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ドリーム・アーツのキャラクターが新しくなりました

こんにちは、あたりめが仕事のお供なデザイナーHです。
この記事を読んでいるあなたは、ドリーム・アーツのマスコットキャラクター・POPYとCelloに出会ったことがあるでしょうか?
POPYはソノマ生まれの白い犬、Celloは大きな耳が特徴のチワワです。
イベント会場やノベルティで見たことある!という方もいれば、今まで知らなかったという方もいるかもしれませんね。

■POPYとCelloが新しくなりました

実は今年、この2匹はちょっとだけ新しくなりました。
2021年までが、こちら。

そして2022年からは、こんな感じです。

いかがでしょうか。
線の雰囲気が変わり、キャラクターの描写が適度に簡略化され、弊社サービス「Shopらん」のトレードマークでもある花が仲間に加わりました。
こうして並べると、結構あっさりとしたリニューアルに見える気がしますね。

しかし!
このイラストにたどり着くまで、なんと我々は半年近く費やしています。
途中、POPYたちは半ば別の生命体になりかける事態にまで陥っています。
イラストのBefore/Afterを見れば方針はこんなに簡単でわかりやすいのに、なぜ?と思いますよね。我々もちょっと思います。

というわけでこのnoteでは、他のドリーム・アーツコンテンツではきっと明かされないであろう、いってしまえば泥くさい暗中模索の道のりからリニューアルプロジェクトの反省・キャラクターの刷新時に意識すべきと考えた点まで、赤裸々に紹介いたします。

■いつ頃生まれたキャラクターなの?

そもそもドリーム・アーツにはいつからキャラクターがいるのでしょうか。せっかくなので簡単に紹介させていただきます。

POPYが誕生したのは、なんと1998年末。Celloはもっと最近で、2016年生まれ。
1998年といえば、世界的アニメ・ポケットモンスターの劇場版第1作が公開された年。そう考えるとPOPYはかなりのご長寿キャラクターなんですよね。
今や、その頃にはまだ生まれていなかった人が社員になっているくらいですから!

POPYとCelloにはそれぞれ紹介ページもあります。よかったら覗いてみてください💫
POPY: https://www.insuite.jp/popy/
Cello: https://hibiki.dreamarts.co.jp/smartdb/cello/

■新しくなったきっかけ

2022年の今でこそ自社のキャラクターを持っている会社は珍しくないですが、POPYが生まれた20世紀末の当時は、まだそういったIT企業はほとんどありませんでした。
つまりPOPYは単なるマスコットというだけでなく、ドリーム・アーツの先進性の象徴でもあるのです。

POPYは生まれてからこれまで何度か、時代に合わせて少しずつ新しくなっていました。
一番最近のアップデートで2012年。つまり、今から10年前です。

2010年代のPOPYももちろん活躍してくれていましたが、時代の移ろいによるちょっとした課題が生まれていました。端的にいうと「使いにくさ」です。

当時のデータは細かいところまで気が配られていましたが、少々厳格で、改変や新規追加などもしにくい造りでした。
また、後を追うように生まれたCelloや、「Shopらん」の花との世界観も隔絶していました。
POPYたちは何も悪くないのですが、ドリーム・アーツはこの10年で昔より少し自由になったのです。

かつてのバージョンでは、キャラクターの姿勢やイラストがしっかりと守られていました。自由な表現と引き換えに、会社としての誠実さや真面目さという印象を強調しようという意図があったのです。(ドリーム・アーツがいい加減な会社で、それをキャラクターでごまかそうとしていたわけではありませんよ!)

しかし2022年のドリーム・アーツは、プロダクト同士のスムーズな連携が実現したため、それぞれの枠を超えた全体としての世界観を表現する必要が出てきています。
POPYとCelloのバリエーションも、これまでは各6種類用意されていましたが、それでは足りなくなっていました。
また、押しが弱い・印象がにぶい・どこを見ているのかわからない……といった印象面の課題も生まれていました。

そのため、改めてもっと自由に活用でき、もっと先進的な姿へと生まれ変わることになった……というわけです。

■キャラクター検討に半年かかりました

表題の、そして前述の通り、POPYとCelloのリニューアルにはなんと半年近くかかりました。
なぜそんなことになったのでしょうか。

「新しくなるべきだ。しかし、どんなふうに?」

リニューアルがこの問いから始まり、そしてその答えをデザイナーたちはおろか我が社の誰も見出せていなかったからです。

まず初めは、ドリーム・アーツの色を表現できるようなテイストを探してみよう、と調査を行ないました。
ドリーム・アーツのイメージとは?キャラクターのあるべき立ち位置とは?という分析から、

