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9.望遠窓と落ちこぼれ

生まれ変わり手続きの中で、私がやらかした失敗について書きます。

ある時、私は5.「光の玉」の仲間たちと一緒に、8.「お世話係」さんに連れられて、ある場所に行きました。

そこには、大きな窓があり、のぞき込むと、夜景が見えました。

今となっては、大きな窓だったのか、スクリーンだったのかわかりません。

順番に呼ばれ、その窓をのぞき込み、これから生まれる世界。

どうやら、自分の母親を見ることができるようでした。

はい。なぜ、こんな言い方になるのか。

賢明な方は、お気づきですね。

そう。私は、ここで大きな失敗をしてしまうのです。

窓は、ただのぞき込むだけだと、美しい夜景が広がっていますが、そこから、自分で操作をして、望遠の調整をしなくてはいけませんでした。

操作は、今でいうスマホ操作の「ピンチ」によく似ていましたが、私はそれがうまくできなかったのです。

「あれ?おかしい?見えない?」と思っているうちに、持ち時間が終了。

まるで、見たいものが見える前に、あっという間に時間切れとなる観光地の望遠鏡のようでした。

しかも、「お世話係」さんに、「見えた?」と聞かれた際、私は、「うん。見えた。」とウソをついてしまいます。

「見えなかった」と正直に言ったら、生まれ変わりの手続きさえ、うまくできないなんて、生まれ変わり自体を取り消されるのではないか・・・とよぎり、正直に言えなかったのです。

多分、「お世話係」さんには、ばれていたと思います。

ウソをついたことを、問いただされたり、怒られた記憶はありません。

「そう」とだけ、言われたような気がします。

でも、自分はウソをついたことを知っています。

母の顔を見ずに生まれてきたこと、正確な手続きにのっとれなかったこと。

この体験は、今でもどこか自分に影を落としています。

「今度来た時に、こっそり見よう。」そう思いもしました。

しかし、その場所に来ることは二度とありませんでした。

この後、赤点をとった生徒だけにおこなう補習のような手続きが追加されます。

I love you.

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