 では、マイネーム イズ ナンダカンダ。ああ、合ってます。 さて、時は1831年というからおよそ190年も前のお話でございます。 日本で言えば天保2年にあたります。それはもう、立派な江戸時代。 今年はお伊勢さんにお

とある高校の夏休み直前のホームルーム2021 by 御美子

「起立、礼、着席」 「皆さん、おはよう。コロナ禍がここまで長引くとは思わなかったけど、今年も夏休みが始まるわね」 「峰理事長、ノートパソコンの前ではありますが、全員揃いました。リモートホームルームという名の会議を開始いたします。ところで、今年もまた、突拍子もないプロジェクトを企画されているんですか?」 「相変わらず勘がいいわね。学校法人峰学園の総生徒会長にして、伊達校・坂東校・山城校・比古校をまとめる統括部長君。今日は4校合同の幹部によるホームルームを楽しみにしてるわ」

幸せ砂時計 by 夢野来人

皆さま、時を刻むものをご存知でしょうか。さようでございます、時計。ひと口に時計と申しましてもいろんな種類がございまして、古くは日時計やら柱時計、鳩時計、からくり時計、目覚まし時計、腕時計など。変わったところでは腹時計や体内時計、最近では水晶時計、電波時計なんてものもございます。 まあ、時計時計と続いてうるさいぞ、そんなことは「放っとけい」なんておっしゃらず、もうしばらくお付き合い願いたいと存じます。 あるところに、砂時計が見えると言う霊能者がおりました。 砂時計なんて誰にで

怪談ぼたんどうろ by 網焼亭田楽

世の中にはいろいろと怖いものがございまして、昔から地震、雷、火事、オヤジなんて言葉がありますように、一番怖いのは「自分自身」でございます。その次が神社にいらっしゃる「神なり」、そして奥様方の敵「家事、育児」と続き、最後が「おやじギャグ」でございます。 それはもう、ツボにハマった時のおやじギャグの恐ろしさと言ったら……もちろんドツボにハマった時の恐ろしさでございますが。 なんてバカなことを言ってはいられません。この世には本当に怖いものが存在するのです。 今日はそんな泣く子も黙る

小説『手を翻せば雲、手を覆せば雨・・・伝わらない恐怖』 by Miruba

目が覚めたら白い天井が見えた。 まだ病院なんだな。もう2週間はとっくに過ぎた。 ぼーっとする。 ちょうど痛み止めの薬を飲み効きすぎてうたた寝から目覚めたような感じだ。 「田崎由美さん、お薬の時間ですよ」看護師さんが笑顔で部屋に入って来た。 「え、また薬? あのー首が痛いだけなのですが、こんなに薬漬けであれこれ飲まなくてはいけませんか?」 「ええ、胃薬とか色々あるんです。さぁ飲みましょうね。私が見ていますからね、ほら」 「えーっと、だいぶ調子もいいので、退院させていただけませ

小説『死なせてあげない』 by k.m.Joe

「ごめんなさい。私が勘違いさせるような態度を取ったかも知れないわね。きっとあなたには、もっとお似合いの女性がいるわよ。会ったらお喋りするぐらいのお友達でいましょう」 20歳の大学生、駒込 章、失恋の瞬間である。元々、女性を前にすると緊張するタイプで、自分から積極的に話しかけるような事はまず無い。今回も、学内食堂で同じ講義を受けている女子学生から「ノート貸してくれない?」と頼まれ、その時一緒に居た金澤鏡子に惹かれたのだ。女子達は3人組で、一緒に喋ったというより、3人が喋るのを

三題話・お題発表

まったく関連のない3つの単語を使って、短編小説、小話、エッセイ、短歌などの作品を創作してください。(文字数制限はありませんが、2400字以下を推奨) 今回のお題は… お盆 ノート せいか です。 (表記は変えても構いません。例:聖火 成果 生花 など。また間に句読点が入っても構いません。例:ノー、ト など) そして今回も、さらにもうひとつのしばりがあります。 三題話の上にさらにシバり! そんなのあり! と驚く方もいますが、 またの名を世界一難しい三題話(?)とも言われて