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さいころの目の組み合わせ(早稲田実業中2023)

 太郎と花子はさいころをそれぞれ1回振って、出た数が大きい方を勝ちとし、同じ場合は引き分けとするゲームをします。太郎のさいころは、1から6までの整数が立方体の各面にひとつずつ書かれていて、各面の数の合計は21です。花子はオリジナルのさいころを使います。オリジナルのさいころも立方体で、合計が21となるように、各面に数をひとつずつ書きますが、書くことができるのは1から7までの整数で、同じ数を複数の面に書いても構いません。
 次の各問いに答えなさい。ただし、場合の数を数えるときは、書いてある整数が同じであっても、面が異なるときは、異なる場合の数として数えることします。

⑴花子のさいころに書かれている数が1, 1, 4, 5, 5, 5であるとき、次の[ア]、[イ]にあてはまる整数を答えなさい。

『花子が勝つ場合の数は[ ア ]通りである。引き分けの場合の数は6通りであるので、太郎が勝つ場合の数は[ イ ]通りである。』

⑵花子は、7が出れば太郎に必ず勝てることに気づいたので、7を2つ、7以外の数を4つ書きました。この7以外の4つの数をa, b, c, dとします。
 花子がさいころを振ってaが出たとき、花子が勝つ場合の数は[ ウ ]通りとなります。[ウ]にあてはまるものを、aと数を用いて表しなさい。
 また、このことを利用して、花子が勝つ場合の数は(a+b+c+d+8)通りとなることを説明しなさい。

⑶花子は、さいころに新しい数を6つ書きました。このさいころでゲームをすると、太郎が勝つ場合の数が16通りとなります。このさいころに書かれている数の組み合わせとして考えられるものは何通りありますか。ただし、少なくともひとつは1が書かれているものとします。

早稲田実業中(2023)

 さいころの作り方によって、勝つ場合の数をコントロールする問題です。難関校の問題には、このように「望みの結果を得られるように設定を操作する問題」がしばしば出題され、やや混みいった条件整理を要求されることがあります。
 この場合の数の問題は、ただやみくもにパターンを書き出しても、自信のもてる解答は導きだせないでしょう。文字を使った式によって、場合わけと条件整理をいかに手際よく行えるかが鍵です。そのため、小学生には、文字を使った式の扱いに慣れていないとあまり楽しめないかもしれません。少し進んだ場合の数の問題を解いてみたい子におすすめです。

(解)

勝った方の名前を記入。引き分けの場合は△。

表から、花子が勝つ場合の数は15通り([ア])、太郎が勝つ場合の数は15通り([イ])。
※太郎が勝つ場合の数は、すべての目の出方の場合の数6×6=36(通り)から、引き分けの場合と花子が勝つ場合を除いたものなので、
   36-15-6=15(通り)
と求めることができる。

⑵花子がさいころを振ってaが出たとき、太郎のさいころで、1〜a-1の(a-1)個の目のうち、いずれかが出れば花子が勝つ。
つまり、このとき花子が勝つ場合の数は(a-1)通りである。

また、花子のさいころで7が出たとき、太郎が1〜6のどの目を出しても花子が必ず勝つので、花子が勝つ場合の数は6通りである。

したがって、花子のさいころに書かれいている数がa, b, c, d, 7, 7であるとき、花子が勝つ場合の数は
   (a-1)+(b-1)+(c-1)+(d-1)+6+6=a+b+c+d+8(通り)
である。

⑶花子のさいころに7がいくつ書かれているかで場合分けをする。

7が1つも書かれていない場合、さいころに書かれている数を1, a, b, c, d, eとすると、花子が勝つ場合の数は⑵と同様にして、
   (a+b+c+d+e-5)通り
となる。このとき、1, a, b, c, d, eのそれぞれについて太郎と花子の出す目が一致することがあるので、引き分けの場合の数は6通りである。
よって、太郎の勝つ場合の数が16通りのとき、
   a+b+c+d+e-5+6+16=36
とならなければならない。すなわち、
   a+b+c+d+e=19
であることが必要である。
しかし、このとき花子のさいころの各面の数の合計は19+1=20となり、合計が21であるという条件に合わない。よってこの場合は考えられない。

7が1つだけ書かれている場合、さいころに書かれている数を1, 7, a, b, c, dとすると、花子が勝つ場合の数は
   (a+b+c+d+2)通り
となる。このとき、引き分けの場合の数は5通りである。
よって、
   a+b+c+d+2+5+16=36
すなわち
   a+b+c+d=13
このとき、花子のさいころの各面の数の合計は13+1+7=21となり、問題の条件に合っている。

7が2つだけ書かれている場合、各面の数を1, 7, 7, a, b, cとして上と同様に計算すると、
   a+b+c=7
となることが必要だが、このとき各面の数の合計は7+1+7+7=22となり、問題の条件に合わない。

7が3つ以上書かれる場合はそもそも考えられない。なぜなら、7が3つ書かれた時点で、各面の数の合計が7×3=21より大きくなるからである。

したがって、考えなければならないのは、7が1つだけ書かれている場合だけである。
つまり、
   a+b+c+d=13
となるようなa, b, c, dの組み合わせの総数を求めればよい。
それぞれ1~6の整数であることに注意して数え上げると、

(1, 1, 5, 6), (1, 2, 4, 6), (1, 2, 5, 5), (1, 3, 3, 6), (1, 3, 4, 5), (1, 4, 4, 4)
(2, 2, 3, 6), (2, 2, 4, 5), (2, 3, 3, 5), (2, 3, 4, 4), (3, 3, 3, 4)

11通りである。(終)

ひとこと

 7の目が出れば花子が絶対に勝つということから、さいころに7をいくつ書くかによって場合分けをし、それぞれの場合で、残りの目に必要な条件を求める、という、たとえ中学生以上の子が挑んだとしてもなかなか難しい作業を必要とする問題でした。入試本番で⑶まで完答できた小学生はごく少数だったろうと思います。

 この問題では、「花子のさいころの目の数の合計が21」というシバリがかなり効いていました(これがなければ全部の目を7にすれば「最強のさいころ」を作れてしまいます)。⑶は、太郎の方がちょっとだけ有利になるさいころを作る問題でした。

 では、このシバリのもとで「最強のさいころ」を作るとしたら、目の数をどう組み合わせればよいでしょうか?

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