そもそも各企業各団体がゆるキャラを携えるようになった興りは……などという調査までカーナビなしの探索車は迷走を極め、

※以下、参考資料として引用した画像などにマスクをかけています

数人がかりで獣道をさまよい尽くした結果、とりあえず手を動かす作戦に切り替えることになりました。

ひとまず個人で、和風やカートゥーン風に好きな作家さんやイラストレーターのテイストも一度真似てみて……など色々手を出してみたのですが、

※存命の作家名にマスクをかけています

ああ〜一人じゃ無理〜!!!
と頭をかきむしり過ぎてアフロになりました。

この時点でデザインメンバー全員の力を借り、とりあえずたくさん案を出してみようということに。三人寄れば文殊の知恵、数は力、勝てば官軍です。

案を出しては社長にフィードバックをもらい、フィードバックをもとに更なる案出しをする、そんなやりとりを五・六回は繰り返したでしょうか。
四角だけでできたPOPY、ふかふかになったCello、エトセトラ、エトセトラ。
試行錯誤を繰り返すうち、

「そうだ、直立させてキャラとしての存在感を濃くしたら、お客さまのパートナーとして確立できる気がする。この方向で詰めてみよう!」

という方針が見出されました。
深く底の見えない沼を手でかき回して沈んだ砂金の粒を探すかのごとき作業に困憊していた我々は、すがるような思いで二足歩行の犬型マスコットたちを量産する生き物へと成り果てていきます。

表情をあらわにするため口を獲得した犬、直立した犬、ネクタイをつけた犬、ティーをたしなむ犬、犬を超えた新たな形の犬。
未だ「この方向こそが正解である」という確信こそ抱けなかったものの、どんどんと新しく、そしてかわいくなりつつあるという手応えはありました。

案はどんどんと磨きがかかり、最終的にこのような形へ到達しました。

今までのPOPYとcelloとは一線を画するはっきりとした存在感。
直立した姿と、表情を豊かにする口。
「お客さまの相棒」たらんとするドリーム・アーツの信条を体現し、キャラクターらしいキャラクターとなったPOPYとCelloがそこにいました。

時に厳しく時に試練のようであった社長からのフィードバックも、この時ばかりは明瞭でした。
「いいね!やったね!クオリティが上がりきった!」
そして、
「だからこそわかった。こうじゃない」

……ここまで昇り詰めることで、「違う」という結論にたどり着いたわけです。

正直、そんな今更と膝を折る気持ちがなかったと断言はできません。
しかしここまで探求したことではじめてPOPYとCelloの何が大切だったか、曇りが晴れて見えてきたのです。

POPYはこれまで20年近くドリーム・アーツと一緒に歩んできた存在で、同じ分だけお客さまと築いてきた関係や愛着が蓄積されています。
それを断絶させるような一新はむしろマイナスに働いてしまう可能性が高いでしょう。
なので全体の印象は変えず、むしろ誕生当初の子犬に近いニュアンスへもう一度立ち返ることで、線表現の新しさと存在の懐かしさを更新し、同時に一体感を強化することが、今回のリニューアルで必要なことだったというわけです。
……その結論に至るまで、本当に世界の果てまで探しに行くかのような、途方のない検討でした。

メーテルリンクの『青い鳥』という童話があります。
果てしない大冒険を繰り広げて追い求めた幸せの青い鳥は、実は自分のすぐそばにいた……簡潔に説明するとそんなお話です。
POPYとCelloのリニューアルも、おおむねそんな感じでした。

■反省と、リニューアルを通して学んだこと

今回のキャラクターリニューアルは、フレームワークやナレッジが皆無の状態で始まり、手探りに次ぐ手探りを重ねることとなりました。
しかし、考えてみればインハウスでのキャラクターリニューアルはかなり珍しい経験だったのではないでしょうか。
せっかくなので今回の反省と、次回があったら早くから意識しようと感じたことを書き留めておきます。

□反省

  • キャラクターをどんな形へと新しくするか?に囚われ過ぎた

  • キャラクターに関して外への調査を意識するあまり、会社の歴史など内側を見つめ直す時間を怠った

  • 暗中模索の苦しさに耐えられず、浅い方針や結論を求めてしまった

□学び、次へのナレッジ

  • キャラクターが持つ歴史やお客さまとの関係性を考える

  • どの状態を変更するのか、どの状態は維持するのか、常に意識する

  • 新しくなったキャラクターと昔のキャラクターの差異をお客さまがどう感じるのか、客観視する

  • 何度もリテイクになることは前提として、初めから半ばまではスピードと数量を重視した制作を行なう

■新しいPOPYとCelloをよろしくお願いします!

というわけで、そんな行ったり来たりを経てたどり着いたドリーム・アーツのキャラクターの新しい姿を改めてご覧ください。

かわいい。

POPYとCelloは我々の艱難辛苦などつゆ知らず、今日もきょとんとした愛くるしい顔で、元気な尻尾をはたはたと振りながら、お客さまや新たな仲間との出会いを楽しみにしています。
もしもイベント会場やセミナーの片隅でPOPYやCelloを見かけたら、ぜひ気軽に挨拶してあげてくださいね!