占い by Miruba
「あ~あ、どうしよう」容子は絶望的な気分でつぶやいた。
買い換えたばかりの携帯電話を何処かで落としたらしい。気が付き慌てて元来た行程を辿ってみたが、デパートのトイレの棚にも、喫茶店の荷物入れにも無かった。
「持って行かれちゃったかな?」携帯を落として酷い目に遭う映画を思い出す。不安が増してくる。警察に紛失届を出そう。容子がそう思って歩き出した時だ。
「お姉さん、お姉さん。そう、あなたよ。あなた携帯を無くしたでしょ?」
看板に【占い】と書いた小さな店舗の奥から声が聞こえた。容