Live2Dモデルの生きてる感をUPさせるひと手間

こちらLive2Dアドベントカレンダー2019の11日目の記事です。

こんにちはJujubeと申します。現在は主にLive2DでのVTuberモデルやイラストアニメーションを仕事にしているフリーランスの2Dアニメーターです。

担当したVTuberさん  /  個人製作作品←こんなん作ってます。


はじめに

この記事で紹介する小ネタ達は、二次元キャラクターとしての魅力を突き詰めるという方向性ではなく、より人間っぽく動くモデルを目的としています。

あまりコアな技術解説は長くなってしまうので、今回はいくつかの具体的な事例をもとに”モデルを作ったけど何か物足りないなといった方へ、ひと手間加えてモデルの完成度を上げよう”をコンセプトに書いてみようと思っています。

前置きはそこそこに本題行きましょう。


1、呼吸法を見直してみる

 何かの健康法みたいな見出しになってしまいましたが、呼吸パラメータ周りのことです。
 人間無意識の呼吸は、男性が腹式呼吸 女性が胸式呼吸で行う人が多いみたいで、私は男女で呼吸の変形は変えるようにしています。要は(横隔膜を下げて)お腹を膨らますか、肺を膨らますかの違いです。
図で描くとこのような感じ

イラスト3

まあこの部分はある程度大げさにした方が動いてる感があっていいという方もいるのでそこはお好みなんですが。

 たかが呼吸とはいえ、FaceRigだとアイドリングモーション以外で常に動作するパラメータなのでここの変形に違和感があるとずっと変な感じが付きまとってしまうことになります。
 多くの場合はBodyZとかの下に身体パーツを一まとめにしたBreathデフォーマで呼吸を変形しますよね。私も特に問題なければそうしますが、例えばパーカーのフードがある場合にフードが呼吸で膨らんだりすると変に見えません?
そういう時は呼吸のパラメータの付いたデフォーマから分離して違和感を消していく作業も大事なひと手間だと思います。



2、眼の表現

 ネットでよく見るアンケートで”他人や異性を見るとき最初に目が行くパーツは”みたいなのあるじゃないですか。目って大抵一位なんですよ。少なくとも私が確認で見つけたやつは全部1位でした。
それくらい目は大事、目の変形は特に心を込めてやりましょうね。

固視微動を意識した目の動き
 何やら専門用語が出てきましたが、簡単に言うと人の眼は何かをじっと見ているつもりでも微かに動いているということです。また眼球はゆっくり横に動かしているつもりでもガクッガクッと動く挙動をするので、アニメーションやモーションを作るときはそこを意識することで割と効果を発揮します。Live2Dモデルではまあニッチなとこだと思いますが、個人的には作り物感を和らげてくれる感じがしてとても好き。
 VTuber用でこだわりたいのであればアイドリングモーションに微妙な瞳のブレを入れてみるのもいいかもしれませんね。目に見える効果が微妙すぎるのでお勧めまではしませんが。ただやりすぎは眼振になるのでほどほどに…

実際どんなのかっていうのはLive2DCreativeAwardsに出した私の動画の冒頭で結構キツめに使っていたのでわかりやすいと思います。。。こんなかんじ

画像1


表情の重ね掛け
 FaceRig用モデルでは皆さん御存じの通り基本8種類の表情切り替えができます。(いろいろ小細工して増やしたりできますが)
あとは眉毛と連動させて笑顔に切り替えたりとか、モデラーさんによって工夫されていることだと思います。
 では例えば、Zキーで怒る、Xキーで泣く、Cキーでジト目、Vキーで笑う
こんな感じで目の形を変形した表情を作ったとします。
この4つすべてのキーを同時にONにしたらモデルはどうなるでしょう?

というのは極端な例ですけど実際笑いながら泣くとか、目は笑いながら怒るなんてことはよくある表情ですし、単純な表情のON/OFFよりそういった微妙な表情が表現できる方がいいですよね。ただ、表情が増えれば増えるほど作業量が大変になり複雑なデフォーマ構成力が求められます。すべての組み合わせに対応する必要もないですが、ここは時間をかければかけるほど表情の幅が広がっていきますし、少なくとも破綻はなくしておくといいのではないかなといった感じです。



3、ペラペラ感からの脱出(顔の立体感を上げる)

 Live2Dの変形は一枚絵からでも分け方や工夫次第で立体的に動かすことができるところが醍醐味の一つですが、同時に難しい部分でもありますよね。
 顔の立体感を持たせるためにはXYの変形の精度を上げるのが最も重要です。(大きく動くかどうかより、どちらかといえばどんな動きをしても変形に違和感が無いようにする方が重要だと思う)これは残念ながら避けられない。これは当アドカレ6日目の山田ゆこ先生の仰るようにデッサン筋を付けて地力を上げましょう。



とはいえそう終わらせてしまうのもアレなので、モデルを作った後でもできるやってみたらどうかなと思う事を2つほどご紹介します。


・首と輪郭のつながりを意識する
 顔のXYZの動きを作って実際に動かしたとき、なんだか輪郭がグラグラ浮いて仮面みたいに見えてしまうなぁという場合、首と頭部がうまくつながっているように見えないことが一因な可能性ありです。アニメキャラの首って現実よりかなり細く描かれることが多いので違和感が軽減されるよう調整をするようにします。首を横に傾ける動きを付けたときは特に首も一緒に動かした方が自然になるんじゃないかなと思います。


・口の中を作りこむ
 これは顔の角度によって口の中の見え方を変えるという手法ですね。

画像2

口内のパーツをクリッピング用口内素材にクリッピングすることで簡単に実装出来て、なおかつ見栄えもいいのでそこそこおすすめです。口内素材がべた塗りじゃない場合に使ってみてはいかがでしょうか。


おわりに


 今回は生きてる感をUPさせるひと手間と題して小ネタをいくつか紹介させてもらいました。いいモデルのためには細かい部分までのこだわりが必要不可欠です。ネット・SNSでも他にも様々な方がTIPSを公開されていますのでそれらを参考に自分なりのこだわりを見つけていきましょう!
 ただし、それらの小技を全部乗せしてもいいものになるわけではないので自分の作るモデルに合っているか、キャラクターや絵柄に合っているか等考慮して取捨選択していくことが大切ですよ。

それでは皆さんも良きLive2Dライフを。

Live2Dアドベントカレンダー明日12日はキョウヘイ(@kyouhei_0210)さんです。よろしくお願いします。


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