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2024年のGWに読んだ本

読書にはまとまった時間が必要だ

読書にはまとまった時間が必要だ。仕事で使う知識を得るために関連する本を読むのは読書とは違う。たとえばプレゼン資料作成時に参考資料を読むのに「読書」って言葉は使わないよね?それと同じ。
読書とは本と対話すること。本の世界に分け入ること。本の海に深く潜ること。まとまった時間と体力がないと実施することが難しい行為なのだ。

そんな訳で、普通の勤め人の私が本と向き合う時間と体力をたっぷり取れるのはGWやお正月などの長期休暇のみ。いつもスーツケースに本をたくさん詰め込んで実家に帰る。まるで移動図書館かってくらいに。読みきれないのは分かっているけど、それでも読みたい本を選んで詰め込むのがやめられない。

今年のGWの読書方針

  • ジャンルは決めない。

  • フィクションとノンフィクションを交互に読む。(サウナと水風呂を繰り返すみたいに)

  • 飽きたら別の本にすぐ切り替える。(なんたって本はたくさん持ってきている)

皆勤の徒 酉島伝法


GWの読書始めの儀は「皆勤の徒」から。もともとSF好きだったけど、この作者は寡聞にして知らず。日経新聞の書評で知って手に取った。グッチョングッチョンのヌルヌルで生理感覚に激しく挑戦してくる一冊。何が起こっているのかよく分からないけど、ものすごい疾走感と吸引力でページから目を離すことができない。GW最初の一冊に選んで良かった。一発で異世界に飛べる。

ニュンベルク合流 「ジェノサイド」と「人道に対する罪」の起源


今年の初めに「ニュンベルク裁判」の上下巻を読んで、その裁きの過程や困難さに衝撃を受けた。関連本が読んでみたくて探していたら「ニュンベルク合流」を見つけた。
「ジェノサイド」と「人道に対する罪」は既に人口に膾炙した言葉だろう。
「ジェノサイド」は法律家レムキンが、「人道に対する罪」は国際法教授ラウターパクトが、ナチスが行ったユダヤ人に対する非道を表すために辿り着いた言葉だ。この二人と悪名高いナチ・ドイツのポーランド総督のハンス・フランクの人生が、その始まりから絡み合う。そして、著者のフィリップ・サンズの人生の糸もまた。第一級のノンフィクションであり、同時にサスペンスでもあり、歴史のうねりと人生の重みが感じられる本。

フーコーの振り子 ウンベルト・エーコ


ご存知ウンベルト・エーコの代表作の一つ、「フーコーの振り子」。実を言うとウンベルト・エーコは「薔薇の名前」と「プラハの墓地」しか読んでいない。どっちの作品も好きすぎて10回以上読んだ。そろそろ他の長編も読んでみようかな、と今回手に取ってみた。エーコらしいコッテコテの衒学的小説。テンプル騎士団!薔薇十字軍!イエズス会!フリーメイソン!秘密結社がこれでもかってくらい出てくる。豪華絢爛、疾風怒濤の上下巻。「薔薇の名前」に勝るとも劣らない、めくるめく読書体験。この小説に出てくる女性は全員フェリーニやパオロ・ソレンティーノの映画に出てくるような、とびっきりの美女として脳内再生される。太陽のように開けっぴろげで眩しい感情表現をする、豊満な肢体を持った女性たち。中世の歴史やイタリアの政治を知っているともっと楽しめるだろう。何度も読み返す本になりそう。

封建社会 マルク・ブロック


國分功一郎さんが以前にやっていた「映像の哲学」で紹介されていた本。「封建社会」9800円は高すぎなので、文庫にして980円で売るべき。内容の価値は9億8000万円くらいあるって国分浩一郎さんが力説してて、爆笑して思わず買ってしまった。西洋中世の歴史について書かれた本。めちゃくちゃ面白いんだけど、残念ながら読み終えられなかった。ちょっと疲れたのかも。次回のお楽しみに。。。

古典をつまみ食い

日本語の処理能力を超えたのかも、、、と思って封建社会を読むのを途中でやめて、その後は古典をつまみ食い。ヘミングウェイとか、ジョイスとか著作期限切れのものがkindleだと300円以下で購入できてしまう。プルーストの「失われた時を求めて」の英語版なんて0円ですよ。信じられない。今回はヴウルフのオーランドーを読んだ。ところどころNワードが出てきて面食らう。今度時間が出来たら、邦訳と付き合わせながら再読してみたい。